SixTONES京本大我、挫折寸前の苦境乗り越える原動力 古川琴音と語る“夢を叶える秘訣”とは【「言えない秘密」インタビュー後編】
2024.06.10 06:00
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映画「言えない秘密」(6月28日公開)で初共演を果たすSixTONESの京本大我(きょうもと・たいが/29)、古川琴音(ふるかわ・ことね/27)にモデルプレスがインタビュー。作品はもちろん、2人にとっても切っても切り離せない「音楽」の存在とは。そして2人が語る“夢を叶える秘訣”に共通した“心の強さ”とは。<※一部ネタバレあり>
京本大我主演「言えない秘密」
台湾の国民的スターでアジアでも人気を誇るジェイ・チョウ氏が、初監督にして主演を務め、台湾アカデミー賞で作品賞含む3部門受賞、アジア圏内で爆発的ヒットを記録した同名映画を原案とした本作。伝統ある音楽大学を舞台に、京本は過去の出来事から思うようにピアノが弾けなくなってしまった音大生・湊人、古川は明るく魅力的でありながら、ある秘密を抱えたどこか謎めいた雰囲気の雪乃を演じる。
京本大我&古川琴音が語る“互いの凄み”
― お芝居や現場での振る舞いなど、お互いの“すごい”と思ったところを教えてください。京本:本当に全てが素晴らしくて、お芝居も引っ張っていただいた感覚が強くあるのですが、湊人が自然と目で追いたくなったり、探したくなったりする“雪乃感”が本当にすごい。儚さもありながら美しく、ノスタルジックな雰囲気の化身のような、唯一無二のヒロインだと思いました。湊人としても変に作り込まなくても、こんな人なら追いかけたくなっちゃうなと感じる雪乃像を完璧に構築されていて圧倒されました。
古川:ありがとうございます。台本を読んだときから、雪乃はミステリアスというか、ちょっと浮世離れしていて、大きな謎を秘めている人で掴みどころがないと感じました。台本を読んだときのそういう気持ちが出ていたのかもしれないです。
私は、京本さんの体から滲み出るメッセージがすごくいいなと思います。現場で映像を観て思ったのですが、例えば雪乃を追いかけるシーンでも、フォームを意識して表現していたということではないですが、気持ちがちゃんと体のスピードや形に出てくる方で、その体の使い方はすごくいいなと思いました。ピアノも、習いたての人が弾くフリをしたり、技術だけを追おうとしたりすると、音と切り離されてしまって、心と体がバラバラになっていることがあると思うんです。でも京本さんはピアノを弾いているときも、音を聴いているからか、音と一体化されていてしっかり体を使うことができる方なんだと思いました。
京本:嬉しい。初めて言われました。…ちょっとお芝居続けてみようかな(笑)?前向きに頑張ってみようかなという気持ちになりました。
京本大我&古川琴音、2人で積み上げてきた関係性
― 連弾シーンや掛け合いをはじめ、お二人の信頼関係が大切になると思いますが、一緒に乗り越えたなと思うシーンはありますか?古川:やっぱり最後のシーンになるのかな?でも今話していて、全部が積み重ねなんだなと思いました。「決定的にここでこう変わった」というのではなく、いろいろな経験を2人でしてきたからこそ、ラストも撮れたのかなと思います。
― お二人自身が湊人と雪乃の関係性でいられた。
京本:本当にそうですね。多分スケジュールもうまく調整していただいて終盤のシーンの撮影が最後の方になったこともあって、湊人と雪乃としての関係性をしっかり築き上げたうえでクライマックスに挑めました。変に自分の感情の引き出しを持っていくのではなく、湊人として雪乃に言葉を掛けられたり、感情が自然と溢れることができて、雪乃に引き出してもらえた気がします。
― 湊人と雪乃は、恋愛関係だけではなくお互いを高め合うような関係性がありますが、2人としての魅力はどんなところにあると思いますか?
