布袋寅泰

ロックは反権力であるべきなのか 布袋寅泰の"投稿削除"が広げた論争の行方

2026.04.18 17:03
提供:ENTAME next

ギタリストの布袋寅泰が4月15日、自身のXで釈明コメントを発表した。これをきっかけに「ロックは反権力であるべきなのか」という論争が巻き起こり、ミュージシャンや音楽ファン、政治ウォッチャーらを巻き込んだ議論に発展している。

発端となったのは、英国の伝説的ハードロックバンド「ディープ・パープル」が4月10日に首相官邸を表敬訪問し、ロックやメタル好きで知られる高市早苗首相と面会したことだった。布袋は11日、Xに「未だかつて日本の首相がロックンロールと交わったことがあったか?素晴らしいことなんだよ」と好意的につづったが、これがネット上で波紋を呼んだ。

SNSでは「ロックミュージシャンが権力の太鼓持ちになるなんて」「ロックは反権力であるべき」「ロックの本質は反権力・反体制の精神にある」といった批判が噴出。音楽界からも反発の声が上がり、ロックデュオ・LOVE PSYCHEDELICOのギタリスト・NAOKIは、布袋の投稿に対して「ハッキリ言っておきたい。全く素晴らしいと思わない」「芸術に政府のお墨付きなんていらない」と記し、権力との距離感に疑問を呈した。

その一方で「ロック=反権力なんて感覚が古すぎる」「音楽で思想を強制するのはロックじゃない」「反体制じゃなきゃダメだなんて、ロックはそんな不自由なものじゃないはず」といった声もあり、賛否両論が巻き起こった。

この騒ぎを受けて、布袋は投稿を削除。15日に「Deep Purpleが官邸で首相とお会いしたというニュースを読み、同じく彼らの音楽を聴いて育った世代の一人として、その嬉しさを素直に呟いたつもりでした」と説明した上で、「表現が大袈裟かつ、不用意だった」と遺憾の意を示した。

布袋の釈明で騒動は一区切りついたように見えたが、音楽ファンやミュージシャンらに「ロックは本当に反権力であるべきなのか」という問いが突き付けられたことで、論争はさらに拡大している。

もう一つの議論の種となったのが、4月12日に都内で開かれた第93回自民党大会でのロック歌手・世良公則のパフォーマンスだった。世良はサプライズゲストとして登場し、生ギター1本で代表曲『燃えろいい女』を披露。サビの一節を「燃えろサナエ〜」と替えて歌い、高市首相にエールを送ったことが賛否を呼んだ。ロックミュージシャンが政権与党のイベントに登場し、首相を持ち上げる構図は、布袋の投稿以上に「権力との近さ」を感じた人も多かったようだ。一連の騒動への反発が大きくなった背景には、やはり「ロック=反体制・反権力」というイメージの根強さがある。ロックは歴史的に若者の社会への反抗心や独立心と結びつきながら発展し、60年代にはカウンターカルチャーとも強く接続した。だからこそ、いまでも「ロックが権力に近づきすぎるのはよくない」と感じる人が少なくないのだろう。

過去のプロパガンダなどの事例を考えても、政治と芸術が接近することに警戒感が生まれるのは自然なことだ。権力が文化を"箔付け"に使おうとするとき、表現の自由や批判精神が損なわれる危険性がある。ただし、その歴史をそのまま「ロックは絶対に反権力であるべき」という規範に変えてしまうと、音楽の自由性が失われる。ロックは恋愛や若者カルチャーなどを題材にした楽曲も多く、反体制的なメッセージを押し出さない作品は昔から存在していた。反権力の精神はロックの重要な一面ではあっても、唯一の定義ではない。

いまの若い世代は、音楽のジャンルに政治思想の一貫性をそこまで求めない傾向もある。支持の理由はサウンドやビジュアル、歌詞の世界観、ライブの熱量など多様化しており、「ロックとはこういうものだ」と一つの定義で括ること自体が難しくなっている。そうした背景を踏まえて、今回の騒動は布袋や世良の言動が問題だったというより、ロックに対して世代ごとに抱くイメージのズレが噴出した出来事だったとの見方もある。

実際、音楽業界でも意見は一枚岩ではなかった。「権力にすり寄るロックはロックではない」という従来の感覚に基づいた声がある一方、「"反権力でなければ失格"という同調圧力こそロックらしくない」「ロックはもっと自由であるべき」と異論を訴える人もいた。今回の論争が興味深いのは、単なる保守とリベラルの争いではなく、「ロックをどう定義するか」という美学の衝突にもなっている点である。

また、一連の騒動で布袋や世良の音楽性や実績を否定するような言説も流れたが、ミュージシャンがどんな政治的立場を示そうと、そのことだけで作品価値まで即座に否定すべきなのかという問題も残る。政治的スタンスへの評価と、音楽そのものへの評価をどこまで分けて考えるか。そこもまた、今回の論争が音楽ファンに投げかけたテーマだろう。

今回の騒動が示したのは、ロックの本質そのものより、ロックに何を求めるかが人によって大きく異なることだろう。反権力の精神を重視する見方もあれば、思想や立場に縛られない自由さこそロックだとする見方もある。その対立が可視化されたからこそ、この一件は単なる賛否の応酬にとどまらず、表現と政治の距離感を改めて問う論争になったのではないだろうか。

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