河合優実×クドカン"再タッグ"で名作の予感 朝ドラ『ほんのモキチ』に高まる期待とその反動
女優の河合優実が、2028年度前期のNHK連続テレビ小説『ほんのモキチ』で主演を務めることが発表された。朝ドラ第118作となる同作は、歌人で精神科医の斎藤茂吉と妻・輝子をモデルにした「朝ドラ史上最も不仲な夫婦」の物語だという。脚本は宮藤官九郎が務める。
河合にとって、今回の朝ドラ主演は快進撃の一つの到達点にも見える。2024年1月期のTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』でブレイクした彼女は、同年公開の主演映画『あんのこと』で過酷な境遇に置かれながらも必死に生きようとする主人公を熱演し、第48回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞。若手の有望株という枠を超え、日本を代表する実力派女優の一人となった。
朝ドラでもすでに高い評価を得ている。2025年度前期の『あんぱん』では、ヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を好演。冷静で口数は少ないが、内側に熱い気持ちを秘めた人物像を丁寧に表現し、作品の中でも別格の存在感を放っていた。人気、実力、評価、NHKでの実績。どれを取っても、今回の朝ドラヒロイン起用には「納得感」がある。
SNS上でも祝福と期待の声が相次いでいる。「河合優実の朝ドラは絶対見る」「斎藤茂吉と妻の話で、クドカン脚本に主演が河合優実ちゃんとは…期待しかない!」「『カーネーション』の尾野真千子さんのように演技力を思う存分に発揮してほしい」「あんぱんでファンになったから、ヒロインになって朝ドラに帰ってきてくれるのはうれしい」といった好意的な反応が上がっており、早くも"名作候補"と見る向きもある。
期待を高めている大きな要因が、『不適切にもほどがある!』以来となる宮藤とのタッグだ。同ドラマでは、コンプラ社会に一石を投じるコミカルな会話劇の中に時代の違和感や家族の痛みが織り込まれ、河合の魅力も大きく引き出された。
『ほんのモキチ』では、"悪妻"と呼ばれるほど奔放な妻と、大病院の院長で数々の名歌を詠んだ偉人でもありながら家庭では存在感の薄い夫という、かなり癖の強い夫婦像が描かれる。河合の演技力と宮藤の脚本が『不適切にもほどがある!』のときのようにかみ合えば、従来の朝ドラに収まらないヒロイン像が表現できそうだ。朝ドラ主演は大きなチャンスであるが、一方でリスクもはらんでいる。近年は、脚本や演出への不満が、主演女優への批判に転じてしまうケースが少なくない。特に2022年度前期『ちむどんどん』、2024年度後期『おむすび』などでは、作品への厳しい声が主演女優にまで及ぶ場面が目立った。当然ながら、出演者の力だけで作品の成否が決まるわけではないが、どうしても主演女優は矢面に立たされやすい。
このリスクは、河合も例外ではないだろう。むしろ期待値が高いぶん、ハードルは相当上がっている。すでに「演技派」として認知されているからこそ、作品の評価が芳しくなければ、その反動が大きくなる恐れもある。朝ドラヒロインは、国民的女優への近道であると同時に、作品の評価を背負わされやすい立場でもあるのだ。
宮藤は2013年度前期の朝ドラ『あまちゃん』を大ヒットさせた実績を持つ。ただ、どちらかというと現代劇に強い脚本家というイメージがあり、明治から昭和へと続く時代を舞台にした『ほんのモキチ』との相性は未知数だ。史実を下敷きにしながら、どこまでフィクションとして"クドカン節"を盛り込めるのか。そこも評価を分けるポイントになりそうだ。
とはいえ、河合のキャリアを振り返れば、これまで数々の難役を見事に演じ切り、作品ごとに違う顔を見せてきた。河合の演技力と"クドカン脚本"がうまくかみ合えば、朝ドラ史に残る名作となる可能性は十分にあるだろう。期待と重圧の両方を背負いながら、河合優実は「国民的女優」への大きな扉の前に立っている。
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