

太田光・有田哲平・伊集院光ら…芸人16人が語る“伝説の芸人“フォークダンスDE成子坂とは何者だったのか

「フォークダンスDE成子坂を1時間にわたり特集する」と聞いたとき、「2021年の今!?」と声が出た。フォークダンスDE成子坂。ボケ担当の桶田敬太郎と、ツッコミ担当の村田渚によるコンビ。1991年にデビューし、1999年に解散。90年代のお笑いブームをけん引した、伝説の2人だ。
特集が組まれたのは、12月22日放送の「お笑い実力刃」(テレビ朝日系)の「この芸人だけSP」特別編。「この芸人だけSP」では、毎回1組の芸人をゲストに呼び、ネタやトークを交えてその笑いを徹底的に掘り下げる。今回の「伝説の芸人 フォークダンスDE成子坂SP」では、彼らと同世代の“戦友”たちの証言が集められた。
スタジオゲストは古坂大魔王。VTR出演は天野ひろゆき(キャイ~ン)、有田哲平(くりぃむしちゅー)、伊集院光、太田光(爆笑問題)、小峠英二(バイきんぐ)、土田晃之、ネプチューン、増田英彦(ますだおかだ)、三村マサカズ(さまぁ~ず)という錚々たる面々。
フォークダンスDE成子坂のネタはさまざまな芸人に影響を与え、それは「お笑い実力刃」MCのサンドウィッチマンとアンタッチャブルも例外ではない。結果、1組の芸人について16人の中堅芸人が語り尽くす1時間となった。
今見てもちゃんと面白い…フォークダンスDE成子坂のコント5本を鑑賞
番組では、過去のコント映像をはさみながら、芸人たちがフォークダンスDE成子坂の魅力を語っていく。放送されたコントは「GAHAHAキング 爆笑王決定戦」(テレビ朝日系)で披露されたネタを中心に「ドラえもん」「彼女のお兄さん」「絵描き」「取り調べ」「音楽補習」の5本。25年以上前のコントなのに、そのどれもが今見てもちゃんと面白いことに驚く。
伊集院光はフォークダンスDE成子坂のコントについて、こう分析する。
「(ボケの)桶田くんがまったく熱量を上げない。クールなまま。勝負ワードとか勝負ボケみたいなものでも、平熱のままやるんですよ。どれくらいの笑いがほしいかは逆に村田くんが調整する。村田くんがすごく大きくツッコんでいったりとか、一旦流したりとか」(伊集院光)
コント「ドラえもん」では、子ども(村田)のところに、ドラえもん(桶田)がやってくる。ドラえもんといっても、桶田の服装はブラウンのスーツ。ドラえもんらしさは頭にかぶった青いタオルと、片手に持つどら焼きだけ。声色を変えず関西弁でそのまましゃべり、いじめっ子をやっつけたいと頼まれれば懐から拳銃を出す。まったくおどける様子なく、平熱で「ドラえもん」を演じる桶田。そこに村田がツッコんで笑いを取っていく。
一方、コント「彼女のお兄さん」では「彼女のお兄さんが年下だと分かる」という気まずい空気感を、2人は絶妙な演技力で表現してみせる。スタジオが注目したのは、村田の「間」の使い方だった。
サンドウィッチマン伊達「お兄さんが20歳と分かったときの渚のリアクション。あの間は出来ないですよ」
アンタッチャブル柴田「ちゃんと待てる。あれはできない、漫才では」
アンタッチャブル山崎「あれは桶田さんの“待たせてくれる魅力”というか。私にそれがないから(笑)」
古坂大魔王「桶田さんは余韻が面白いからね」
キャラクターやワードセンスといった「押しの笑い」だけでなく、間や余韻といった「引きの笑い」も巧みに操るからこそ、25年以上経っても彼らの笑いは古びないのだろう。それをデビュー数年の若手がこなすのだから恐ろしい。
太田&古坂が振り返る、「やりたいことをやる」桶田
特集では、それぞれの人物像にもスポットを当てた。
桶田敬太郎について、土田晃之は桶田への憧れから「恥ずかしくて話せなかった」という。センスも発想はすごいし、若手なのにテレビ局にJeepで乗りつける。どっしり構える姿は「百戦錬磨の先輩みたい」(有田哲平)だった。
太田光は「普段の会話からわけわかんない。ボケてばかりいるから話さなくなった」と笑い、スタジオから「あの太田さんでも?」「あんたもだよ!」とツッコミをあびる。続けて披露したライブのエピソードが面白かった。
若手の合同ライブ当日、桶田に何をやるのか聞くと「佐野元春さんが来てくれる」と言う。楽屋にも「佐野元春」の貼り紙をし、何をやるのか誰にも言わない。本番。桶田が舞台から「佐野元春さんです!」と呼び込むと、佐野元春に似たまったく別の人が登場した。
