桜田通、濡れ場も辞さぬ「クズの本懐」で本当に伝えたい“実写化の意味” モデルプレスインタビュー
2017.01.18 07:00
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前に進むための原動力を感情で示すとすれば、俳優・桜田通(さくらだ・どおり/25)の場合は「悔しさ」とか「苦しみ」とか「怒り」とか、そちら側に傾いているようだ。どんどん高まっていく演技へのモチベーションゆえ、今の自分自身や周囲の環境に全力で向き合い、時にフラストレーションを抱えるほどに悩みながら、それを挑み続ける理由に変える。そして、そんな彼自身のベクトルこそ、初主演をつとめるドラマ『クズの本懐』(フジテレビにて18日深夜1時55分スタート)にしっくりくるような気がするのだった。
目次
“アンチ恋愛”を盛り上げる作品
原作は累計140万部を突破した横槍メンゴ氏の人気コミック。美男美女の高校生カップル、安楽岡花火(吉本実憂・20)と粟屋麦(桜田)が、誰にも言えない“秘密の契約”のもと、不条理な感情を慰め合い、堕ちていく様を描く。桜田が同作と出会うきっかけは約2年前、書店での“表紙買い”。表紙に描かれた花火の物憂げな表情に目を奪われ、手に取ったのだという。「表紙の花火を見た瞬間『この女、来る。人気出る』と思って(笑)。読んでみると、その生々しさに一気に引き込まれました。僕はすごい“アンチ恋愛”で、恋愛ものを観ると大体は『いや、こんな美しい恋愛ないよ』とか『こんな人間いないよ』って思うんですけど、『クズの本懐』は『いるいる!こんなクズいる!』って感じで、それが好きでした」
ストーリーの面白さに惚れ込むと共に、実写化との相性の良さを確信した桜田は、以来「絶対に実写化される。だったら僕がやりたい!」と想い続け、ついにそれが実現することとなった。粟屋麦という少年を演じるにあたっては、極力笑顔を抑えた表情や顔の微妙な角度に至るまで、ひたすら原作に忠実に。その細かさは「原作を好きな人が観た時に『あっ、ここ原作だ』と引っかかってもらえるような小細工をしています」という徹底ぶりだ。
「麦の揺れてしまう心は、人間なので多少なりともわかります。複数の女性に『可愛いな』とか『愛しいな』とか、そういう気持ちを抱くまでは罪じゃないと思っていて、そこは共感できるんですけど、麦の場合は行動に移しちゃうから厄介ですね(笑)。ただ、麦は17歳の男の子っていうところが作品として破綻しない救いだと思っていて。『まだ17歳の子供だからしょうがないよね』で片付くところも多いです。17歳の壊れやすい感情。大人からしたら理解できねーよっていうところも、きっと17歳の子たちは本気で生きてるから。そこはやっぱり題材が天才的でした」
自身初の濡れ場も…制作陣への圧倒的な信頼
原作に忠実に、センセーショナルな濡れ場も多く盛り込まれる今作。初めてのことに戸惑いつつも、W主演をつとめる吉本と体当たりで挑んでいる。「やっぱり3次元に落とし込んだときのほうがエグいですね。僕が濡れ場をやったことがなかったので、最初はどこまでやっていいのかもわからなかったし、お互いのマネージャーさんも現場にいるので気を使いました。でもそこはプロデューサーさんや監督をはじめ、色々な方のケアがあって、例えばリハの時はその場にいる人数を少なくしたり、安心できる環境を整えてくれて。だから僕らは芝居に移ればお互い遠慮なくキスするし、体を触るシーンはそう見えるように触ったりもする。照明さんやカメラマンさんのことも信頼しているので、納得しながら進められるのが良かったです」
花火役の吉本については、原作ファンの桜田も“ドンピシャ”だと太鼓判を押す。
「吉本さんの芝居は『罪の余白』という天才的な作品を観て知っていたので、『えげつない花火になる!』って超期待してました!年齢が若いので、作品に入るまでは『どういう人なんだろう?』ってちょっと読めなかったんですけど、前日に台本をしっかり読んで、細い感情とかを台本に書くタイプだったのにはビックリしました。そんなに入念に決め込んだ芝居を、現場であんなにナチュラルにできるんだ!って。今まで出会ったことないタイプの女優さんで、希望が持てました。年下の女性ですけど、すごく頼りがいがあるというか、彼女の芝居にどんどん巻き込まれたいって思ったんです。彼女の芝居を目の当たりにしていると、自然にセリフが出てくるし、感情を引き出されます」
実写化の意味…「本当に伝わってほしい」
