「虎に翼」のどか役・尾碕真花、伊藤沙莉&岡田将生へ悩み相談 2人の“解決法の対比”が寅子&航一と重なる【インタビュー前編】
2024.08.30 08:15
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2024年度前期連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)で星のどか役を演じている女優の尾碕真花(おさき・いちか/23)にモデルプレスがインタビュー。繊細な心の機微や感情が爆発するなど難しいシーンも多いが、悩む彼女を救ったのは伊藤沙莉&岡田将生だった。
伊藤沙莉主演「虎に翼」
第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士である三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんをモデルに描くリーガルエンターテインメント。主人公の佐田寅子(さだ・ともこ/通称・トラコ)を、主演の伊藤沙莉がつとめる。寅子は戦争で夫・優三(仲野太賀)を失うが、それから時が経ち、配属された新潟で互いに惹かれ合った星航一(岡田)と“永遠を誓わない愛”を育むことに。新潟での3年間を経て東京に戻り、航一の継母・百合(余貴美子)、息子・朋一(井上祐貴)、娘・のどかと対面する。
尾碕真花「虎に翼」オーディションは「完全に落ちたつもりだった」
― まずは出演が決まった経緯を教えてください。尾碕:オーディションを受けたのが去年の夏頃で、今年の春ぐらいに「のどか役として出演していただきます」というご連絡をいただきました。私はすでに落ちたつもりだったというか、多分「虎に翼」に出ることはないだろうなと思っていたのでびっくりして。完全に落ちたつもりだったからこそ喜びも大きかったです。
― 「虎に翼」のオーディションではあったけど、どの役が来るかはわからないものだったんですね。
尾碕:全くわからなくて。オーディションで使用した台本も、ここまでで出てきてもいないシーンのものでした。もしかしたらどこかで出てくる予定の台本だったかもしれないですが。
― 後半から重要な役柄での出演となりますが、すでに盛り上がっている「虎に翼」の世界に入ることに不安やプレッシャーはありましたか?
尾碕:出演することが決まったときは、「誰もが知っている作品に途中から参加するってどうなるのかな」と少し不安がありました。でものどか役が決まって改めて1話から観て、すごく面白くて。「この世界に入れるのすっごく楽しいかも」と思って、それから不安な気持ちは払拭されてワクワクするような気持ちに変わっていきました。
「虎に翼」のどか役としての登場に「ドキドキしてます」
― これからご自身が登場されますが、今はどのようなお気持ちですか?(※取材は8月上旬)尾碕:まだドキドキしてます(笑)。今も撮影は続いているんですけど、笑ったり泣けたりするシーンもあるので、星家がこの後どうやって動いていくのか注目していただきたいです。でもやっぱり「大丈夫かな」みたいな不安な気持ちもあります(笑)。毎日のようにトレンド入りしていて、皆さんが本当に楽しんで観ている人気の作品だということもひしひしと感じているので、私が壊してしまわないか少し不安はあるんですけど、楽しんで頑張って演じているので、視聴者の方に『星のどか』が馴染めば嬉しいなと思っています。
尾碕真花が考えるのどかの人物像
― 尾碕さんはのどかをどのような人物だと捉えていますか?尾碕:芯も強いしのどか自身考えていることもたくさんあって、色々な我慢をしてきたと思います。すごくいい家庭に生まれて順風満帆に育っているんですけど、やっぱりお父さんや家族との溝が上手く埋められていないままだなと。あと、私自身は割と感情を表に出すタイプなんですが、のどかはそこがちょっと違う。多分考えていることはあるし、自分の中での正解も見つけてはいるんでしょうけど、人に伝えるときに自分の意見ではなく周りがどう思うか、どういう意見を言った方がその場がスムーズに進んでいくか、みたいなことを熟考して言葉を発するタイプなのかなと思っています。
― 朋一が先に寅子と打ち解け、のどか対ほかの家族のような構図になってしまう展開となります。演じていても辛い場面だったのではないかと思いますが、役作りではどのようなことを意識されましたか?
