アラサー女性が憧れた"丸の内OL"ドラマ名作選 働いて実感したフィクションと現実の違い
一昔前は"丸の内OL"という言葉をよく耳にしたが、現代においても素敵な洋服に身を包み、洗練されたオフィスで働く人に憧れを抱く人は、若い世代を中心に少なくないようだ。大都会のスタイリッシュなOLのイメージは、ドラマの影響が少なからずあると思う。多くの視聴者がドラマを"フィクション"として見ているが、オフィスワークに馴染みのない人にとっては、ドラマを無意識のうちに現実に重ねるのは自然なことだろう。本稿では、若い女性たちがドラマを見て思い描く"理想のOL像"と、実際の乖離について考えていきたい。
◆大都会のおしゃれなオフィスでかっこよく働きたい
平成一桁生まれの筆者は"丸の内でバリバリ働きたい"と、大学生になるまでは本気で思っていた。とはいえ、どんな会社がそこにあるのかもほとんど知らなかった。素敵なスーツを着て、社員証をゲートでピッとかざしてオフィスに入る。ランチはおしゃれなお店で、アフター6はバーで過ごす……そんな働き方を思い描いていた。
都会のオフィスで働くドラマの中の人物で筆者が最初に憧れを抱いたのは、2004年放送の『離婚弁護士』(フジテレビ系)の間宮貴子(天海祐希)だ。貴子が勤めていた大田原総合法律事務所のロケ地は丸ビルだが、天海扮する貴子を見て"キャリアウーマンってかっこいい"と小学生のときに思った。
2007年放送の『ハケンの品格』(日本テレビ系)は、食品商社・S&Fを中心に物語が展開するが、ロケ地は丸の内を含む東京駅周辺だ。大前春子(篠原涼子)や大泉洋(東海林武)らが大都会のオフィスで仲間と協力して課題を解決していく姿も、子どもながらに心躍った。
今田美桜や杏が主演を務めた『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)シリーズ、堺雅人主演の『半沢直樹』(TBS系)は、金融業界の厳しさが描かれているが、立派なオフィス街の場面が印象深い。
令和の10代・20代であれば、ロケ地は丸の内ではないが、2024年放送の『9ボーダー』(TBS系)の大庭七苗(川口春奈)の仕事に憧れる人は多そうだ。彼女が勤める飲食業トータルプロデュース会社・KURAのオフィスには最先端の技術が施されている。従業員は顔認証で出勤処理をし、席はその日の気分に合わせてタッチパネルで選択する。仕事内容はコンサル系で、オフィスワークとクライアントとの打ち合わせが絶妙な割合になっている。ドラマと現実がまったく異なることに筆者が気づいたのは、丸の内にあるオフィスにインターンとして採用されて3日たった頃だった。
想定外だったのは、高層ビルのエレベーターだ。混む時間帯だと、エレベーターの待ちと移動で5分前後かかる。"エレベーターが大変だよね"と仲間同士で共感したこともあった。
また、東京駅を含むターミナル駅近辺の飲食店は、昼間はどこも行列ができていた。昼食はコンビニやスーパーで出勤前に買ったものをオフィスフロアで食べるのが一番快適だった。
ある程度の年齢になって気づいたのだが、お仕事ドラマのヒロインがかっこよく見えるのは、見た目の美しさや立派な高層ビルで働いているからではない。仕事と真摯に向き合い、自分の仕事や生き方に誇りを持っているからだ。
◆"ゆるふわOL"に憧れるZ世代も
近年、若者を中心にプライベートに重きを置き、ふわふわした雰囲気でゆるっと働く"ゆるふわOL"が羨望の対象となっている。タイトルが印象的な2019年放送『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)などは、典型的な"ゆるふわドラマ"と思いきや、意外にもそうではなかった。
ヒロインの東山結衣(吉高由里子)はWeb系制作会社に勤務。残業をしないポリシーだが、業務をおざなりにしているわけではない。その日の仕事を付箋に書き、計画的に片づけており、タスク処理能力はかなり高い。加えて、対人力にも秀でており、先輩にも後輩にも慕われている。
華やかに見える働き方の裏には、地道な努力がある――その当たり前の事実に改めて気づかされた。
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