京本:やっぱりピアノという共通するものがあること。音で心の距離を縮めていく部分がたくさんあったので、人間らしく言葉だけじゃない繋がり合えるものがあったことが大きいのかなと思います。湊人は、トラウマを抱えていた部分が大きな陰の要素になっていたと思うのですが、そこを過度に意識せず入り込んできてくれる雪乃が湊人にとって救いであり癒しだったと思います。特に2人の連弾シーンで見える心の重なり方は、この作品ならではで素敵だなと思いました。
古川:2人とも出会ったときから自然体で、いつ好きになって、いつ付き合って…みたいなものがなくてロマンティックだなと感じました。
― 音楽によって、なにかに導かれたり繋がりを持ったりするという点には共感されますか?
古川:音楽の話は現場でもよくしていました。現代の音楽じゃなくて70~80年代ぐらいの洋楽が好きだったよね?
京本:そうだ!ダンスのシーンのホールで話したね(笑)。エリック・クラプトン、レディオヘッド、デヴィッド・ボウイとか…。自分の聴いてきたルーツが一緒だと高まりますよね。
古川:京本さんは私より全然詳しいですが、聴いている音楽の年代が似ていたので嬉しかったです。私は王道すぎて恥ずかしいですが、クイーンや、最近だとマネスキンが好きです。70~80年代ぐらいは、一番音楽を楽しんでいた時代のような気がして、オーソドックスだけどフレッシュな感じがあって素敵だなと思います。この映画を観ていても実感しましたが、音楽から伝わってくる情報は本当にたくさんあって、好きな音楽の話をしたら急に仲良くなることもありますし、音楽での繋がりは日常からよく感じています。
主題歌・SixTONES「ここに帰ってきて」が体現した魅力
― 主題歌はSixTONESの新曲「ここに帰ってきて」になりますが、京本さんが楽曲に込めた想い、古川さんが実際にお聴きした感想を教えてください。京本:去年の11月頃、レコーディングを終えていました。唯一メンバーの中で映画を分かっているので、雪乃を思い浮かべながら歌うことができました。ただ初号が本当に楽しみだったので、実際観たら作品に夢中でエンディングが来ることを一瞬忘れていました…。そのとき僕はボロボロ泣いていて、最後にわーっと思ったところで流れてきて不意をつかれましたね(笑)。歌詞と作品の親和性もそうですし、真っ直ぐでシンプルなのですが、この作品をすごく表している気がして、やっぱり曲も込みで1つの作品なんだなと感じました。曲を聴いて映画を思い出していただいたり、いろいろな相乗効果で曲と作品が良い関係になってくれたらいいなと思います。
― レコーディングでは、皆さんに映画の説明など事前にお話されたのですか?
京本:してないです(笑)。でもMVを撮る日の朝に(森本)慎太郎から「きょもの映画ってどんな感じなの?」と聞かれたので、どうせ観ないかなと思って、もう全部言いました。「言っちゃうよ?」と話したら「オッケーオッケー!じゃあ、それを感じてMV撮るわ!」と言ってくれました(笑)。
古川:私は試写のエンドロールで初めて聴いて、また泣いてしまいました。この映画をぎゅっと凝縮したような歌だったので、本当に切なくなりましたし、愛に溢れている素敵な曲だなと思いました。
― この作品を通じて、音楽との関わり方や気持ちに変化はありましたか?
