「HiGH&LOW」でも注目“パルクールパフォーマー”ZENって何者!?新たなストリートカルチャーを発信中「それが天命」
2016.07.28 14:00
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「パルクール」というスポーツを知っているだろうか?「走る」「跳ぶ」「登る」などの動作を駆使し、心身を鍛え、移動の中でパフォーマンスを見せるフランス発祥のストリートスポーツのこと。その超人的な動きから“忍者スポーツ”という異名を持つ。現在、世界的に競技人口を増やしている「パルクール」で、日本の第一人者として活躍しているのがZEN。弱冠23歳ながら、世界的にその才能を認められ、2015年にカナダで開催されたパルクールの北米大会「North American Parkour Championships」では優勝を果たした。現在は、LDHに所属し、日本にパルクールを広めるべく活動を行っている。今回、モデルプレスではそんなZENにインタビューを実施。なぜ、彼はパルクールに魅了されたのか。そして、その先に何も求め、何を目指しているのか――?
パルクールパフォーマーZEN
1993年5月13日生まれ。パルクールとの出会いは、15歳の頃。友人に観せてもらった映像に一目惚れした。16歳で単身渡米。現地で、技術を身に付け、その後、日本に拠点をおきながら頻繁に海外を行き来するようになる。2011年、18歳のとき初出場したパルクールの国際大会「Red Bull Art of Motion Yokohama」で5位に入賞し、アジア人初の快挙を達成。前出の2015年「North American Parkour Championships」大会のほか、2016年4月の国際大会「WFPF(World Parkour Pro-Ama Championship)」でも3位に入賞するなど、その地位を確固たるものにした。
また、EXILE TRIBEのライブや三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「O.R.I.O.N.」のミュージックビデオに出演するなど、パフォーマーとしても活動。テレビドラマ「HiGH&LOW THE STORY OF S.W.O.R.D.」(シーズン1は2015年10月期に放送、シーズン2は2016年4月期に放送)、公開中の映画「HiGH&LOW THE MOVIE」では、俳優業にも初挑戦し、さらには7月22日より開幕した「HiGH&LOW THE LIVE」にも出演するなど活躍の幅が広がっている。
そして、7月27日には初のフォトエッセイ「FLY」を発売。「自分の内面を掘り下げた、普段言葉にしないような内容もたくさん書いてあるんです。皆さんはどう感じるんだろう?」。パルクールと出会って変わった自分、その半生を振り返っている。
なぜ、今フォトエッセイを出版するのか?
― 初のフォトエッセイということですが、ZENさんの全てが詰め込まれているような気がしました。ZEN:本当に色々こだわって語らせていただきました。実は、最初にこのフォトエッセイのお話をいただいたときは、自分でもびっくりしたんです。いつかは…とは考えていましたが、漠然ともう少し先のことだろという気持ちだったので。でも、このタイミングだから、見せられる部分もあるだろし、今の自分を残せるという意味では非常にありがたいタイミングでした。
― 今はファンの方に早く届けたいという心境でしょうか?
ZEN:嬉しい半面、少し怖かったりもします。自分の内面を掘り下げた、普段言葉にしないような内容もたくさん書いてあるんです。皆さんはどう感じるんだろう?って。「HiGH&LOW」で初めて僕のことを知ってくださった方もたくさんいるでしょうし…意外だと感じる一面も多いと思います。
―「HiGH&LOW」の反響はご自身でも感じていらっしゃると。
ZEN:はい、ありがたいことに。SNSの反響やイベントに来てくださるお客さんが増えたり。あとは、大会で結果を出すというのはもちろんなんですが、メディア露出が増えたことで、パルクールの認知度もここ2年ほどで飛躍的に高まったのかなと思っています。
初の演技に挑戦 反響大きく「本当に幸せ」
― 今回が俳優初挑戦だったということですが、演技はいかがでしたか?ZEN:演技レッスンとかあるのかな?と思っていたらなくて(笑)。自分で勉強し体当たりで撮影に挑ませていただきました。最初は、イメージしていた自分と映像の自分との差に悩まされていたんですけど、事務所の先輩方をはじめ周りの方々を見ながら、勉強させていただきながら、という感覚でした。
― 今回、EXILE TRIBEの方々など、多くの先輩方と共演されましたが、現場で特に印象に残っているエピソードを教えてください。
ZEN:色々な先輩方にお話を聞かせていただいたのですが、山田裕貴くんとご飯に行かせていただいたときに、「チーム一人ひとりの役作りじゃなくて、全体で世界観を作り上げてる」と言っていたのが印象に残っています。それまでは、自分がどう演技をしたらいいか、立ち振る舞えばいいかということばかり考えていたのですが、もっと広い視野でいることが大切なんだって。「さすがだな」と思いました。
― アクションの部分では、アドバイスも求められることもあったのでは?