尾碕:私が普段怒るときや心情をわっと発するときとはまたちょっと違うというか。言いたかったわけじゃないけど本音が出ちゃった、泣いちゃった、自分でもちょっと訳がわからなくなっている、というのを見せたかったんです。やっぱり初めて感情を出す人って、感情を出し慣れている私とは違うんだろうなと思って、そこはすごく意識しました。それからのどかは「作り笑顔」「愛想笑い」「冷めた目」「淡々と」みたいなト書きがすごく多くて、それをしっかり表現できるようにしました。すごく笑いの多い現場なので、笑わないように必死に我慢したり、「冷めた目」って書いてあるのに現場が面白くて冷めた目にならなくて頑張ってのどかを遂行したりすることもありました(笑)。
またのどかは思ってもないことを発するので、その塩梅もすごく難しくて。視聴者の方に「本当はこんなこと思ってないんだろうな」って思わせる方がいいのか、「本当にそう思ってるな」と思わせられる方がいいのか。監督から「その両方が欲しい」と言われて「じゃあそのパーセンテージはどうすればいいですか?」と細かく確認することもありました。監督と相談させていただきながら、少しずつ塩梅を変えて演じるのは難しかったですし、自分の中で試行錯誤したところかなと思います。
「虎に翼」現場では盛んなディスカッション
― 現場では皆さんそのような感じで、細かく監督に質問されているんですか?尾碕:相談されている方は結構多いと思います。伊藤さんも監督とすごく熱心にお話されていて。でもそれがすごく筋が通っていて、伊藤さんの提案によってそのシーンがよりすっと入ってきやすくなっています。
岡田さんも「父としてこの言葉をかけることはどうなのか」などすごく真剣にお話されているので、皆さんのそのような姿を見て、のどかは人の言葉を受け取ることが多い役ということもあり「そういうふうにお芝居をされるんだったら、自分はこういうふうにしてみよう」と意識しています。皆で相談しながらお芝居を作っている感じです。
― 監督からの指示を受けるだけでなく、皆さんが対等に意見を言い合えるような感じなんですね。
尾碕:そうですね。もちろん監督からのリクエストもあるんですけど、それに対して全部「わかりました」と言うよりかは、「自分はこうしてみたいです」という意見や相談を皆フラットに出来るのがいいなと思います。
伊藤沙莉&岡田将生、尾碕真花の悩み解決
― 尾碕さんから共演者の方にお芝居について相談したことはありますか?尾碕:のどかが本音を吐露するときに「どうしようかな」と悩んだすごく難しいシーンがあって。長いセリフの途中の部分がどうしても感情を乗せづらいというか、「この雰囲気だとこういう言い回しはしたくないな」みたいなことを考えてしまって。自分で解決しきることができなくて、テストの段階で悩んでいたら、それにすぐ岡田さんが気付いて「やりづらいところあるの?」と声をかけてくださいました。「実はここがちょっと言いづらいんですけど、どうしたらいいですかね」と話したら、「こうしてみたらいいんじゃない?」とか「確かにもしかしたらこのセリフは言いづらいかもしれないから、言わなくてもいいかもしれないね」と親身になって聞いてくださいました。
そうしたら伊藤さんもたまたまそこに来て、「どうしたの~?」と聞いてくださって。「実はここのセリフで悩んでて…」と説明したら「こうしちゃえばいいんじゃない!」と一発で答えを出してくださったんです。さっきまであんなに悩んでいたのに、もう「はい!解決!」みたいな(笑)。すぐ腑に落ちたんです。伊藤さんはそういう勘の良さ、感性の鋭さが本当に素晴らしいなと身近にいて感じますし、岡田さんはよく周りを見てくださっていて、そっと支えてくださるような本当にお父さんみたいな存在で、とてもありがたいです。
― お二人の解決法の対比が、本当に寅子と航一のようです(笑)。
尾碕:本当にそうなんです(笑)!おしゃべりされている伊藤さんを見てクスクスって笑っている岡田さん、というのがすごくトラちゃんと航一っぽくて、現場でも本当にそのままという感じです。
― 間近でお二人のお芝居を見て学んだことはありますか?
尾碕:本番でトラちゃんとお父さん、それからお兄ちゃんや百合さんの言葉を聞いているとあまりにも刺さるというか。大切なシーンでは本番にリアリティや新鮮さを残すためにテストでは集中しすぎずに少し力を抜いているのですが、本番でスイッチを切り替えると、言葉の重みや間、言い方、ニュアンスがもう素晴らしくて。のどかとしての私に刺さりすぎて、元々泣く芝居ではないのに言葉に影響を受けて、自然に涙が出てきた場面もありました。
「虎に翼」撮影裏話「ほのぼのしています」
― 先ほど現場では笑顔が絶えないというお話もありましたが、現場では皆さんどのように過ごされているのでしょうか?尾碕:撮影のセットから戻ってきたら前室で皆さんそれぞれ近くに座って過ごしています。ある日には急に優未(寅子の娘)役の毎田暖乃ちゃんが「怖い話してあげるから聞いて、今ハマってるの」と言い出して。岡田さんは「僕はいいよ、怖い話好きじゃないから」と言いつつも、結局一緒に聞いてくれるんです(笑)。それで皆で話を聞くんですけど、本当に怖い話なのに伊藤さんがツッコミとかを交えていちいち面白くして(笑)。そういう何気ない会話をしながら、ほのぼのしています。
― 素敵な現場ですね(笑)。ムードメーカーは伊藤さんと毎田さん?
尾碕:そうですね。話題を持ってきてくれるのが暖乃ちゃんで、それをボケやツッコミで面白くしてくれるのが伊藤さん。それでなぜか皆と違うポイントでツボっている岡田さん(笑)。「そこでそんなに笑うんだ」みたいなところで笑っているので面白くて不思議です(笑)。でもすごくバランスがいいです!
★芸能の道を選んだきっかけやターニングポイントとなった作品など、尾碕の素に迫るインタビュー後編も公開中。
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尾碕真花(おさき・いちか)プロフィール
2000年12月2日生まれ、高知県出身。2012年「第13回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞を受賞。2019年、スーパー戦隊シリーズ「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(テレビ朝日系)のリュウソウピンク/アスナ役に抜擢。シリーズ初の2000年代生まれのヒロインとなった。主な出演作にNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022)、ドラマ「妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-」(テレビ朝日系/2022)、「早朝始発の殺風景」(WOWOW/2022)、「この素晴らしき世界」(フジテレビ系/2023)ほか。昨年、初主演映画「IF I STAY OUT OF LIFE…?」が公開。8月29日より世界独占配信のNetflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」にも出演している。
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