京本:音楽好きとしては、音にまつわる作品というのはずっと出演してみたいという想いが強くあったので、20代ラストにこうして音楽に関係する作品に、加えてこんな素敵なラブストーリーに出演することができて本当に光栄だなと思います。一昨年頃から少しずつ映像作品も経験させていただいてきた中で、自分をぶつけられた作品の1つになった気がします。この作品が皆さんに届いてから、より自分でも実感することや発見が増えてくるのかと思いますが、初号を観ただけでも、作品に出会えたこと、スタッフさん、キャストも含め、皆さんが素敵に仕上げてくださったことに感謝しています。
京本大我&古川琴音の“夢を叶える秘訣”
― お互いが出会う前の湊人・雪乃のように、もし夢や希望を失っている人がいたらどんな言葉を掛けてあげたいですか?京本:僕も挫折をしかけたことはありますが、そういうときに無理に背中を押す言葉が逆効果のときもあって、実際に言葉を掛けるのかは分からないですが、ただ傍にいてあげるかな。あと、目指していたことから1回目を背ける時間があってもいいと思います。それでも本当に好きだったら、また戻ってくる気がするので、時間が経ってからでも厚かましくない程度に、自分がそういうきっかけを作ってあげられたらいいなと思います。
― 京本さんが夢を叶えるために大事にしていることは?
京本:僕も“好き”という気持ちが原動力にあるので、難しい役に出会ったり何かあったりしたとしても、難しいことも好きでいられるようにしています。それが「面倒くさい」とか「嫌い」にならないように、ある意味自分をコントロールしています。
― 古川さんはいかがですか?
古川:今お話を聞いていて難しいなと思いました。振り返れば、細々とした挫折の経験はあると思うのですが、すごく大きな挫折をして、そこから乗り越えたと人に語れるほどの経験はないんです。でも表現は悪く聞こえてしまうかもしれませんが、嫌になったときは「どうせ人生暇つぶしだし」と思っています(笑)。向いているか向いてないかは置いといて、好きなら好きな気持ちのままでいいと思います。「どうせ暇つぶしだし、どうせ遊びなんだから、自分が楽しまなきゃ損だよな」という気持ちで、好きなままでもいいし、諦めて旅に出て自分を探してもいいし、マクロな視点で宇宙を見るような感覚で一度離れて自分を客観視します。
― 古川さんが女優の道をはじめ、夢を叶えるために心がけていたことはありますか?
古川:はっきり「夢」だと思ったことがないからできたのかもしれないです。それこそ好きなことをコツコツやってきたから、結果的にこの仕事になっていたのかもしれません。だから「絶対叶えなきゃ自分がダメになる」「自分が損する」と自分を追い込みすぎず、楽しいことをコツコツやっていったらいいのかなと思います。
― 最後に、この作品を通じて伝えたいメッセージや観てほしいポイントを教えてください。
京本:タイトルにあるようにいろいろな秘密が詰まっている作品でもあるので、あまり多くは語れないのですが、夏にぴったりな涼しさや幻想的な部分もあるので、この作品に没入していただけたら素敵な夏を過ごしてもらえるんじゃないかと思います。まずは、ぜひ映画館に足を運んでいただいてスクリーンで観ていただきたいです。
王道なキュンがいっぱいあるので、そういうところも楽しんでもらいつつ、なんと言っても連弾シーンはこの作品ならではなので、ピアノでの感情の距離の詰め方に注目してほしいです。
古川:すごくロマンティックなお話だと思うので京本くんのファンの方はもちろんですが、ロマンを忘れた大人の方々にも観てほしいです(笑)。音楽も本当に素晴らしくて、そこに綺麗な画があってドラマチックな物語が一気に皆さんを作品の世界に連れて行ってくれると思うので、純粋にその世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。
― ありがとうございました。
京本大我&古川琴音、素顔に迫るQ&A
ここでは、舞台となる音楽大学をテーマに、2人の学校生活の思い出や憧れのキャンパスライフについて聞いた。Q.憧れのキャンパスライフは?
古川:何かありますか?
京本:僕は大学に行っていないので…。
古川:じゃあまだ憧れられる?
京本:憧れ続けられるね(笑)。
古川:私は大学生のときたくさん遊んだので、わりとやり尽くしたような気がします。
サークルの人たちと都心から離れた田舎の小さな旅館を1年に1回貸し切って遊ぶ行事があって、大学生ならではだなと思います。高校生にはできないし、社会人になってもやらないことだと思うので、すごく楽しかったです。
京本:へぇ~楽しそう!たしかにサークルへの憧れありますね。学生時代、部活も入っていなかったのでサークルや部活への憧れは特に強いかも。
古川:何部に入りたかったんですか?