ZEN:そうでしたね。でも、簡単なことは言えなくて…ただ「アクション良かったよ」ってと言ってくださって、それはすごく嬉しかったです。自分としては、パルクールの映像を作っているわけではないので、あの世界観の中にどうハマるかというのを考えながら、やっていました。監督とも入念に打ち合わせをさせていただき、パルクール+αで魅せられたらいいですねって。
― パルクールを活かした役で、まさにぴったりでした!
ZEN:そう言って頂けるとホッとします。演技をしている自分と言うのは、不思議な感覚だったので。基本的には、プレイヤーであるこということが主軸にあるので、こうやってすべての活動が繋がっていく環境というのは、本当に幸せです。
16歳で単身渡米「パルクールをひとつのストリートカルチャーに」
― ZENさんは16歳でアメリカに単身渡米されたということですが、その頃からパルクールを日本で広めたいという想いがあったんでしょうか?ZEN:最初は、友達に観せてもらった映像に衝撃を受けて、「行きたい!」という想いだけでした。脳と行動が直結していて、常識もなかったから、それが普通じゃないってことすら分からなかったんですよ。「行きたいのに、なんで行かないの?」「何の問題もないじゃん」って(笑)。結局、高校1年生の夏休みに行って、そのまま帰りたくなくなって、親を説得しました。
― ご両親は最初から賛成で?
ZEN:いいえ、さすがにすぐOKという感じではなかったです。でも「私たちが、1番お前のことを応援してる。そんな人達を説得できないくらいの想いなら、向こうに行っても何もできない」って言ってくれて、必死で想いを伝えました。結果的に通信制の高校を卒業する事を約束し、日本とアメリカを行ったり来たり。本当に親の応援があってできることだったなと感謝の気持ちでいっぱいです。
― 素敵な言葉ですね。夢中だった時代から、パルクールを広めたいという気持ちに変わったのはいつ頃のことですか?
ZEN:高校卒業が見え始める2年生から3年生の頃、進路について考えたとき「パルクールの役に立ちたい」「パルクールに恩返ししたい」という気持ちが生まれました。そこから、「日本のパルクールにとって必要な人材になろう」「じゃあそのためにはどうする?」って変化して、「プレイヤーとしてメディアに出てシーンを引っ張っていく人になろう」という答えに辿り着きました。その当時って、パルクールのプレイヤーはスタントマンとしての仕事が主で、プレイヤー自身が注目されるってことがなかったんですよ。それを変えたいって気持ちが1番でした。
― 使命感のようなものでしょうか?
ZEN:そうですね。それが当たり前だと思いながら。パルクールのために頑張ることが自分の喜びだし、天命だと思っています。だからこそ、16歳の頃から3年位フリーでやって、どうしたらストリートカルチャーとして、ひとつの文化として認めてもらえるのかってことをずっと考えていました。スケートやブレイクダンスのカルチャーも勉強しました。今日に至るまで、どんな風に盛り上がって、文化のひとつとして今の地位を築いたのか。
― パルクールをひとつの文化に、と。一朝一夕にはできない壮大なテーマですが、心が挫ける瞬間はありましたか?
