映画『残照のかなたに』のヒロインに抜擢された岩瀬あんな(C)Deview

映画『残照のかなたに』ヒロインにワークショップオーディションで新人・岩瀬あんなが大抜擢「自分が変わって行くことの楽しさは私が求めていたもの」

2021.12.01 20:00
提供:Deview

 海外の映画祭への出品が予定されている新作短編映画『残照のかなたに』(ジャッキー・ウー監督)。500人が応募したワークショップオーディションを経て、新人の岩瀬あんながヒロインに抜擢され、女優デビューを果たす。演技未経験の逸材・岩瀬と、彼女を発掘した映画プロデューサー・新田博邦氏、そして演技の指導を施し、オーディションワークショップを企画したシネマプロデュースの加藤純平氏に話を聞いた。

【インタビュー】
映画『残照のかなたに』
ヒロイン・岩瀬あんな
新田博邦プロデューサー
オーディションワークショップ企画・加藤純平

――岩瀬さんがプロデューサーと出会ったきっかけがちょっと変わっているとか。

【岩瀬】「真由子さん(女優。津川雅彦と朝丘雪路の娘)が経営している渋谷のダイニングバーで、オープニングスタッフとして働いていたんです。そこに真由子さんのお知り合いの新田さんがいらしていて、“あなたはタレントさんですか?それともタレント志望なの?”って声をかけて下さって。でも、私はアパレルのお仕事と掛け持ちでそのお店で働いていて、まったく芸能界を目指していたわけではなかったんです」」

【新田】「席に食事を運んできたとき、そんなに愛想がいいほうでもなかったんだけど、この子の独特の雰囲気や素材感が光ってたんです。女優の真由子の店でもあるから、タレントだと思って声をかけてみたんだけど、最初のリアクションは悪かったですよ(笑)。“興味ありません!”みたいな感じだったので、無理強いしてやらせる世界でもないからね」

【岩瀬】「その時はそうだったんですが、その後気になって調べて、デビューさんのWEBサイトで新田さんのオーディションワークショップを見つけたんです。そこで真由子さんに相談したら、“信用できる方だからやってみたら”と言ってくださったんです。それがきっかけで『残照のかなたに』のワークショップオーディションに参加しました」

――まったくの演技未経験からすごく思いきりましたね。

【岩瀬】「今まで文化祭ぐらいでしか演技をやったことはありませんでした。でも、高校を卒業して一人で上京したり、海外にワーキングホリデーに行ったり…新しい場所に飛び込むときに、恐怖よりワクワクした気持ちや好奇心が勝るタイプなので、いろんな壁にぶち当たるだろうけど覚悟を決めてやってみようと思ったんです。でも、真由子さんが“止めるのはいつでも止められるんだから、とりあえずやってみたらいいじゃない”と力強く背中を押してくださらなかったら、やっていなかったかもしれないです」

――そして加藤さんが企画するオーディションワークショップに参加したんですね。

【加藤】「20歳~60歳ぐらいまでの20数人が参加するワークショップで、演技が達者な人もそうでない人もいるなかに混ざって参加していましたね。その中から6~7人をオーディションに推薦しました」

――初めてワークショップに参加した感想は?

【岩瀬】「経験が全くない方、すごく経験のある方、様々な年齢の方々の演技を見せていただけて、すごく勉強になりました。同じ台本でも、演じる人によってキャラクターの人間性や人柄、生い立ちまでも全く違って見えるなって。オーディションに行く前に吸収できることがたくさんありました」

――自分でも演技を経験してみてどうでした。

【岩瀬】「経験がないので台詞だけはちゃんと覚えていこうと思いました。新田さんが的確なアドバイスをくださるので、回数を重ねるうちに成長できた実感がありました」

――アドバイスで印象残っている言葉はありますか?

【岩瀬】「台詞を言う時に、ちゃんと頭の中で思い描いて言っているのかということを指摘していただきました。頭に思い描いて台詞を言うことが出来たとき、はじめて自分の中でブロックがハマるというか、今ちょっとしっくりきたかもしれないって感じられたので」

【新田】「内的感情を作って演じろって言うのは、スタニスラフスキーなんですよね。いい指導してるな(笑)」

――そしてオーディションに挑むことになるんですが、オーディションではどんな審査が行われたんですか?

