

【ライブレポート】感覚ピエロ、「解散」を発表した、あの日の記憶を目の前に…。
7月28日にバンド結成12周年を迎える感覚ピエロが、7月25日に渋谷音楽堂で、「FACE×FACE」と題した約1年振りになるワンマン公演を行った。この日4人は、アンコールの演奏に応えることなく、本編に並べた全19曲を、その時々に感じた気持ちのままぶつけてきた。その姿は、何かを吹っ切ろうとみずからを鼓舞するようにも見えれば、満員の観客たちを前に顔と顔を突き合わせ、沸き立つ感情という体温を互いに感じあうことへ喜びを覚えているようにも見えていた。最後に歌った新曲の『I Wish to See You Again』を届けるまでは…。
先に、この現実をお伝えせねばなるまい。感覚ピエロは、2025年10月に行う全4公演をもって「解散」することを発表した。その理由を、ギターの秋月琢登は「俺ら4人それぞれの、これから先の人生を踏まえたうえで、この結論に至った」と語っていた。さらに「解散じゃなくて活休という選択肢も取ろうとしたけど。中途半端にこの先俺ら4人がそこへ向き合っていくことのほうが、みんなに対して裏切ってしまうんじゃないかと思い、この決断をさせていただきました」とも伝えてきた。感覚ピエロがこの12年間で培った音楽は、バンドが活動を止めてもずっと残り続けてゆく。だからこそ彼らは、「俺らが生み出してきた楽曲は残るし、俺らも曲に救われるし、みんなも良かったら、俺らの曲をこれからも愛してもらえると嬉しいです」と、思いを述べていた。
振り返ってみれば、この日のライブは、感覚ピエロの12年間の歩みを網羅した中へ、彼らなりの生きざまを強く記した曲たちを多く並べていた。もちろん、先にピリオドが待っているとはいえ、13年目へ向けた思いも含めて…。ここからは、当日のライブの模様を振り返りたい。
ライブは、「拝啓、いつかの君へ~あんたの正義は一体なんだ?」と横山直弘が力強く歌いあげる『拝啓、いつかの君へ』から幕を開けた。唸りを上げて走り出した演奏。曲が進むごとに上がる熱を、満員の観客たちが手を高く振り上げてつかもうとしてゆく。感情を振り乱した横山直弘の歌声を筆頭に、メンバーらの演奏が熱を帯びるのに合わせ、フロアからも熱が上がりだすのが直に肌へ伝わってきた。気持ちが奮い立つ。だから、4人の繰り出す激しくもエモい歌声や演奏に触れ、力強く手を叩かずにいれなかった。
「やれんのか、東京!いくぜ、これが俺たちだ!!」と煽る声を合図に、『Japanese-Pop-Music』が飛び出した。さらに激しさと速度を上げた演奏が襲いかかる。その衝撃に刺激を受けた観客たちが、その場で高く飛び跳ねだす。エモさと攻撃性、2つの要素をミックスアップした楽曲がステージの上から殴りかかるたび、興奮を覚えた観客たちが高く、より高く飛び跳ねていた。止まることなく、『壊れたハートに火をつけろ』へ。鋼のビートを刻む滝口大樹のベース音が強烈なインパクトを放てば、スリリングでワイルドな演奏が心地好い緊張感を与える。タイトルの一節じゃないが、ハートに火を付け、熱く滾らせる演奏だ。そこへ4人は、活動初期からライブに熱狂を描き続けてきた『メリーさん』を叩きつけた。感情を突き刺すといえば良いだろうか、痛心地好い衝撃に触れて気持ちが上がり続ければ、興奮が収まらない!!
