モデルプレスのインタビューに応じた渡部秀 (C)モデルプレス

渡部秀、27歳バースデー直後に“役者としての転換期”と“三大ニュース”を振り返る<モデルプレスインタビュー>

2018.11.22 20:17

俳優の渡部秀(わたなべ・しゅう/27)がモデルプレスのインタビューに応じた。主演をつとめる映画『シュウカツ3』(12月7日公開)では就活生を追い詰める先輩社員を演じ、笑顔の裏にサイコパス感を秘めた新境地を披露。同作のほかドラマ「科捜研の女season18」(テレビ朝日系、木曜よる8時)、さらに「仮面ライダージオウ」(同、日曜あさ9時)に「仮面ライダーオーズ」火野映司として友情出演するなど話題の絶えない中、役者として自覚する現在位置や今後の展望を聞いた。

『シュウカツ』シリーズは「現代の裏側を世間に訴えかける作品でもある」

これまでにない渡部秀の一面が見られる映画『シュウカツ3』(C)2018『SHUKATSU 3』面接委員会
これまでにない渡部秀の一面が見られる映画『シュウカツ3』(C)2018『SHUKATSU 3』面接委員会
― 『シュウカツ』シリーズは3作通じてのご出演となりましたが、今作の率直な感想からお聞かせください。

渡部:テーマ自体は「就職活動」で変わらないんですけれども、今回は1、2と違ったテイストというか、僕の役に関して言うと少し立場が変わった役どころになっています。そのへんがすごく勉強になりましたし、同じテーマの中でも色々な立場で演じ分けをすることができたと思います。

― 渡部さん演じる村田が就活生の東原(池田健一郎)と密室で対峙した時の、威圧感のある喋り方や表情の変化が強烈でした。細かいニュアンスは千葉誠治監督と相談を?

渡部:そうですね。監督からは事前の本読みで「こういう方向性でやってほしい」というお話があったのと、観ている方にここまで気づかせる、ここまでは気づかせない…っていう線引きみたいなものも決めていきました。

― 東原に向かって「お疲れさま」と言う時の口調と表情が印象的で。あの一部始終は現役就活生の方からすればトラウマ級の怖さかと…

渡部:吐き捨てるような厳しさというか…最後の最後にああいう毒が出てくるんですよね。「この男、どんなこと考えているんだろう?」と思わせる序盤もすごく好きなんですけど、やっぱりガラッと変わるところが一番の見せ場なのかなと。それと、実は『シュウカツ』1の伏線を回収しているような部分もあるんです。僕の役で言うと1から3にかけて繋がっている部分が少しあって。役どころは全然違うんですけど、もし余裕があったらそのあたりを小ネタとして見てもらえたらいいなと思います。

渡部秀(C)モデルプレス
― 今回のようにクセのある役と、いわゆる“普通”な人間の役、比べると演じる上での楽しさや感触はいかがですか?

渡部:普通の役よりもこういう毒のある役のほうがアプローチしやすいかな、と自分の中では思います。“普通”ほど難しいものはないなと常々思っているので、そういう意味ではこの役は作り込みやすかったですね。話の内容や台詞の言い回しは難しいんですけれど、実はやっていることは単純明快。自分の権力を上げるためにいかにして新入社員を操るのか…っていう単純な話ではあるので、その中でいわゆる“大どんでん返し”の展開をしっかりと見せていくことを心がけました。

― 相手役の池田さんは所属事務所の後輩にあたります。

渡部:現場で大学の課題をやっているのを見て「あ、大学生なんだな」と(笑)。僕は大学に行っていないので、彼の切羽詰まった姿を見て「色んなものに追い込まれて成長してきたんだな、すごく大変な時代なんだな」と思いました。

― そういう意味では、池田さんとしてはよりリアルな感覚で演じられていたかもしれません。

渡部:そう思います。色んなものに追われながら自分の夢も叶えなければいけない。そういう風な追い込まれ方というのは、本人は気づいていなくてもリアルな芝居に反映されているのではないかと思います。

― ミステリーではありますが、そういった現代の世相も感じ取れる作品になりますね。

渡部:現代の醜い部分…という言い方はあれですが、裏側みたいなところを体現できている作品なのかなと思いますし、もしかしたら千葉さんが世の中に対して思っていることや、「就職活動の裏って実はこうだよね」というものを世間に訴えかける作品でもあるのかなと、僕はシリーズを通して肌で感じました。そういう部分を役者として世の中に表現できるのはすごくありがたいと思います。

渡部秀(C)モデルプレス
― 渡部さんは、面接もそつなくこなしそうですね。

渡部:えっ、全然そんなことないですよ。ネゴシエーションとか絶対にできないと思う。

― 緊張しそうですか?