共演には同じ所属事務所の水田航生(26)や、元々親交があったという逢沢りな(25)がおり、和気あいあいとした雰囲気で撮影が進行。「これで世間の反応が悪かったら僕たちは悪くない。世の中が悪い(笑)。これだけみんなで頑張ったものだから」と言い切れるほど全力を注ぐのは、今作を通じて「本当に伝えたいこと」があるから。「今、世の中では“実写化=漫画に沿った、すごいクオリティの高いコスプレ”みたいな捉え方をされていますけど、僕にとっての実写化はそうじゃない。実写化をする最大の意味は、“その物語のいいところをより多くの人に伝える”という部分にあると思っています。今回『クズの本懐』をやるにあたっては、『原作を知ってほしい』というのが僕の中の軸になっていて。それと同時に、紙の中やアニメでは表現できない艶めかしい音や目の動き…本当の人間だからできる表現を、しっかりと見せていくこと。だから僕は漫画に勝てなくてもいいし、アニメにも勝てなくていい。今回、アニメも同時に放送されるということで、アニメの第一話も観ましたが、本当に素晴らしく、しっかり原作ファンの心を掴むものになっていてさすがだなと思いました。でも別に僕らがそれと同じことをやっても意味はないから、実写ドラマの『クズの本懐』としては一番になる。『クズの本懐』という物語で伝えたい大事なところをしっかり表現していくことが、3次元の僕らが作る理由。それが本当に伝わってほしいです」
「『実写化なんて意味ない』なんて声もあるけど、それはすごく腹立たしい。今回の作品で、改めて『実写化でこういうことが伝えたかったんだ』って気づいてほしい」と迷いのない熱き主張は、今まさに現場で感じているジレンマの告白へと発展。
「単純に日本は時間が少ないっていうのもあるんですよね。例えば一つの役に一年間スケジュールを割くことができて、全員でもっと色々なことを考えて、完璧に撮ろうねっていう環境だったら絶対にもっといい作品になりますよ。でも現状は限られた時間の中でやらなくてはならなくて、そこは僕だけでは解決できない問題だから、どこから変えていったらいいのかわからない。それはすごく心苦しくて、ストレスが溜まる瞬間ですね。もっともっとできるはずなのに、色々なものが全然足りないから、今世間から文句が出てくるのは仕方ないと思う。だから、せめてその中で今作っているものの根底を感じ取ってほしいっていうのが、『クズの本懐』をやる上での願いですね」
もっと自分の芝居を見てもらえる一年に
これまでも一つ一つの役、作品に真摯に向き合い、映画『orange-オレンジ-』(2015)やドラマ『弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(2014)、『グッドモーニング・コール』(2016)など確かな足跡を残してきた。今年は現在放送中の同局ドラマ『嫌われる勇気』(木曜よる10時)で刑事役を演じているほか、話題の映画『君の膵臓をたべたい』の公開も待機し、注目度は急上昇。「とにかく自分の芝居を色んな人に見てもらえる一年にしたいです。まずは見てもらわなきゃしょうがない。新しい作品に出会いたいし、新しい役をやりたい。芝居に対するモチベーションは上がっていく一方です。僕のやりたいことをやった芝居に対して、沢山の方にもっと目を向けてほしいです」
(modelpress編集部)
ドラマ『クズの本懐』第一話あらすじ
報われない恋、切ない恋、片想い。それってそんなに美しいものですか?下校する生徒たちの注目を浴びながら一緒に歩く高校生の安楽岡花火(吉本実憂)と粟屋麦(桜田通)。2人は美男美女のカップルとして有名だ。そんな理想的に見える2人には、ある「秘密」の共通点があった…。1学期の始業式、花火が「お兄ちゃん」と慕う幼馴染の鐘井鳴海(水田航生)と、麦の家庭教師だった皆川茜(逢沢りな)が音楽の教師として着任。そこから物語は始まる…。
桜田通(さくらだ・どおり)プロフィール
1991年12月7日生まれ、東京都出身。ミュージカル『テニスの王子様』(2006)にて主役を務め、映画『劇場版さらば仮面ライダー電王ファイナル・カウントダウン』(2008)野上幸太郎役で主演。日本テレビ系ドラマ『弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(2014)、映画『orange-オレンジ』(2015)では萩田朔役を演じ好評を得た。2016年はドラマ『グッドモーニング・コール』(Netflix)、『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)、『ラブラブエイリアン』(フジテレビ系)、映画『全員、片想い』などに出演。現在、ドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系、木曜よる10時)に出演中。映画『君の膵臓をたべたい』が7月28日公開。
【Not Sponsored 記事】
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