宮崎駿監督、「こんなに長く続ける気はなかった」<引退会見・一問一答>【1】
2013.09.06 18:56
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アニメ映画監督の宮崎駿氏が6日、都内で行われた引退会見に、株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫氏、代表取締役社長・星野康二氏とともに出席し、記者からの質問に応じた。
宮崎監督は開口一番、「僕はなんども辞めると言って騒ぎを起こしてきた人間なので、どうせまただろうと思われるかもしれないですけど、今回は本気です」とその決意を語り、引退記者会見はスタートした。
- 今回は“本気です”ということですが、今までとはどういったところが違うんですか?
宮崎監督:「風立ちぬ」というのは、前作の「崖の上のポニョ」から5年かかっているんです。その間は映画だけを作り続けたわけではなく、道楽のマンガを描いたり、シナリオを書いたり、美術館の館長をやったりと、いろいろなことをやっていましたが、やはり5年はかかるんです。もし次の作品を考え始めますと、たぶん5年じゃ済まないでしょうね。次は6年、7年とかかると思います。今から7年かかるとしたら僕は80になってしまいます。続けられたらいいとは思うんですが、その延長線上に自分の仕事はないとも思っています。そういうことで、僕の長編アニメーションの時代は、はっきりと終わったんだなと考えています。もしまたやりたいと思っても、それは年寄りの世迷い事だと片付けたいと決めております。
- 引退に関しては、プロデューサーの鈴木さんとどんな会話がなされたのですか?
宮崎監督:よく覚えていないんですけど、「鈴木さん、もうだめだ」と僕が言ったことがあって、そしたら鈴木さんが「そうですか」って。その時に信用されたかはわかりませんが、ジブリを始めた時に、こんなに長く続ける気はなかったのは確かです。今までも、「もう限界じゃないか」「辞めよう」ということは二人で何度も話してきたのですが、今回は本当に次は7年かかるかもしれないことに、鈴木さんもリアリティを感じたのだと思います。
鈴木氏:「風立ちぬ」の完成のあとに、宮さんから引退の話があって、今回は「本気だな」という部分を感じました。「風の谷のナウシカ」から30年間ずっと緊張の糸があったんですけど、その話を受けた時に、それが揺れたんですよ。少しホッとするようなところがありました。若い時だったら止めてたでしょうけどね。
- 引退の発表についてはどのように決められたのですか?
鈴木氏:まずはスタジオで働くスタッフに言うべきだと思いました。なので8月5日にスタッフに伝えて、「風立ちぬ」公開して一段落着いた時期に発表しようと考え、9月の頭での発表となりました。
- 鈴木さんは「風立ちぬ」が宮崎監督の最後の作品になる予感はありましたか?
鈴木氏:宮さんの性格からして、ずっと作り続けるんじゃないかと思っていました。それも死ぬ間際まで。でもその一方で、別のことをやると宣言して映画監督は辞める、その場合もあるとは思っていました。なので引退の話も、素直に受け止めることができましたね。
-思い入れのある作品をあえて挙げるとしたら、どの作品でしょうか?
宮崎監督:一番自分の中に刺のように残っているのは「ハウルの動く城」です。ゲームの世界なのですが、それをドラマにしようとした結果、本当に格闘しました。スタートが間違っていたのかもしれないですが、自分が立てた企画なのでしょうがありません(笑)。
- 全作品を通して意識して伝えたいメッセージはどのようなことですか?
宮崎監督:僕は多くの児童文学の影響を受けてこの世界に入った人間です。なので基本的に子どもに「この世は生きるに値するんだ」ということを伝えることが、私たちの仕事の根幹にあると思うので、それは今も変わっていません。
- 監督をお辞めになり、これからどんなことをやっていくのでしょうか?
宮崎監督:僕は自由です。やらない自由もあるわけです。ただ、車が運転できる限りは毎日アトリエに行こうかと思っています。突然やりたくなったものや、やれるものはやろうと、そう考えています。やりたいことも色々あるんですが、やれなかったらみっともないから、何だかはいいません。僕は休息をとらないといけない時期にあると思うのですが、休んでる間にいろいろ思いつくかと思います。でもここで約束するとたいてい破ることになると思うので、ご理解ください。
- これはやってみたかった長編アニメーション作品はありますか?
宮崎監督:それは山ほどあるんですけど、それほどのカタチにはなってないものばかりです。僕は辞める身ですが、「こういうのをやったらどうだろう」というのは頭に浮かんだり消えたりしますけど、それは人に語るものではないと考えています。
- ジブリは今後どうなっていきますか?
宮崎監督:やっと上の重しがなくなるんだから、「こういうものをやらせろ」って声が若いスタッフから鈴木さんに届くことを願っています。それがなければダメですよね。僕が若いころは、やっていいんだったら何でもやるぞという覚悟を抱えていましたけど、それを持ってるかかどうかです。なので、今後のジブリはそういう人たちの意欲や希望や能力にかかっています。
鈴木氏:今後のジブリの問題は、いまジブリにいる人たちの問題だと思っています。その人達がどう考えるかによって決まるんだと僕は思っています。
一問一答【2】へ続く。
<宮崎駿・引退会見 一問一答はこちら>
【1】http://mdpr.jp/news/1276086
【2】http://mdpr.jp/news/1276114
宮崎監督は1979年に「ルパン三世 カリオストロの城」で監督デビュー。代表作「千と千尋の神隠し」(01年)はベルリン国際映画祭においてアニメ史上初の金熊賞を受賞した。ほか、「風の谷のナウシカ」(84年)「となりのトトロ」(88年)「崖の上のポニョ」(08年)など、手がけた長編映画は11本に及び、2012年には文化功労者に選出されている。これまでも何度か引退を示唆してきたが、監督としてアニメ製作に取り組み続けてきた。(モデルプレス)
- 今回は“本気です”ということですが、今までとはどういったところが違うんですか?
