

奇抜監督ロバート・エガースが古典ホラーを”異なる愛のかたち”として描いた『ノスフェラトゥ』
『ウィッチ』(2015)や『ライトハウス』(2019)など、想像を超えるストーリーテリングと奇抜な映像センスで世界を魅了してきたロバート・エガースが、次に手掛けたのは、名作中の名作古典ホラー「吸血鬼ノスフェラトゥ」の再映画化。
「吸血鬼ノスフェラトゥ」とは、ヘンリック・ガレーンの原作による古典ホラーであり、F・W・ムルナウによって1922年に映画化され、その後も様々なアプローチによって、様々な媒体で描かれてきた作品で、多くのホラー作品に影響を与え、ルーツともなっている。そしてそこに、ブラム・ストーカー原作「吸血鬼ドラキュラ」の要素も組み合わせることで、エガースならではの『ノスフェラトゥ』が誕生した。 エガースが「吸血鬼ノスフェラトゥ」を再映画化するために脚本を書き始めたのは2015年。『ウィッチ』が評価され、多忙になったことも重なって、なかなか実現させることができなかった夢の企画が、ついに実現したという点では、エガースの原点でもあり、新境地でもある特別な作品といえるだろう。
舞台は1922年の映画版と同じく、1838年のドイツ。ペストの流行初期やネズミの大量発生といった、当時の人々が日常的に抱えていた不安や恐怖、あるいはそこから生まれた精神疾患といったものを1922年版以上に強調することによって、ノスフェラトゥという怪物の物理的恐怖なのか、周りの環境や宗教ベースの思想からくる幻覚や妄想なのかの境界線が不安定になり、オリジナルをリスペクトしつつも、新たなノスフェラトゥ像を構築することに成功している。ちなみに有名な影のシーンのオマージュも忘れてはいない。
ホラーというジャンルではあるが、今作が描こうとしているのが”異なる愛のかたち”とい点にも注目してもらいたい。作品のキャッチコピーも”ゴシック・ロマンスホラー”とあるように、メインテーマは”愛”についてなのだ。
“愛”といっても人によっての解釈や受け止め方は違ってくる。今作で描かれているのは、暴力や抑圧といった、いわゆる有害な男らしさによる支配的な愛と、相手を尊重した抱擁的な愛である。エレン(リリー=ローズ・デップ)は、一時的な快楽として、ノスフェラトゥの支配的な愛を選択してしまうが、その後に出会ったトーマス(ニコラス・ホルト)の抱擁的な愛によって安らぎを得られたことから、支配愛を受け入れてしまった呪縛から逃れたいと思っている一方で、どこかでそれを求めてしまっている部分もある。エレンが周りを巻き込みながら、自身の愛にどう決着をつけるのかを描いている点は、ホラーベースとはいえ、昼ドラのような物語にも思える。
そして作品に彩りを加えるのが、くせ者俳優陣。オルロック伯爵(ノスフェラトゥ)を演じているビル・スカルスガルドやエガース作品ではお馴染みになりつつあるウィレム・デフォーは勿論なのだが、エレンを演じたリリー=ローズ・デップの怪演は見事。リリーといえば、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘としても知られおり、『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』(2016)や『ヴォイジャー』(2021)といった作品でも俳優としての魅力は伝わってくるのだが、今作での体当たり演技は、今まで以上に目を見張るものがある。間違いなくリリーの新境地といえるだろう。
一方エガースは、次回作でも古典ホラー「狼男」を再映画化することが発表されている。今作同様に「狼男」も多くの再映画化、独自解釈による派生作品などが制作されているが、今作を観る限りでは期待しかない。今後、エガースによるユニバーサル・モンスターシリーズも観てみたいものだ。 ▽ストーリー物語は不動産業者のトーマス・ハッターが、仕事のため自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵へ会いに行くところから始まる。トーマスの不在中、彼の新妻エレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から夜になると夢の中に現れる得体のしれない<彼>の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる……。
▽原題『Nosferatu』監督・脚本:ロバート・エガース出演:ビル・スカルスガルド、ニコラス・ホルト、リリー=ローズ・デップ、アーロン・テイラー=ジョンソン、エマ・コリン、ラルフ・アイネソン、サイモン・マクバーニー、ウィレム・デフォー ほか製作年:2024 年製作国: アメリカ・イギリス・ハンガリー配給:パルコ ユニバーサル映画5月16日(金)より TOHO シネマズ シャンテほかにて公開中
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