

【何観る週末シネマ】成功しても死んだら巻き戻し?インド発SF政治風刺『政党大会 陰謀のタイムループ』
この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、『政党大会 陰謀のタイムループ』。気になった方はぜひ劇場へ。
〇ストーリードバイから友人の結婚式に参列するためにインドに帰ってきた青年・カーリクは、偶然出会った警察官・ダヌシュコディに拘束され、政党大会で暗殺テロを起こすよう強要される。カーリクは現行犯として射殺されるが、その途端に同じ日の朝に引き戻される。タイムループが起きていることを理解したカーリクは、テロを止めることを決意するが、タイムループは繰り返されていく。タイムループを引き起こす契機となるのは、自らの身に降りかかる災禍であることが分かっても、彼は躊躇しない。それを止めなければ、インド全体に憎悪と暴力と不正を振りまくことになるからだった。孤独な戦いを続けるカーリクの背後には何らかの大いなる力がはたらいているのか?
〇おすすめポイントインドでも多くのタイムループものが制作されている。ドイツ映画『ラン・ローラ・ラン』(1998)をリメイクしたNetflix映画『エンドレス・ルーーープ』(2022)や『Jango』(2021)、5月9日からインドで公開される『Bhool Chuk Maaf』などなど、いくつかの作品がある。
タイムトラベルにまで幅を広げると、かなり多くの作品があり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)を大雑把に下敷きとした『Action Replayy』(2010)や『あの時にもう一度』(2016)なども有名であるが、日本でもいつのまにか配信されていた『タイム・スプリンター』(2024)といった低予算映画まであったりもする。それに加えて、近年は、劇中のセリフでもタイトルが出てくるが『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)や『ハッピー・デス・デイ』(2017)などの海外作品やアメコミ映画の影響も強くなっていて、SFとインドの社会情勢、神話などを組み合わせた大衆娯楽作は年々多くなってきている。ちなみに劇中でタイムループ映画の例を挙げていく下りは、『ハッピー・デス・デイ』のパロディだ。
とくにタミルにおいては、タイムトラベルが主体となった作品としては初となる『Indru Netru Naalai』(2015)以降、多くのSF作品を制作している。そのため、タミル語映画において、タイムトラベルというジャンル自体は、決して珍しい題材ではない。だからこそ、常に新しさを求められるともいえるジャンルとだろう。
今作を手掛けたヴェンカト・プラブといえば、2000年代後半からのタミル・ニューウェーブを支えた監督のひとりであり、近年はドラマシリーズのクリエイターとしても知られている。ファンタジー・ホラードラマ「Mangalya Dosham」では、265話のうち167話の監督を務めた。ヴィジャイ主演の新作『The Greatest of All Time』(2024)もSF要素の強い作品になっていたように、常に新しさを求めるハングリーなクリエイターといえるだろう。
今作においても、ポリティカル・サスペンスとSFを組み合わせることで、大規模な政治風刺作となっている。アメリカでもトランプ政権への不安と恐怖をホラーやサスペンスに変換した作品を多く制作したように、インドでもモディ政権、ヒンドゥー至上主義への不安と恐怖は多くの作品に反映されている。
前半はタイムループものとしては王道的な展開に思えるかもしれないが、後半に投入される追加ギミックが、物語をより複雑化させる。そんな巧妙な脚本にも注目してもらいたい。
〇作品情報監督:ヴェンカト・プラブ脚本:ヴェンカト・プラブほか 出演:シランバラサン、S・J・スーリヤー、カリヤーニ・プリヤダルシャンS・A・チャンドラシェ―カル、Y・G・マヘーンドラン、アラヴィンド・アーカーシュ、カルナーカラン、プレームジ・アマランほか原題:Maanaadu 2021年/インド/タミル語/147分/R15+配給:SPACEBOX2025年5月2日より新宿ピカデリーほか全国順次公開
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