【新田】「数日前に課題の台本を渡しておくんです。そして当日、相手役の俳優と台本読みをして、そのほかに30秒間好きに踊るという審査がありました。コンテンポラリーダンスを踊ることが脚本上のポイントだったので」

【岩瀬】「ヒップホップダンスをやったことがあったので、音楽を聴いて好きに踊るのはすごく好きだったんです。コンテンポラリーってベースはバレエなんですが、振りを作り込んでしまうのは違うかもしれないと思って、最初の振りと中間の振り、最後の振りだけ決めて、あとは私がのれる音楽を決めて行きました。私がやれることはこれで全部のはずってうぐらい考えました」

――ダンスはそれでいいとして、肝心の演技はどうでした?

【岩瀬】「お芝居に関しては、この子演技が上手いなって思われることはまずないと思っていたので、台詞だけは絶対に飛ばさない、絶対に噛まないということ、そして新田さんにいただいたアドバイスを頭に入れて臨みました。どれだけたくさん練習をしても、本番は絶対に緊張してしまうので、台詞を覚えているから大丈夫という自信だけを持って、あとはどうにでもなれ、というのは変ですけど、振り切って」

――そういう思いきりの良さはそもそも岩瀬さんのなかにあるんですか。

【岩瀬】「衝動的な人間だと思います。女優の挑戦したことも家族に事後報告だったので。一度やると決めたら0か100しかありません」

【新田】「いい度胸しているなと思いましたよ。プロデューサーとしての経験値から、“こういう子は大丈夫”って分かるんです。実際、現場に入って本番が一番良かったですし。結果、僕は彼女を知っているから審査には口を出さなかったんですが、監督と撮影監督、ヘアメイクもいたんですが、ほぼ全員一致で彼女に決まったね」

――そして実際に現場に入ってみてどう感じましたか。

【岩瀬】「撮影現場でどんな機材を使っているのかも、テイクいくつという言葉も知らないので、子供のような気持ちでした。現場に行くまではヒロインに選ばれたことに心が追い付いていなかったと思うんですが、現場を観た瞬間、シーンが始まった瞬間に、責任感や、不安よりも絶対にやってやらなきゃいけないという強い気持ちが生まれました。私は人間としても絶対に変わる、どれだけ怒られようがひっぱたかれようが、私は堂々としているぞ!って、そこでガラッと変わりました」

――大ベテランの林与一さんとがっぷり四つの共演になります。

【岩瀬】「とてもフランクに話してくださって、隣にいてリラックスできるような、すごくあたたかい人柄の方なんです。私は本当に素人だから恥をかいてしまうと思っていたんですが、林さんはまず最初の顔合わせの時、“何も経験が無い人のほうが、思った通りに素直な演技をするから、映画が完成すると案外全部持って行かれてたりするんだよ”って言ってくださって」 」

【新田】「そこはさすがベテラン。我々スタッフサイドに向けて、 “余計な事を言わずに思うようにやらせてやれ”っていうことなんですよ」 」

【岩瀬】「私が全部のシーンを撮り終わったときに、林さんはマフラーをプレゼントしてくださったんです。プレゼントをくださったということだけでも驚いたんですが、前日ロケ地の近くのお店を回って、時間をかけて私に似合うものを見つけてくださったことが嬉しくて。ロケ地は長野県のすごく寒い場所だったんですが、生地がすごく暖かいんです。私、青が好きなんですけど、何も伝えていなかったのに、私に似合うと思って青を選んでくださったことにも感激しました」

――役者の先輩として尊敬できる方ですね。

【岩瀬】「林さんの言葉に助けられたことがすごく多くて。林さんがいらっしゃらなかったら、二人のシーンであの演技は出来なかったかもしれないです」

――今回演じた准看護師の役と自身の共通点はありますか?

