カメラに向かって「いっけ~」と言っているAマッソ

Aマッソが考える“賞レース”の“その後”「面白に変えるのが芸人の仕事だと思います」<インタビュー・後編>

2021.07.31 09:00
カメラに向かって「いっけ~」と言っているAマッソ

2020年の「女芸人No.1決定戦 THE W」でファイナリストとなったAマッソ。一時は、「THE W」を始め、「M-1グランプリ」「キングオブコント」などの“賞レース”への参加をやめていたという。独自の世界観で注目を集め、バラエティー番組、ラジオ、書籍など、活躍の場を広げている2人にとって、賞レースとはどんな存在なのか、インタビューで語ってもらった。

AマッソらしさがあふれるYouTube

――最近では“賞レースで勝つ=売れる”の図式が変わってきたような気もしますよね。

加納:「そうですね。それこそ今は自分たちの出し方がいろいろあって。YouTubeで自分らしさが出ている人も多いですし、私たちもYouTubeがあってよかったと思います。そこからネタを見てくれる人も増えました」

村上:「自分たちのしたいことをやっていますからね。あと、撮っているだけで何かひとつ仕事をしている感があるんでいいんですよ。今、教えてもらいながらですが編集もやらせていただいていて。自分たちでAマッソの世界を作っていけるのは楽しいです」

加納:「テレビは1回出てそこからつながっていくもんなんで、出続けることが大事だと最近思うようになりました。賞レースで結果を残せば楽しい仕事もついてくるとは思うんですけど、そこはなるようになれという感じですね。もう一個ステップアップしたいという気持ちも少なからずあったりもするけど、まぁテレビで売れることだけが目標という感じでもないです」

――賞レースで優勝するために出ている、という思いとは少し違うんでしょうか。

加納:「純粋にネタをやりたいという思いと、ネタを見てもらいたいという気持ちがあるんで、出ているというのも大きいです」

村上:「いやいや、面白いとみんなに思われたいからやろ~」

加納:「言わんといて~。せっかくカッコよく言ってダマしてるのに(笑)」

村上:「うちも同じ。やっぱりネタを見てもらって面白く思われたい」

加納:「賞レースは笑いの純度が高いですから、どこか特別なところはあるんかもしれないです。ただ、もちろん優勝したいというのは大前提ですが、長い芸人人生それだけじゃないなって。賞レースに挑戦しながらもYouTubeをやっていてもいいし。面白ければいいんですよ」

けっぱなしばかりだと面白くない

――お2人のYouTubeといえば、「THE W」で戦ったゆりやんレトリィバァさんや、TEAM BANANAさんとのコラボも面白かったですね。

加納:「『THE W』の面白いところは、控え室が大部屋なんで、今まで会ったことのない芸人と会えるんですよ。去年は、決勝の日にYouTubeの出演交渉しましたから。せっかく会えたなら一緒に何か作りたいと思って。チーバナ(TEAM BANANA)さんとコラボできたのはうれしかったですね。吉本の劇場に出ている方なので、会う機会が全くなかったんで」

村上:「でもまぁ基本、YouTubeに関してはムカつくヤツしか出てもらっていないですけど(笑)。ゆりやんも『THE W』で負けたから出てもらってますし」

加納:「負けたから突っかっていけるというか。やっぱりそれが芸人の真骨頂じゃないですか、マイナスのことを全部面白に変えるって。それこそ芸人っていうか。負けっぱなしばかりだと面白くないんでそこは取り返したい」

村上:「負けて、『来年、大会で絶対優勝する!』じゃなくてね(笑)」

加納:「それは勝手にやってって(笑)。来年大会なくなったらどうするん?ってことやし。そこじゃなくて今、どう面白くするかが大事で。面白に変えるのが芸人の仕事だと思います」

――昨年秋からラジオの冠番組(「Aマッソの両A面」MBSラジオ)も始まったりして、どんどん“Aマッソの世界”が広がっている気がします。

加納:「冠番組はずっと欲しかったんでめっちゃうれしいです」

村上:「でも時間が深いんですよ。ちょっとでも早い時間になれば…」

加納:「やっぱり冠番組は他の番組とは重さが違うんですよ。面白いか面白くないかは、もう誰の責任でもなく自分たちの責任なんで。なんで、そういう番組がどんどん増えていけばえぇなって思います」

村上:「ウチもちょっとずつですが、しゃべれるようになってきてますんで。これからも成長を見守ってほしいです」

加納:「長い目でね(笑)」

村上:「期待してとは言わないですが…。温かい目でお願いいたします」

――自分たちの仕事に責任感を持つようになったのは、やはり芸歴とか、年齢を重ねたからなんでしょうか。

加納:「それはあると思いますね。20代のころは、どうしても仕事としてちゃんとやろうという思いが少なくて。自分たちがネタをやって『オモロイやろ。ドヤッ』という気持ちのみでやっていたというか(笑)。でも最近は関わる人が増えたということもあり、ちゃんと仕事をして帰ろうと感じるようになって。あまり自分さえ良ければとは思わなくなった気がします」

村上:「なんか加納は後輩もできて責任感が出てきたみたいですよ(笑)」

加納:「お前も出せ!」

村上:「うちは変わらんとこがいいとこやから(笑)」

加納:「まぁ村上は村上で。そうやって変わったり変わらんかったりしてるんが面白いと思います」

インタビュー前編はこちら

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