

「クレヨンしんちゃん」最新作、インドで異例の多言語公開へ 『RRR』インスパイアで世界市場を狙う一手
日本の国民的アニメ「クレヨンしんちゃん」が、再び世界の注目を集めようとしている。最新作『クレヨンしんちゃん 超華麗! 灼熱のカスカベダンサーズ』は、インド映画『RRR』(2022)の熱気に触発された作品で、9月26日から現地での公開も決定。英語やヒンディー語だけでなく、テルグ語・タミル語吹替版まで制作される異例の展開となり、日本アニメのインド進出を占う重要な一手となりそうだ。
「クレヨンしんちゃん」の劇場版といえば、既存の映画を大胆にオマージュしてきた歴史がある。たとえば『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』(2003)では『地獄の黙示録』(1979)、『襲来!!宇宙人シリリ』(2017)では『未知との遭遇』(1977)や『E.T.』(1982)をモチーフにした。そして最新作『クレヨンしんちゃん 超華麗! 灼熱のカスカベダンサーズ』は、日本でも大ヒットしたインド映画『RRR』(2022)の熱気にインスパイアされた作品だ。公開に合わせて放送された前日譚「みんなでインドに行くゾ」からも、その高揚感が伝わってくる。
「しんちゃん」は中国、韓国、スペイン、ブラジルなど世界各国で人気を博しているが、実はインドでも2006年から「ハンガマTV」で放送が始まり、瞬く間に定着した。ただ当時は下品なギャグやマイノリティをいじる表現が多く、検閲を受けながらの放送だったにもかかわらず「子どもに悪影響」と批判され、2008年には一度放送休止に追い込まれた歴史もある。それでも劇場版の7割が公開されるほどの人気ぶりで、今回は英語やヒンディー語だけでなく、テルグ語・タミル語版まで制作され、かつてない規模で上映される。<
インドでは「アニメ=子ども向け」という認識が強かったため、「しんちゃん」のように過激な作風はむしろ新鮮で、イベントでは大人のファンが多く集まる現象も見られた。しかし近年はNetflixなど配信サービスの普及により、大人向けアニメ市場が一気に拡大。『THE FIRST SLAM DUNK』や『すずめの戸締り』(2022)なども劇場公開され、2025年には『チェンソーマン レゼ篇』や『鬼滅の刃 無限城編 第一章』もインドのスクリーンを飾る。都会に限られるとはいえ、日本のアニメが同時期に複数公開されるのは異例の事態だ。
ただその一方で、「しんちゃん」はコンプラの影響で、すっかり無難なファミリー向けへと“矯正”されてしまった印象がある。従来のファンが期待する毒気は薄れ、インドの急拡大するアニメ市場の中で存在感を放てるかは未知数だ。しかし今回、物語の舞台をインドに移したことで、新たなファミリー層への浸透を狙っているともいえる。もし「ドラえもん」のように安心して楽しめる日本アニメとして認知されれば、ディズニーやイルミネーションの作品と並び、上映館の拡大や輸出促進にもつながるだろう。商業的には極めて重要な一手だ。
ちなみに株式会社ポケモンも2023年に「インドマーケティング室」を設立し、2024年から本格進出を開始。ムンバイでの大型イベントを皮切りに、カードゲームやキャラクターグッズの展開を積極的に進めている。長らく任天堂のゲーム機が正規ルートで流通してこなかったインド市場にも、いよいよ光が差し込みつつある。
アニメにゲーム――2025年は、日本エンタメがインド市場で大きな節目を迎える年になりそうだ。
▽ストーリーインドの“ハガシミール州ムシバイ”が春日部と姉妹都市になったことを記念して、「カスカベキッズエンタメフェスティバル」が開催されることになった。そのダンス大会で優勝するとインドに招待され、さらに現地のステージで踊ることができると聞いたしんのすけたちカスカベ防衛隊の5人は力を合わせ、大会で優勝しインドへ出発する。インド観光を満喫する中、怪しげな雑貨店に入ったしんのすけとボーちゃんは、そこで「鼻の形」に似たリュックサックを見つけ購入する。しかし、そのリュックサックには、とても恐ろしい秘密があった---。
▽クレジット原作:臼井儀人監督:橋本昌和脚本:うえのきみこ声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ ほか声の特別出演:賀来賢人・バイきんぐ主題歌:Saucy Dog 「スパイス」(A-Sketch)製作:シンエイ動画 テレビ朝日 ADKエモーションズ 双葉社配給:東宝2025年8月8日(金)より公開中
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