「Eye Love You」チェ・ジョンヒョプが先駆者に「虎に翼」「ブラックペアン２」…韓国俳優の日本作品進出で“日韓スター共演”続出

「Eye Love You」チェ・ジョンヒョプが先駆者に

2024年、とりわけ目立つのが韓国俳優の日本ドラマ進出。地上波GP帯でメインの役どころやキーパーソンなど、作品の中心的人物として置かれていることが多く、視聴者から熱い視線を集めている。こうした“日韓作品”を語るうえで欠かせないのは、1月期に放送されたTBS系ドラマ「Eye Love You」にヒロインの相手役として出演したチェ・ジョンヒョプ。ピュアな年下韓国人留学生“テオくん”を愛らしさ満点に熱演。日本ではあまり知られていない韓国文化によるアプローチにも悶絶の声が溢れた。

韓国俳優がヒロインの相手役を務めるという民放GP帯連ドラ史上初の試みに挑んだ彼だが、韓ドラ界においては近年徐々に主人公抜擢が増えトップへ駆け上がっている最中の“ライジングスター”。しかし慣れない環境の中でも見事その芝居で作品を成功に導き、異例の日本進出を果たした。

これをきっかけに彼の日本人気は瞬く間に火がつき、X（旧Twitter）のフォロワーはすでに10万人を突破（6月19日時点）。6月1日・2日には千葉・幕張メッセで大規模ファンミーティングを実施するなど、たしかな結果を残した。

そんな日韓作品の先駆者・ジョンヒョプに続き、後輩のキム・ムジュンが、7月7日スタートのTBS系日曜劇場「ブラックペアン シーズン２」（毎週日曜よる9時～）に韓国人研修医役として抜擢された。2020年に俳優デビューしたムジュンは、日本でもブームを巻き起こしたドラマ「わかっていても」（2021）で、彫刻科学生・ユセフンを好演し知名度を拡大。MBCドラマを対象とした「2023 MBC演技大賞」では新人賞を獲得し、韓国でも期待されている俳優の一人だ。

他にも、現在放送中の連続テレビ小説「虎に翼」（NHK総合・毎週月～土あさ8時～ほか）に、留学生の崔香淑役として韓国女優のハ・ヨンスが出演。日本のお茶の間を代表する“朝ドラ”という歴史ある枠に飛び込んだ彼女は、流暢な日本語と表現力で、実力派俳優陣に引けを取らぬ演技で魅了している。また、2PM（トゥーピーエム）のオク・テギョンは、俳優の木村拓哉が主演を務める映画「グランメゾンパリ」（2024年冬公開予定）で日本映画初出演を果たす。

さらに2025年には、主演に小栗旬、ヒロインにハン・ヒョジュを迎えた日本発Netflix新作ロマンスシリーズの制作が決定。中村ゆり、赤西仁ら日韓豪華キャスト・スタッフが集結し大きな注目を集めている。

一方、既述の逆パターンとして日本人俳優が韓国作品に出演することも。Netflixシリーズ「寄生獣 －ザ・グレイ－」では、俳優の菅田将暉が登場し、彼の韓国ドラマデビューがネット上で大きな話題に。俳優の坂口健太郎は、韓国のCOUPANG PLAY（クーパンプレイ）オリジナルシリーズ「愛のあとにくるもの」（2024年公開予定）で女優のイ・セヨンとともにW主演を務める。

コロナ明けで“日韓作品”増加中

現在、韓国企業と協業協定を締結するテレビ局も増え始めており、日韓共同製作に力を入れていることがうかがえる。TBSグループと韓国の総合エンターテイメント企業CJ ENM（シージェイ・イーエヌエム）は、今後3年で3本以上の地上波ドラマ、2本の劇場用映画を共同制作することで合意したことが明らかとなった。2社で共同制作されたドラマは、2025年のTBS地上波ゴールデンタイムで少なくとも1本が放送されることが決定しており、将来的には日韓で同時放送や映画の同時劇場公開なども検討していく予定だ。さらに、テレビ朝日は韓国の大手スタジオSLLとドラマを中心としたコンテンツビジネス分野での相互協力、関係強化を目的とした協業協定を締結したことを発表した。

こうした背景には、Netflixなど定額制動画ストリーミングサービスの規模の拡大が一つの大きな理由としてあるだろう。住む地域や時間に囚われることなく視聴できることを武器に、同サービスを通じ視聴する人が急増。韓国ドラマや日本アニメなど多様な海外コンテンツにも触れられ、世界中のファンの目に留まることで作品のヒットの鍵を握る。さらに、コロナ禍が明け、国を行き来する撮影も可能となり、日韓での交流の活性化はもちろん、作品をよりグローバルなものとして精度を高めていくこともできる。それぞれの国の技術やキャスト・スタッフ陣の実力を吸収し高め合うことで、映像作品の可能性が無限に広がっていく。言語も文化も異なる2国のタッグが、これからどんな化学反応を起こすのか、期待がかかる。（modelpress編集部）