MCでは、約1年ぶりのワンマン公演になることを報告。そのうえで、「とことんまでいこうぜ!!」と横山直弘が煽りだした。
軽快に駆けだした『A BANANA』の演奏を合図に、フロア中の人たちが手にしたタオルや、振り上げた拳をくるくると回しだす。感覚ピエロは、この曲を通して、この場を最高にホットな真夏のビーチパーティーの場に染め上げた。先までの凛々しい姿とは異なり、この曲では、メンバーらも「踊り狂っちゃっていいんじゃない?」の歌詞通りの肩肘抜いた姿ではっちゃければ、観客たちと楽しく声をかけあっていた。
「もっと遊ぼうぜ!!」の言葉を合図にぶつけた『シェケナベイベ』では、ふたたびヒリヒリとしたスリリングな演奏を突きつけ、観客たちをオラオラと攻めたてる。最後に「ベイベ ベイベ シェケナベイベ」と、みんなでシンガロングしてゆく様も、嬉しく気持ちを騒がせた。そのうえで、アキレス健太の叩き出す跳ねたダンスビートに乗せて、彼らは『A-Han!!』を演奏。曲が進むごとに気持ちが跳ねだすのか、フロア中の人たちも高く振り上げた手を大きく揺らし、今宵のパーティーを気分上々に楽しんでいた。
MCでは、7月28日で13年目を迎えることを報告。そのうえで、次のブロックへ導くようにアキレス健太がビートを刻めば、そこへ滝口大樹が低音域の音を乗せ、さらに横山直弘がカッティングしたギターの音を重ねてゆく。そして秋月琢登がザクザクとしたギターの音を響かせるのを合図に、『無い ナイ 7i』へ。跳ねたロックンロールの上で横山直弘の歌と観客たちが声をかけあえば、騒ぐ気持ちのまま、大勢の人たちが心心地好く飛び跳ねていた。続く『変幻』では、変拍子を用いたスリリングでトリッキーな演奏を炸裂。そのうえで歌う横山直弘の歌声が、とてもエモかった。
「もっと本気を剥きだしてかかってこいや」と煽る声を合図に、激しくもエモーショナルな演奏や歌声をぶつけた『Break Together』が、感情を剥き出した姿で襲いかかる。その様に触れ、フロア中の人たちの気持ちが高ぶれば、興奮のボリュームもどんどん上がり続けてゆく。何時しかフロア中の人たちが、感情を振り乱して飛び跳ねていた。そこへ…。
その場の空気を一気に塗りかえるように、ギターのアルペジオの音が切々と鳴り響く。マイクを前にした詩人が荒々しく語るように、白いライトを浴びた横山直弘が歌いだしたのが『感染源』。彼の歌声へアキレス健太と滝口大樹の演奏が優しく音を寄り添える。まるで自問自答するように、横山直弘は辛辣な言葉たちを次々と吐き出してゆく。そこへ秋月琢登のギターの音が激しく振り降ろされるのを合図に、より激しく感情を振り乱した演奏に様変わっていった。生きる根源を示す言葉の数々が鋭利な矢になり、胸に突き刺さる。なんて辛辣で、強烈な、心を裸にしてゆく歌だ。続く『共犯』でも彼らは、ラブソングという形を取りながら、ヒリヒリとした辛辣な言葉(本心)を突きつけてゆく。そんな心の叫びを、誰もがしっかりと胸の内で抱きしめていた。
セッション風の幕開け。そこへ観客たちもクラップで参加。先の空気をふたたび塗りかえるように、感覚ピエロは『サイレン』を通して、この場を情熱的なダンスパーティーの場へ染め上げていった。気づいたら、フロア中の人たちが手を高く振り上げ、湯邪気に飛び跳ねていた。
MCで横山直弘が、過去は変えられなければ、未来に保証はない。でも、今は変えられると語っていた。そのうえで届けたのが『ハルカミライ』というのが嬉しい。
「曖昧な言葉なんかじゃ何一つ叶わない わかってる わかってるんだ」と、感情を振り乱して歌いあげる声。そこへ強烈な音の衝撃が重なるのを合図に、『ハルカミライ』の演奏が始まった。今、この場にいる一人一人の未来へ向けてエールを送るように、彼らは歌い奏でていた。だからフロア中の人たちも、4人が指し示す未来へ向かって手を延ばしていた。
「遊ぼうぜー」の声を合図に飛び出した『CHALLENGER』を合図に、観客たちが一斉に沸きだした。横山直弘の噛ますラップへ向け、フロア中の人たちも全力で沸き立つ感情をぶつけだす。気づいたら、共に声を張り上げ、気持ちを激しく揺らすロックなパーティーをこの場に作りあげていた。さらに畳みかけるように、感覚ピエロは『疑問疑答』をブースト。誰もが理性のスイッチを叩き怖し、気持ちが騒ぐままに声を張り上げ、拳を突き上げていた。そこへ彼らが『革命リアクション』を叩きつけてくるんだもの、クレイジーにならないわけがない。理性をクラッシュする衝撃的な音楽に触れ、場内中から感情を剥き出しにした声が次々と張り上がれば、その場で思いきり飛び跳ねる景色が広がっていた。さらに追い打ちをかけるように『Sing along tonight』を演奏。誰もが大きな声を張り上げ、熱狂をむさぼるように食い散らかしてゆく。演奏に合わせて、観客たちが激しく身体を折り畳む様も圧巻だ。
最後の曲を前にして告げた、「解散」の発表。その衝撃に言葉を失った満員の観客たちを前に、感覚ピエロは最後の曲として、(メンバーいわく)最後の新曲になる『I Wish to See You Again』を届けてくれた。とても意味深なタイトルだ。今の彼らの心情を記した言葉の数々がとても気になる。彼らは歌っていた「最初で最後のさよならを」と。この曲が、彼らからの別れの手紙になるのだろうか。バンドの歩みにピリオドを打つ日までは、まだ少しの日時が残っている。本当に「グッバイ」と告げる日までは、もう少し感覚ピエロという心と繋がっていたい。
TEXT:長澤智典
セットリスト
『拝啓、いつかの君へ』
『Japanese-Pop-Music』
『壊れたハートに火をつけろ』
『メリーさん』
MC
『A BANANA』
『シェケナベイベ』
『A-Han!!』
MC
『無い ナイ 7i』
『変幻』
『Break Together』
『感染源』
『共犯』
『サイレン』
MC
『ハルカミライ』
『CHALLENGER』
『疑問疑答』
『革命リアクション』
『Sing along tonight』
MC
『I Wish to See You Again』
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