＜よその子ならいいけど＞今の時代、高校卒業後に就職ってアリ？個人の自由ではあるけど本音は…

高校卒業後の進路は、その先の人生に関わる大きなターニングポイントのひとつといっても過言ではないでしょう。大学や専門学校に進むのか、就職をするのか……親であれば、わが子の高校卒業後の進路について、悩むことも少なくないのではないでしょうか。実際のデータによると、令和6年3月に高校を卒業した子たちの大学等への進学率は61.9%。普通科に限れば71.3%が進学しているので、大学等への進学はもっとも一般的なルートと考えることができます。
参考：文部科学省｜高等学校卒業者の学科別進路状況（令和6年3月卒）＜グラフ＞

高校普通科卒業後に就職するのは、全体の6.2%と少数派

高校卒業後の就職について、ママスタコミュニティに相談が届きました。
『勉強が苦手なわが子、大学進学は難しそう。でも今の時代、高卒で就職するのって正直どう？　自分の子どもだったらと想像して、ご意見がほしいです』
先述のデータからすれば、たしかに高卒で就職する子は少数派。普通科卒業後の就職者は、全体の6.2%です。
『勉強が苦手なのに無理に大学に行っても、お金の無駄。中退してフリーターになる子も多い。それなら最初から高卒で正社員のほうが、本人のためになるのでは。若い子は会社も大事にしてくれる』
現実では高校卒業後に就職をする人は少ないとはいえ、ママたちからは就職を肯定するコメントが相次ぎました。
進学する人が多いなか、就職を選ぶ人は少数ですが、令和6年度の高校・中学新卒者のハローワーク求人での就職内定率は99.0%と高水準です。就職内定者は約12万人で、全体で見れば少数派であっても、高卒で就職することはけっして珍しくはありません。
参考：厚生労働省｜令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ

「わが子だったら」高卒で就職、どう思う？

高校卒業後に進学をするか、就職をするか、それは個人の自由です。これがわが子でなければ、多くがこのように思うかもしれません。しかし、投稿者さんが尋ねているのは、それが「わが子だったとしたら」。一般論ではなく、自分ごととして考えてほしいのでしょう。
『何も思わない。高卒で就職する子もいるでしょう。今まで勉強を頑張ってこなかったのなら仕方ない』
『うちの子は普通科高卒で就職したよ。入学時は大学進学予定だったけど成績も下降して、学校も休みがちに。大学で勉強したいこともないようだったから、就職を勧めた』
高卒後に就職したお子さんのママからも声が届きました。こちらのお子さんは「結果的に仕事が本人に合っていたようだし、1年目からボーナスもたくさんもらえた。親としてホッとした」とのこと。この方のように、当人の様子を見て就職を勧めたママもいます。「成績は普通だけど勉強は好きではない。『目的なく進学するくらいなら就職で』と勧めた」「目的があれば進学でもいいと思っていたけど、本人もただ遊びたいだけだと気づいたようで就職に」などの声がありました。

高卒で就職はお得？大学費用が浮くし、求人も多い

あえて就職を勧めたママたちもいたように、高卒で働くメリットを挙げたコメントもありました。
『勉強したくない子を無理に進学させて何百万円も捨てるなら、就職するのもひとつの手段では』
一番わかりやすいのは、大学進学にかかる費用が不要なこと。勉強が苦手ならレベルの高い大学には進学できないでしょうから、その後の就職を考えると「レベルの低い大学卒より、高卒のほうが今は窓口が広いかも」「自分に合う場所で働けるなら、高卒でもいいのでは」という意見も。
『今は人手不足で売り手市場。変に染まっていない、高卒の子たちを求める企業もあるらしいよ』
最近の情報をくれた方もいました。お子さんが工業高校生で就職予定というママは、「求人がいっぱいある。大企業からも来ているし」と教えてくれました。
『私は勉強もやりたいこともなく、高卒で就職。入社後にシステム開発に興味が出て、仕事を2年で辞めて専門学校に。今はSEをやっている。今の時代はどんな進路を選んでもアリな気がする』
一旦就職してから専門学校や大学に入ったという経験談も、いくつかありました。人生の選択肢が多い今、一度就職したからといって、同じ職場で定年まで勤めあげるとは限りません。転職はもちろん、退職して新たなことを学ぶルートだってあり得ます。

勉強からの逃げで就職って、どうなの？専門学校という選択肢も

とはいえ、わが子であればやはり進学を勧めたいママも少なからずいました。
『自分の子なら大学を出てほしい。給与や昇進も違うし、高卒は転職するにも不利。今はよくても、将来学歴にコンプレックスを持つかも。結婚するときも、相手の親に「高卒か」と思われそう』
現実を考えるとやはり大卒と高卒では生涯年収に違いがあるでしょうし、職業選択の幅が変わることもあります。同世代の多くが大卒なら、いずれそこに劣等感を抱く可能性も考えられます。
『大学は座学をするだけの場ではないよ。興味ある分野の考えを深めたり、視野を広げることもできる。わが子には、やっぱり大学生活を経験してほしい』
大学は社会に出るまでの猶予期間。そう考えることもできます。「サークルやバイト、留学。大学のときにしかできない経験をしてほしい」というコメントもありました。
『勉強が苦手だから高卒で働くの？　働き出してからもずっと勉強は続くんだけどな。好きなことがあって早くその道に進みたいならともかく、勉強したくないという理由で働くとなると、社会に出てもうまくいくイメージがわかない』
わが子がやりたいことなら全力で応援したいママも、逃げ道としての就職となると複雑かもしれません。「勉強が苦手ならせめて手に職をつけられるよう、専門学校を勧める」という声に代表されるように、専門学校への進学を勧めたいというコメントも複数ありました。
ただ……。そもそもの話ですが、投稿者のお子さん自身はどうしたいのでしょう？　これ以上勉強したくないから就職したいのか、レベルは高くなくても大学に進学したいのか、技術を身につけるために専門学校に行きたいのか。お子さんも迷っているのか、先走った投稿者さんが心配しているだけなのでしょうか。まず何よりも優先すべきは、本人の意志です。そのうえで今回挙げられたいくつもの可能性を伝え、本人にじっくり考えさせてみてはどうでしょう。そのうえで選んだ結論なら、親の口出しはもう不要かもしれません。

文・鈴木麻子　編集・みやび　イラスト・Ponko