『リボーン』に最終回まで魅きつけられた理由 “転生×タイムスリップ”を成立させた春ドラ屈指の快作
春ドラマは『銀河の一票』や『田鎖ブラザーズ』といった重厚なテーマを扱う作品や、豪華キャストが集結した話題作が注目を集めている。おそらく視聴者アンケートを取れば、そうした作品が高評価を獲得するのだろう。
しかし、純粋なエンターテインメントとしての面白さでいえば、『リボーン~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)も決して引けを取らない。
本作は、高橋一生演じるカリスマIT社長・根尾光誠が、ある事件をきっかけに自分と瓜二つの男・野本英人の身体へと“転生”。さらに2012年へと時をさかのぼり、新たな人生を歩むことになる物語だ。
「転生」と「タイムスリップ」。設定だけを見れば盛り込みすぎにも思えるが、本作はその要素を見事に整理し、物語として破綻させていない。むしろ、それらを最大限活用して視聴者を楽しませている。
光誠は優秀な経営者でありながら、冷徹で独善的な人物。一方の英人は商店街で愛される人情家だ。光誠は英人の身体に入ったことで、自らの頭脳と英人の人望を同時に手に入れる。いわば“最強状態”だ。
商店街に次々と降りかかるトラブルも、未来を知る光誠にとっては攻略可能なミッション。経験と知識、そして卓越した判断力で問題を解決していく展開は爽快感抜群である。
さらに秀逸なのは、その活躍の舞台が世界規模ではなく、あくまで地域の商店街に留まっていることだ。光誠ならもっと大きな成功を目指せるはずなのに、目の前の人々を救うために力を使う。その等身大のスケール感が視聴者を自然と物語へ引き込んでいく。
テンポの良さも本作の魅力だ。どんな難題も光誠が鮮やかに突破口を見つけ出していくため、ストレスなく見続けられる。その一方で、高橋一生の演技が物語を単なる“俺TUEEE系”作品にはしていない。
英人として周囲に接しながらも、内面では光誠が毒舌全開で状況を分析する。随所に挟まれるモノローグは説明役でありながらエンタメとしても機能しており、気づけばその“心の声”が楽しみになっている。第2話で飛び出した「仕事ができるバカに気を取られ広報活動をないがしろにしていた」という本音などは、その最たる例だろう。あまりにも辛辣なのだが、妙に納得してしまうから面白い。
そして物語が進むにつれ、光誠自身も変化していく。商店街の人々と関わり、助け合いながら生きる中で、冷酷だった男が少しずつ英人という人物の価値観を理解していく。その変化には無理がなく、「こういう環境なら人は変われるかもしれない」という説得力がある。
だからこそ、周囲の人々が英人の違和感に少しずつ気づいていく描写も自然だ。ドラマを成立させるためのご都合主義ではなく、人物描写の積み重ねとして機能している。
そんな本作で最後まで残された最大の謎が、光誠を階段から突き落とした犯人の正体である。結果的に光誠の転生を引き起こした事件でありながら、最終回直前の段階でも決定的な答えは示されていない。普通なら物語の中心に据えられるはずの謎を、ここまで温存できたのは見事と言うほかない。それだけ商店街での出来事や人間ドラマが充実しており、視聴者を満足させ続けてきた証拠でもある。
もちろん伏線から推測できる部分はある。しかし、ここで結末を先回りして語るのは無粋だろう。ここまで積み重ねてきた物語を信じ、そのラストを見届けたい。『リボーン~最後のヒーロー~』は、きっと最後までその期待を裏切らないはずだ。
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