【岩瀬】「自分はこんなに肝が据わっていないなと思うほど、すごく芯が強いので、近いようでいて遠いキャラクターだと思っています。明るくて、色で例えるならオレンジや黄色なんですが、心が凛としていて、憧れの女性のイメージです」

――作品の中で一番見てほしいところは?

【岩瀬】「屋上でダンスを踊るシーンです。監督は昔ダンスをしていたそうで、振り付けもしてくださったんです。マンツーマンで“何年ぶりだよ”と足を痛めながら…。天候にも恵まれて、長野のすごくキレイな山の中で1日かけて撮っていただけたので、そこは見せ場だと思います。出来上がりが楽しみです」

――ワークショップオーディションの出身者が見事に現場に対応しましたね。

【加藤】「本当の撮影現場では、役者さんはいい映画を作ろうと思ってディスカッションしてリラックスしながらやれるけど、ワークショップではみんな役をゲットしようと思って来ているので、ある意味ライバルで敵だから、空気がピリピリしてしてやりにくかったんじゃないかな。逆に現場のほうがやりやすかったんじゃないかと思う」

【新田】「加藤さんのワークショップからは、皆さんちゃんと仕事に入っているよね。ドラマ『おいしい給食』にも10人ぐらい入っている」

【加藤】「うちでは、現場に向いていない人の参加はお断りしているんです。相手役の脚を引っ張るような人には声をかけない場合もあります。芝居ができる人がいい人じゃなくて、人間性のいい人じゃないとキャスティングされないんですよ。老舗の劇団出身で理論武装していて“こういう風にやってくれないと受けられねえよ”みたいなことを言って、現場を止めちゃうような人は推薦できない。俳優として出たいんだったら、ちゃんと受け入れてやらないと。受け入れられないならそういう人を集めてやりなさいって言って、フェイドアウトしてもらいます」

――この記事を見てワークショップに参加してみようと考えている人にメッセージを。

【岩瀬】「家にいてあれこれ思い描くより、まずは一歩を踏み出さなきゃいけないというのは、誰にでも当てはまると思います。周りの環境も大事ですし、人とのつながりもすごく大事。ワークショップに参加すると、つながりができますし、そこからたくさんの人の目に触れるチャンスがあります。それを自分で選ぶことができるのは恵まれていると感じるので、この記事を見つけたという、その時点でラッキーです。目に留まったら、1回でもいいので参加してみたら、絶対に変わるきっかけになると思います」

【加藤】「ワークショップを経ると、人物や人間性を観てから安心して使えるので、キャスティングされる率が高くなるとプロデューサーから聞きます」

【新田】「ワークショップからスターが生まれるというのも新しいスタイルだと思うね」
――映画の現場を経験して、今後の目標ができましたか?

【岩瀬】「現場で実際に演技してみて、演技以外にも人として成長できる部分が大きかったと思いますし、周りからも顔が変わったって言われました。自分が変わって行くことの楽しさ、楽しいと言ってしまったら軽いと思うんですけど、人生として熱いというか、刺激が日常にあることは、私が求めていたものだと思ったので、これからもたくさんの作品をやらせていただけるように頑張りたいと思いました」

【新田】「こんな始まりだから、実は彼女、まだ所属プロダクションも決まってないんですよ。ヒロインを務めたぐらいだからどこにでも所属できる力があると思うけど、ぜひマネジメントしたいと手を挙げてくれる人に出会ってほしいですね。所属事務所の募集もしていますよ(笑)」 」

■『残照のかなたに』
【監督】ジャッキー・ウー
【脚本】渡辺喜子・三浦次朗
【企画・原案・プロデュース】新田博邦
【企画・制作】ミューズ・プランニング
【製作・提供】グローバルジャパン
【作品概要】
信州上田の病院を舞台に展開する、余命いくばくもない老作家と看護師の物語。
【出演者】
林与一:老作家
岩瀬あんな(新人):準看護師
花田優一:担当医
土屋貴子:看護師長
【撮影】信州上田にて10月末から実施。
【展開】2022年海外映画祭(ブリュッセル国際映画祭、ショートショート・フィルムフェスティバル他)に参加後一般公開予定。

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