渡部:緊張とかじゃなくて多分、人の心に寄り添って…とかが苦手なタイプなので(笑)。(面接を)受ける側だとしても別に得意な方ではないですね。

― 相手の頭の中を推測しつつしゃべるとか…

渡部:昔から人が考えていることは色々と感じ取っちゃうタイプだったので、考えすぎて結局何もしないっていう。期待されるとあんまりうまくいかないこともありますし。「特技は何ですか?」とか聞かれても、別にないし…

― いやいや!多才なタイプじゃないですか。

渡部:僕からすると「すみません」って感じなんです。もちろん意欲はあるけど、自己アピールの面では別に特化している方ではないかと。

― オーディションなんかはまさに自己アピールの場ですよね。

渡部:オーディションも今でこそ割と平常心でいられますけど、この業界に入ってすぐはもちろん緊張しました。みんな色々な場数を踏んでやっと自分のやりたいことができるというか。最初からできる人も中にはいるかもしれないですけど、大半がそうではないと思うので、本当に経験だなとすごく思います。

― 新卒の就活だと特に、社会に出る前の経験ゼロの状態で臨まなければいけないので、様々な悩みも尽きないと思うんですね。そこで前向きに挑むにはどうしたらいいと思いますか?

渡部:何でしょうね…経歴とか外見とか、パッと見てわかる何かのブランドだけで判断されるこの世の中で、やっぱりメンタルの部分をアピールしていくしかないんですかね。最近はクリエイター気質の方も増えてきて、実力さえあれば経歴は問わないっていう企業も多いと思うんですけど。あとは(入社したら)辞めないことですかね。ある程度続けて、辞める時は良いお別れをすればいい。別れ際は結構大事だと思うので。

渡部秀、26歳の一年間は「原点回帰の年だった」

― 27歳のバースデー(※取材は誕生日の2日後に実施)おめでとうございます!Instagramではご友人と温泉に行かれたことを報告されていましたね。

渡部:ありがとうございます。地元の秋田からこっちに来て働いている高校の同級生が何人かいるんですけど、ロマンスカーに乗って箱根に行きました。1人は現地集合で(笑)。

― 渡部さんの誕生日に合わせた旅だったんですか?

渡部:そういう(=誕生日を祝う)旅っていうことで組んでくれて。「財布持ってこなくていいよ」って言われたので、本当にPASMOだけで行っちゃいました(笑)。

― 素敵なお友達ですね…!

渡部:ありがたいです。ひたすら何もせずに休んでリフレッシュできました。1人で色んなところに行ったりはするんですけど、本当に気心知れた人と過ごすのもそれはそれで素敵ですよね。

― 26歳の一年を振り返っていかがですか?

渡部:ライダーの復活(映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー』に出演)があったことをはじめ、原点回帰の年だったなと。25歳ぐらいからは仕事のベクトルを色々と変えていった時期だったんですけど、26歳で初心を思い出すような一年を過ごして。それで27歳を迎えた今、30歳に向けて本格的に積み上げていく時期だと思っています。25歳の時は「まだまだ30は遠いよ」と思っていましたけど、やっぱりあと3年となるとすごく近く感じるんですよね。役者として、30歳はまた一つの評価のタイミングだと思うんです。「マルかバツか」っていうタイミングが30代になった瞬間に来ると思うので、今はどっちかと言うと焦りも含め、この3年はすごく大事な時期になるんじゃないかという風に感じています。

― 25歳でお仕事のベクトルを変えたことはターニングポイントになりましたか?

渡部:そうですね。それまでやらなかった領域に広げていこうという意識でやってみて、「こんなに近くにこういうヒントがあったのに、今まで見てこなかったな」というのは感じました。例えば何か一つの役に対してもっとアグレッシブにアプローチしていくこともそうで。そうすれば見てくれる人はいるし、人付き合い一つとっても、敬意や尊敬、感謝を広げていったという感じですかね。

― 初心に戻ることで新たに気付かされたことも多かったのでしょうか。

渡部:自分は昔こういう方々にお世話になっていたんだな、というのを現場で感じることができました。それと同時に「あれからこんなに経ったんだ」と月日を感じたり。それでも変わらずにいてくれる人、あるいはさらに大きくなった人たちがいる中で、「じゃあ自分はどうなんだ?」と考えるきっかけにもなって。当時と今を比べてみた時に、色んなものが見えてきたのが26歳でした。

渡部秀(C)モデルプレス
― 突然ですが「渡部秀・26歳」の三大ニュースを挙げるとしたら?

渡部: そうだなあ…やっぱり「科捜研」が始まったことが大きいですかね。地方で長期の撮影をする経験が今までなかったので。関西の大きな都市に身を置くっていうことは自分の中で大きなニュースでした。向こうに知り合いもすごく増えましたし。

2つ目は初心に戻るような作品に意欲的に取り組んだこと。3つ目は…プライベートで言うと、すごく狭い家に引っ越しました。

― あえて狭い家に?

