「落ち込んでいる時、仕事のモチベーションはどう保つ?」長澤まさみから返ってきた名言と彼女なりの正義<「エルピス―希望、あるいは災い―」インタビュー後編>
2022.10.22 17:00
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10月24日スタートのカンテレ・フジテレビ系月10ドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」(毎週月曜よる10時~)で主演を務める長澤まさみ(35)のインタビュー後編。12歳で芸能界入りし、様々な経験を経て感じた“正義”、秘密主義だった彼女に起きた変化とは?
長澤まさみ「間違うのも正義」
― 今作では「正義」というのが一つの大きなテーマになっていますが、長澤さんがこれまでこのお仕事をしてきた中で大切にしてきた正義を教えてください。長澤:いっぱいあります。でも間違っていることも結構多いです。こうして取材を受けたり、芸能界で出会う人たちの中には本当に様々な人がいて、知識が豊富ですごい人もたくさんいる中で、自分の意見を持つことってなかなか勇気がいるなと感じていて。そう思いながら子どもの頃からこの世界にいますが、でもやっぱり「これはいいと思う、違うと思う」という譲れない部分は自分の価値観の中にあるんですよね。
なので色々なことに対して正義感は持っていますが、間違うのも正義だと思います。間違った時にそれに気付いて、自分の中で処理して、新しいこと・正しいことを知るのが正義だから、間違うというのも一つの正義であると感じています。
― では長澤さんは間違えることを恐れずに、まずはやってみるタイプ?
長澤:お芝居をする時には、迷いが無いです。
― お芝居をする上で大事にしている信念はありますか?
長澤:信念は全然ないです。「真面目に取り組む」ということだけですね。
長澤まさみが悲しみを乗り越えた方法
― モデルプレス読者の中には、今様々な不安を抱えている人がいます。そういった読者に向けて、長澤さんがこれまで悲しみを乗り越えた方法を教えてください。長澤:その大変なことの渦中にいる時は、多分なかなか行動に移せなかったりくすぶってどうにもできなかったりするから、その時間を楽しむことです。確かに楽しむことは難しいけど、でもいつか抜ける時が絶対に自分のタイミングで来ると思うんですよね。もちろん無理やり奮起する人もいるし、時間を待つ人もいるし、それは人によって違いますが、でも長くは続かないと思います。人生はまだまだ長いので。でもやっぱり長いとはいえあっという間に終わっちゃうらしいので、時間を無駄にはしないように、という感じです。
― 長澤さんは悲しみの渦中にいる時、無理やりそこから出ようとはしないんですか?
長澤:できる時はしますが、できない時は無理をしない。自分に優しくなることも重要ですよね。
― 落ち込んでいてもどうしても仕事に向き合わないといけない時もあったかと思いますが、そういう時はどのようにモチベーションを保っていますか?
長澤:仕事は裏切らないんですよ、絶対に。どんなに自分が大変な時でも、仕事は一生懸命取り組めば1番裏切らないでいてくれるものです。でもテキトーにやったらテキトーにやった結果にしかならないから、そこは仕事があることが救いだと思って、仕事に打ち込む時間をきちんと取ればいいんじゃないかなと思います。
長澤まさみの夢を叶える秘訣
― モデルプレス恒例の質問でもある“夢を叶える秘訣”もお伺いしたいです。2018年のインタビューでは「想像すること」と答えていらっしゃったのですが、そこから4年半経ってこれも大切だなと感じたことはありますか?長澤:口に出していくことです。口に出したらやらざるを得なくなるし、多分勝手にそういう方向に自分が足を向けることになると思います。夢とかやりたいことって、頭の中で想像して憧れを抱くものであることが多いと思いますが、行動に移せば意外と簡単に掴めるものだったりするんですよね、きっと。
「簡単に」というのは、人それぞれそこに至るまでの時間は違いますが、行動すれば何でも手に入ると思う、という意味です。求めていた通りのものは手に入らないかもしれないけど、自分らしいものは手に入ると思うんです。
― 長澤さんはいつも口に出すように心がけてきた?
長澤:いや、今までは言わなかったんですよ。ネタっぽくなっちゃうのが嫌だったから。でも最近は言うようになりましたね。
― 何か「言ってみよう」と思ったきっかけがあったんですか?
長澤:私は元々すごい秘密主義なんですよ。それであまり周りに言わない性格だっただけなんですよね。それが大人になってだんだんと言うようになって、始めは近いところにしか言わなかったのが、どんどん大きいところや多くの人の前で言うようになりました。
「エルピス」に込められたメッセージ
― 最後にドラマの見どころ、視聴者の方へのメッセージをお願いします。長澤:私もコロナ禍でニュースを観ながら「本当かな?」「これでいいのかな?」など疑問に思ったことに対して声を上げられない自分がいることに不甲斐なさを感じていて、多分同じように思っている人は世の中にたくさんいると思うんです。この物語で描かれているものはすごくそこに通じていて、日本だけじゃなくて世界全体を通して見ても同じような思いがたくさん転がっているんじゃないでしょうか。その人間としての正義感や自分が捉える矛盾みたいなものについて、この作品を観て同じように思ってくれる人がいるだろうなと感じながら作っています。
そこに共感してほしいというわけではないけれど、でもさっきも言ったみたいにやっぱり間違うことが悪ではないというか、間違うことがあるからこそ誠意に向かえることもある。間違いをただ指摘して、そこを浮き彫りにするのではなくて、新しい・正しいことを知ろうとするというのが、行動や心が動いていくことの中で1番大切だと思うんですよね。
何が正しいかはそれぞれ違うかもしれませんが、色々な意見がある中で、一つのことだけに縛られず知ろうとする。そんな方向に皆が動いていけたらいいなというメッセージが込められていると思います。ぜひ楽しみにしていてほしいです。
― 貴重なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
長澤まさみ(ながさわ・まさみ)プロフィール
1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年に第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し芸能界入り。以降話題作に多数出演し、映画「キングダム」(2019年)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、「MOTHER マザー」(2020年)で最優秀主演女優賞など、数々の賞を受賞。映画「ロストケア」の公開を2023年に控える。
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