京本:何だろう…。あまりアクティブじゃない方が合うと思うので、ミステリー研究会とか(笑)。ホームズの聖地を回りたいですね。趣味が合う同志で何かをやるのは楽しそうな気がします。
Q.2人にとって学校の中の“とっておきの場所”は?
京本:教室のベランダかな。「ウェーイ!」と騒ぐキャラでもなかったので、授業が終わった後の10分休みは、とりあえずベランダに出て、仲の良い2人とずっと喋ることがルーティーンでした。昼休みもベランダに出て自作のゲームを皆で考えてやっていました。影になっている網を使って、そこから出たら負け…という子供みたいな遊びを高校生でしていました(笑)。
古川:私は部室かな。演劇部に所属していて、部屋もボロボロなのですが、いろいろな練習をした場所なので思い出が溢れています。この仕事を始めて少し経ってから、部室に遊びに行ったことがあって、校舎は変わっている部分もありましたが、部室だけは全く変わっていなくて、自分たちが置いていたものもそのまま置いてあって良かったなと思いました。
編集後記
今回の取材で約1年ぶりに会ったという2人だが、撮影からインタビューまで空白の1年を一切感じさせない自然な空気感は、まさに湊人と雪乃のように互いをリスペクトし、1つの音楽を、作品を共に作り上げてきたからこそ生まれたものなのだろう。また、2人が“夢を叶える秘訣”として共通して語っていた「好き」という感情から成る原動力。湊人が雪乃と出会い、もう一度大好きだったピアノと向き合うように、2人も様々な壁を乗り越え自分の気持ちに正直に、まっすぐ“好き”を突き詰めている。自身の軸を曲げずに歩み続ける心の強さが、彼らを美しく照らす光なのだと感じられた。(modelpress編集部)京本大我(きょうもと・たいが)プロフィール
1994年12月3日生まれ、東京都出身。2020年1月22日、SixTONESのメンバーとしてCDデビュー。ミュージカル作品に多数出演しており、近年では「ニュージーズ」(2021)、「シェルブールの雨傘」(2023)、「モーツァルト!」(2024年8~11月上演)で主演を務める。2022年10月期放送の日本テレビドラマ「束の間の一花」で連続ドラマ単独初主演。現在は、主演を務めるカンテレ・フジテレビ系火ドラ★イレブン「お迎え渋谷くん」(火曜よる11時~)が放送中。古川琴音(ふるかわ・ことね)プロフィール
1996年10月25日生まれ、神奈川県出身。2018年デビュー。ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた映画「偶然と想像」(2021)の1編で主演を務める。近年の主な出演作は、ドラマ「エール」(2020)、「コントが始まる」(2021)、「アイドル」(2022)、「どうする家康」(2023)、映画「偶然と想像」(2021)、「今夜、世界からこの恋が消えても」(2022)、「みなに幸あれ」(2024)、「雨降って、ジ・エンド。」(2024)、「ACMA:GAME アクマゲーム」(2024)など。待機作に、フジテレビ7月期月9ドラマ「海のはじまり」(7月1日放送開始)、映画「お母さんが一緒」(7月12日公開)、「シサㇺ」(9月13日公開)、「Cloud クラウド」(9月27日公開)がある。ストーリー
過去の出来事からトラウマを抱えた大学生・湊人は、どこか謎めいた雰囲気の雪乃が奏でるピアノの音色に導かれ、運命的な出逢いを果たす。自然と惹かれ合い、雪乃の明るく純粋なピアノの演奏は、湊人が抱えるトラウマを癒し、やがて2人で過ごす日々は愛おしくかけがえのないものへとなっていく。しかし、ある日突然雪乃は湊人の前から姿を消してしまう。
【Not Sponsored 記事】
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