渡部:ちょっとしたチャレンジとして。さっきの初心に戻るっていうことに繋がるんですけど、「こんな狭いところでも全然暮らせてたな」っていうのを今はすごく思い出しています。広いところに住むとそれはそれでデメリットも見えてきたりとか、自分を見失いがちになったりもして。

― 趣味のDIYも狭いほうが工夫しがいがあるとのことでしたね。

渡部:そうですね。愛着は湧きます。象飼うより犬飼ったほうが愛着湧くじゃないですか。

― そうですね、象を飼ったことはないのですが…(笑)。

渡部:あはは(笑)。やっぱりちっちゃいものには愛着が湧くなって。

― これからは「積み上げていく」ということでしたが、具体的に挑戦したいことはありますか?

渡部:映像作品には引き続き意欲的に挑戦していきたいですし、あとはバラエティ番組なんかはあまり得意な方ではないので、チャレンジしてみたいです。番宣でも何でも、もしお話があれば頑張りたいです。

渡部秀(C)モデルプレス
― 4月から始まった初の冠ラジオ番組「渡部秀 アクターズ・レイディオ」(JFN PARKにて、隔週月曜あさ10時よりストリーミング配信)はいかがでしょうか?

渡部:やっぱりラジオって奥深いですね。ただトークするだけじゃなくて、ゲストがいらっしゃったらその方のことを広げていく中での機転や瞬発力が大事だなと。目で見えない分、声で想像させるというのはすごく難しいエンターテイメントであり、だからこそ魅力があると思います。お芝居と一緒で、間とかリズムは本当に大事ですね。

― しかもほとんど初対面の方とのやり取りですよね。

渡部:MCなので「ここは自分のホームだ」と言い聞かせつつ、ゲストの方のアピールポイントをいかに面白く広げていけるかを意識しています。ラジオを聞くことが誰かの習慣になっていれば嬉しいですね。

― 趣味事情は連載「ワタナベギャラリー」でもご報告いただいていますが、最近新たにやってみたことはありますか?

渡部:実はまだこれ言ってないんですけど、ペットを飼い始めまして。

― えっ!ビッグニュースですね。

渡部:それは次回の「ワタナベギャラリー」でお楽しみに!ということで(笑)。

― 気になりますね。心境の変化ですか?

渡部:いえ、特に深い意味はないんです。

― 以前インタビューさせていただいた時、「一年ぐらいかかるかな…」という趣味のお話をされていたじゃないですか。

渡部:あぁ、あれは(楽器の)ベースです。それは相変わらずちょこちょこやっています。

― そうなんですね!お披露目は?

渡部:いやいや、しないです。

― ラジオでいかがですか?

渡部:絶対しない!絶対にないです(笑)。

一同:(笑)

渡部:生涯ないと思う(笑)。自己満なので。

― 弾いていると癒やされるんですか?

渡部:聴いていた曲を弾けた時の満足感があります。

― 何の曲を弾いているんですか?

渡部:やっぱりBUMP(OF CHICKEN)です。

― でもいつか披露してください、是非!

渡部:あはは、機会がありましたら(笑)。

渡部秀(C)モデルプレス
― では最後に…ファンの皆様へ伝えたいメッセージをお願いします。

渡部:最近は「GIVER 復讐の贈与者」や「科捜研」などのドラマがあり、今回の『シュウカツ3』やライダーもそうですが、こうして皆様に色々な作品をお届けできる機会があることがすごく嬉しいです。これからも自分を見失わず、一つ一つ真摯に向き合っていきますので、是非応援をよろしくお願いします。『シュウカツ3』は公開記念舞台挨拶もありますので、もしお時間ありましたら是非見に来ていただけたらと思います。

― ありがとうございました。(modelpress編集部)

渡部秀(わたなべ・しゅう)プロフィール

渡部秀(C)モデルプレス
生年月日:1991年10月26日
出身地:秋田県
身長:180cm
特技:陸上競技全般、サッカー、水泳、柔道
趣味:映画鑑賞、ラジオ、DIY、コーヒー、韓国語、一人旅

2008年「第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリ受賞。2010年、「仮面ライダーオーズ/OOO」で主演を果たし、同作で映画初主演を飾るなど現在も俳優として活躍中。その他の出演作にドラマ「純と愛」「科捜研の女」、映画『進撃の巨人』『BRAVE STORM ブレイブストーム』『シュウカツ2』『おみおくり』などがある。「科捜研の女season18」(テレビ朝日系、木曜よる8時~)にレギュラー出演中。映画『シュウカツ3』がユナイテッド・シネマ アクアシティお台場(12月7日~)、大阪シネ・リーブル梅田(12月8日~)ほかにて公開。
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