

SKE48荒井優希とアプガ(プ)が最初で最後の共演、渡辺未詩「単なる共演ではなく闘い」
荒井優希が3月31日でSKE48を卒業する。4月からもプロレスラーとして東京女子プロレスのリングに上がりつづけるが、彼女の代名詞でもあったアイドルとプロレスの「二刀流」という看板はここで幕を閉じることになる。そんな彼女にアイドルとしての本拠地である名古屋で華やかなカウントダウンがなんと3日間に渡り、用意された。中でも、注目すべきコンテンツとは?元『週刊プロレス』記者の小島和宏が綴る。
まず3月29日に名古屋・中日ホールにて東京女子プロレスの試合。翌30日には同所にてリングとステージを併設しての大会を開催。この日は東京女子プロレスの試合だけでなく、SKE48メンバー出演による「荒井優希卒業LIVE」もおこなわれる豪華二本立て興行(チケットはすでに完売)。そして3月31日にSKE48劇場で卒業公演。3日連続での卒業関連イベント開催はなかなかない。二刀流としての実績が認められての豪華な花道、ということなのだろう。
まだ対戦カードなどは発表されていないが気になるコンテンツがある。それは3・29中日ホール大会。この日、荒井優希とアップアップガールズ(プロレス)のコラボステージが開催されるのだ。
アップアップガールズ(プロレス)は毎大会、歌のコーナーでパフォーマンスしている。名古屋大会やビッグマッチではSKE48のミニライブが開催されることもあり、ひとつの大会でそれぞれのライブがおこなわれることがあっても、アイドルとして同じステージで「共演」することはいままでなかった。荒井優希の卒業2日前、というギリギリのタイミングで“最初で最後”の歌の共演が実現することとなる。
いまさらアイドル同士の共演など珍しくないのでは、と思う方も多いかもしれないが、けっしてそんなことはない。
「そうですよね。48グループさんと、アップアップガールズ(仮)姉さんから考えるとアップフロント系の流れを汲むアイドルグループが一緒のステージでコラボするなんて、アイドルのイベントでもあまり見ないですよね? プロレスのリングで優希さんと組んだり闘ったりすることは、もう慣れたというか、当たり前のことになりましたけど、アイドルとして共演となると、やっぱり特別な感情が沸いてきますよね」(渡辺未詩)
以前、AKB48グループのメンバーとモーニング娘。のメンバーとで対談してもらったことがあるが、お互いのライバル心について尋ねると「あまりにも種類が違いすぎて、ライバル心を抱いたことはない」とお互いのうらやましいところを言い合うだけの時間がいつまでも続いた。同じアイドルという括りの中で活動はしているけれど、ある意味、対極に位置しているのだ、と。
ももいろクローバーZの佐々木彩夏が主宰するアイドルフェスでは、参加してくれたアイドルへのリスペクトを込めて、すべてのアイドルと佐々木彩夏がコラボをしていた。持ち前のセンスと器用さで、どんなステージでもサラリとこなしてみせる彼女だが、リハーサルでHKT48とアップアップガールズ(2)とのコラボ曲が続いたときには、舞台裏で珍しくへたりこんでいた。
「だって、まったくダンスの種類が違うんだよ! 考える頭も違えば、使う筋肉だってまるで違う。さすがにこれはヘトヘトになるって!」(佐々木彩夏)
そんな現場を見てきただけに、荒井優希とアップアップガールズ(プロレス)のコラボが楽しみで仕方がない。少しでも多くのアイドルファンに目撃してもらいたい共演だし、ひょっとしたらアップアップガールズ(プロレス)にSKE48のDNAが注入される歴史的な瞬間を目の当たりにすることができるかもしれない。
「でも。びっくりですよね。荒井さんがプロレスラーだけになり、逆に私たちがアイドルとプロレスの二刀流を続けていくことになるなんて!」
渡辺未詩が所属するアップアップガールズ(プロレス)は最初からアイドルとプロレスの二刀流を掲げて結成されたグループ。すでにプロレスラーとしては最高峰のベルトも巻き、堂々たるトップレスラーとなった渡辺未詩だが、プロレスラーとしての実力をキープしながら、アイドルとしてジャンプアップすることが唯一無二の二刀流を続けていくためには大切なテーマ。昨年はデビュー以来、出演しつづけてきた真夏の祭典『TOKYO IDOL FESTIVAL』に出られず悔しい思いをした(その真裏で試合に出場したら、トーナメントで敗退してしまうという踏んだり蹴ったりの結果に)。
アイドルとして新たなキャリアを積むことは難しいが、東京女子プロレスのリングに上がっていることで、貴重な体験を立て続けしている。
2月10日にはアーティストの聖地・日比谷野音でアイドルとしてソロ曲を披露。まもなく一時クローズとなる会場だけに、アイドルとして、しかもソロ曲を披露できたことは大きい。プロレスのコスチュームではなく、わざわざアイドルの衣装に着替えて熱唱したところに、渡辺未詩のアイドルとしての強い意志を見たような気がする。
2月15日にはニュース番組でも大きく報じられた『新幹線女子プロレス』(東京→新大阪間を走行する新幹線の中で闘う!)では、満席となった新幹線の通路で歌う、という他のアイドルには真似のできない経験までした。
それらがフィードバックされれば、アイドルとしての殻を破ることも不可能ではない。
実際、荒井優希はプロレスで得たものをステージに還流し、選抜復帰を果たした。昨年秋に何年かぶりでSKE48劇場での公演を観覧させてもらう機会があったのだが、そのステージで荒井優希が纏っていたオーラは、もはや「凄み」を感じるものだった。奥底にプロレスが源流のスピリッツがきっと流れているからなのだろう。
「SKE48さんって、やっぱり体育会系でかっこよくバッキバキに踊るってイメージじゃないですか? でも、それってアップアップガールズ(プロレス)も大切にしている部分だと思うんですよ。だから負けていられないし、優希さんとのコラボは単なる共演ではなく、私たちにとっては“闘い”でもあるんだと思います」
プロレスラーとして荒井優希と渡辺未詩の闘いの歴史はまだまだ続いていくし、大会場のメインイベントで対峙する未来予想図も描かれている。そんなふたりがこのタイミングでアイドルとしてコラボすること……それは数年後、語り草になっているかもしれない。
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