「佐野元春さんって当時テレビあまり出てなかったから、客も『本当なの?』ってなってんだけど、(偽物だと)絶対言わないの。で、延々20分くらい普通にインタビューしてる。そのまんまネタばらししないで終わって(笑)。そんな奴ですよ」(太田光)
桶田の自由な振る舞いに、古坂大魔王は「自分がしたいことをしたくてお笑いをやってる」と話す。「練習でやったものもその日飽きてるの」と。
「だから歯医者のコントとかで、先に渚が1人で前振りしました……そのまま出ないまま終わったことある。全然出ない。(村田が)『なにしとんねん!』って言ってもずっと裏で笑ってる」(古坂大魔王)
自分がやりたいことをやって、それを村田が笑いに変えてくれる。村田がいれば、なにをやってもOKという安心感がそこにあった。
三村&小峠が語る、村田渚の「ためるツッコミ」
三村マサカズは、以前「お笑い実力刃」出演時に「村田渚のツッコミを参考にした」と話していた。改めて直撃すると「俺が全部教わったみたいになる(笑)」と釘を刺しつつ、「関西のドンッ!っていうツッコミがうらやましかった」と語る。
「ノリツッコミじゃないけど、我慢して我慢して……違うだろ!みたいなあの感じ。あのツッコミが、一緒に色んな舞台まわっているところで、密かに俺も手に入れたアイテムなのかなって」(三村マサカズ)
村田のツッコミについては、小峠英二も言及。村田はコンビ解散後、いくつかの事務所を渡り歩き、最終的に小峠と同じSMAに所属。元坂道コロンブスの松丘慎吾と漫才コンビ「鼻エンジン」を結成し、M-1グランプリ2005では準決勝まで勝ち残っている。事務所では小峠は後輩にあたる。
「ツッコミでこんなに笑いを取れるんだっていうのを、最初に目の前で見せていただいた方かもしんないですね(中略)俺やっぱ、あの人のツッコミのスゴさって『間』だと思うんですよね。ちょっとためて、バーン!っていう」(小峠英二)
ツッコミが早すぎると、お客がボケを飲み込めないまま次に進んでしまう。逆にツッコミが遅すぎると、ボケは効力を失って笑えなくなってしまう。ボケを適度に“泳がせる”のは、プロでも難しい。
そのあと流れたコントは「取り調べ」。ツッコミに間に注目して見てみると、村田がボケのフレーズによって緩急を付けているのがわかる。耳馴染みに時間がかかる単語はゆっくりと、わかりやすいものは切り詰める。全ボケ外さないまま、あっという間に時間は過ぎる。
2人を「悲劇のコンビ」にはしない
フォークダンスDE成子坂のコントは、もう生で見ることは叶わない。村田は2006年に、桶田は2019年に若くしてこの世を去っている。
2人が既に他界していることはオープニングVTRで少し触れられたが、その後、芸人たちは2人の「笑い」にだけついて話し、その死を語ることはなかった。スタジオでもエンディングになって、ようやくこのことに触れる。
伊達「生きていて解散もせずに、フォークダンスDE成子坂というコンビがいたら、今どうなってたのかな?」
山崎「ライブ即完みたいな感じじゃないの?」
伊達「いや、誰かは世に出てないでしょうね。今、世に出ている人は」
フォークダンスDE成子坂が放った強烈な光は、たくさんの芸人の憧れとなった。だが、その輝きが今も続いていたら、その光に目をつぶした者もいただろう。憧れと畏怖は、紙一重にある。歴史に立ち会ってきた中堅芸人たちなら、なおさら身に覚えがあるに違いない。
番組は終わろうとしていた。スタッフロールが流れる横で、太田光のVTRが流れる。桶田は死を前にして、妻に「自分が死んだことは5年後に公開してくれ」と頼んだという。
「あいつホントに身勝手なんだけど(笑)。さすがにそれはって、じゃあちょっと近い人だけっていうんで俺らが聞いて。じゃあ、お別れ会みたいなのやろうよってことで、ちょっと集まったんだけど」(太田光)
そのお別れ会がなかったら、未だに桶田の死を知る機会はなかったかもしれない。「ネタばらし」をされないままに。
「渚も死んで、桶田も自分が死ぬのは分かってたから、『悲劇のコンビ』っていう扱い方をされるのが嫌だったってことらしいけどね」(太田光)
「お笑い実力刃」は2人を「悲劇のコンビ」にしなかった。解散に至る経緯や、それぞれの死の詳細には触れなかった。フォークダンスDE成子坂が残した「笑い」だけを見て、言葉を尽くしそのすごさを讃えた。その稀有な存在を、もう一度テレビに刻んでくれた。
「最高の笑いをありがとうございました」というテロップで、番組は終わった。
文=井上マサキ
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