宮崎監督:「風立ちぬ」というのは、前作の「崖の上のポニョ」から5年かかっているんです。その間は映画だけを作り続けたわけではなく、道楽のマンガを描いたり、シナリオを書いたり、美術館の館長をやったりと、いろいろなことをやっていましたが、やはり5年はかかるんです。もし次の作品を考え始めますと、たぶん5年じゃ済まないでしょうね。次は6年、7年とかかると思います。今から7年かかるとしたら僕は80になってしまいます。続けられたらいいとは思うんですが、その延長線上に自分の仕事はないとも思っています。そういうことで、僕の長編アニメーションの時代は、はっきりと終わったんだなと考えています。もしまたやりたいと思っても、それは年寄りの世迷い事だと片付けたいと決めております。
- 引退に関しては、プロデューサーの鈴木さんとどんな会話がなされたのですか?
宮崎監督:よく覚えていないんですけど、「鈴木さん、もうだめだ」と僕が言ったことがあって、そしたら鈴木さんが「そうですか」って。その時に信用されたかはわかりませんが、ジブリを始めた時に、こんなに長く続ける気はなかったのは確かです。今までも、「もう限界じゃないか」「辞めよう」ということは二人で何度も話してきたのですが、今回は本当に次は7年かかるかもしれないことに、鈴木さんもリアリティを感じたのだと思います。
鈴木氏:「風立ちぬ」の完成のあとに、宮さんから引退の話があって、今回は「本気だな」という部分を感じました。「風の谷のナウシカ」から30年間ずっと緊張の糸があったんですけど、その話を受けた時に、それが揺れたんですよ。少しホッとするようなところがありました。若い時だったら止めてたでしょうけどね。
- 引退の発表についてはどのように決められたのですか?
鈴木氏:まずはスタジオで働くスタッフに言うべきだと思いました。なので8月5日にスタッフに伝えて、「風立ちぬ」公開して一段落着いた時期に発表しようと考え、9月の頭での発表となりました。
- 鈴木さんは「風立ちぬ」が宮崎監督の最後の作品になる予感はありましたか?
鈴木氏:宮さんの性格からして、ずっと作り続けるんじゃないかと思っていました。それも死ぬ間際まで。でもその一方で、別のことをやると宣言して映画監督は辞める、その場合もあるとは思っていました。なので引退の話も、素直に受け止めることができましたね。
-思い入れのある作品をあえて挙げるとしたら、どの作品でしょうか?
宮崎監督:一番自分の中に刺のように残っているのは「ハウルの動く城」です。ゲームの世界なのですが、それをドラマにしようとした結果、本当に格闘しました。スタートが間違っていたのかもしれないですが、自分が立てた企画なのでしょうがありません(笑)。
- 全作品を通して意識して伝えたいメッセージはどのようなことですか?
宮崎監督:僕は多くの児童文学の影響を受けてこの世界に入った人間です。なので基本的に子どもに「この世は生きるに値するんだ」ということを伝えることが、私たちの仕事の根幹にあると思うので、それは今も変わっていません。
- 監督をお辞めになり、これからどんなことをやっていくのでしょうか?
宮崎監督:僕は自由です。やらない自由もあるわけです。ただ、車が運転できる限りは毎日アトリエに行こうかと思っています。突然やりたくなったものや、やれるものはやろうと、そう考えています。やりたいことも色々あるんですが、やれなかったらみっともないから、何だかはいいません。僕は休息をとらないといけない時期にあると思うのですが、休んでる間にいろいろ思いつくかと思います。でもここで約束するとたいてい破ることになると思うので、ご理解ください。
- これはやってみたかった長編アニメーション作品はありますか?
宮崎監督:それは山ほどあるんですけど、それほどのカタチにはなってないものばかりです。僕は辞める身ですが、「こういうのをやったらどうだろう」というのは頭に浮かんだり消えたりしますけど、それは人に語るものではないと考えています。
- ジブリは今後どうなっていきますか?
宮崎監督:やっと上の重しがなくなるんだから、「こういうものをやらせろ」って声が若いスタッフから鈴木さんに届くことを願っています。それがなければダメですよね。僕が若いころは、やっていいんだったら何でもやるぞという覚悟を抱えていましたけど、それを持ってるかかどうかです。なので、今後のジブリはそういう人たちの意欲や希望や能力にかかっています。
鈴木氏:今後のジブリの問題は、いまジブリにいる人たちの問題だと思っています。その人達がどう考えるかによって決まるんだと僕は思っています。
一問一答【2】へ続く。
<宮崎駿・引退会見 一問一答はこちら>
【1】http://mdpr.jp/news/1276086
【2】http://mdpr.jp/news/1276114
宮崎監督は1979年に「ルパン三世 カリオストロの城」で監督デビュー。代表作「千と千尋の神隠し」(01年)はベルリン国際映画祭においてアニメ史上初の金熊賞を受賞した。ほか、「風の谷のナウシカ」(84年)「となりのトトロ」(88年)「崖の上のポニョ」(08年)など、手がけた長編映画は11本に及び、2012年には文化功労者に選出されている。これまでも何度か引退を示唆してきたが、監督としてアニメ製作に取り組み続けてきた。(モデルプレス)
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