ZEN:細かい出来事で言うとあるんですけど、気持ちが変わるほどのものはないです。常に次のテーマが見えていて、そこに向けたプロセスを重ねていくだけです。
プレイヤーとしての“自分” すべてを注いでムーブメントを
― 実際には、どのような活動を行ってきたんですか?ZEN:初めは人との繋がりを最優先にしていました。応援してくれる人はいないのかと探すことから。あとは、プレイヤー自身に注目集めるには、かっこいいファッションをしてなきゃ興味を持ってもらえないって身なりに気を遣うようになったり。
― まさに、スケートやブレイクダンスの例ですね。
ZEN:そうなんです。そういう部分に気を遣っていないと、結局裏方に回されるんですよね。そのあとは、同じ志を持った人たちと集まって、コミュニティを広げていきました。その中で、一人ひとりの役割を考えて。僕がメディアに出て知名度を広げる活動をしている間、ほかのメンバーは裏でパルクールの底上げをしてくれています。受け皿を作ってくれている状態です。
― 今の1番の課題は何だと考えていますか?
ZEN:プレイヤーが増えていないことです。あまりに人間離れした動きなので、観るのは好きだけど…って人が多いんです。でも、実はパルクールって身体能力じゃなくて、身体と精神をいかに結びつけることができるかってことなんですよ!
― 身体と精神を…?
ZEN:例えば、バク転をするとなったら怖いじゃないですか?でも、側転ならできる。どちらも首が1回身体より下になるっていう、リスクがあるのに側転ならあまり怖がらずできる人が多いのは、イメージができるからなんです。そのイメージを補えるものっていうのが知識になるんですよ。なので、パフォーマンスは周りから見て危ないように見えていても、僕らは知識があるからリラックスした状態でいられるんです。90階のビルの屋上から、向こうの鉄骨に飛び移ってくださいって言われたら、僕らはどうすればいいかイメージできます。もし踏み切ったときに「行き過ぎたな」「足りないな」って思っても、空中でどういう動きをすればいいのか知識があるから大丈夫。それがパルクールなんです。
― あの動きは知識によって成り立っているんですね。
ZEN:危ないことがどんどんできるようになってるっていうよりも、リスクをどんどん減らしているって表現が近いです。僕も最初は生まれつき度胸があって身体能力が高い人ができるんだって思ってましたけど、そんなことないんですよ!結果、僕にもできているですから。世間的なパルクールのイメージが変わって、腹筋を割りたいって人が、筋トレの代わりにパルクールをするような世界にしていきたいです。
― それが今の夢ですか?
ZEN:人生単位のテーマは、パルクールを発展させ続けていくこと。世界的に僕らはファーストジェネレーションにあたる世代なので、カルチャーを一歩一歩作っていきたいです。
― ありがとうございました。
夢を叶える秘訣は?
「パルクールをひとつのストリートカルチャーに」。新たなムーブメントを生み出す人は、彼のようなチャレンジ精神と使命感を持った人なのかもしれない。「自分のなかのルールとして、常にそのフィルターがあるかどうかというのは大切だと思っています。例えば、休日をどうやって過ごすか自分で選べるとして、『今日は家でゆっくりしよう』『新しい刺激を求めて外に行こう』と、考えるじゃないですか?そのとき、自分の夢のためにとフィルターを通す。休むということも英気を養うためには大切だし、外の刺激を受けるってことも必要。だからこそ、自分で判断することを大切にしています」。
これは、彼に聞いた「夢を叶える秘訣」。生活のコアがパルクールであり、それが夢に直結している。「現役を退いても、まだまだやれることがいっぱいあると思うんですよ」と、パルクールがない自分など想像していないといった様子だ。彼の持つパワーが起こす奇跡に期待したい。(modelpress編集部)
ZEN(ゼン)プロフィール
生年月日:1993年5月13日出身地:東京都
15歳の時、パルクール(フリーランニング)に出会う。翌16歳の夏、アメリカ・ロサンゼルスに渡りプロフリーランニングチームTEMPESTと共にトレーニングを積む。そこで現在の基盤となるスタイルやメンタリティを学ぶ。その後デンマークでの修行を経て帰国。2011年夏に横浜でフリーランニング世界大会『Red Bull Art of Motion』 が日本初開催され出場し、世界第5位と健闘。2015年にカナダで行われた、パルクール北米大会『North American Parkour Championships』では、見事アジア人初の快挙となる優勝を果たす。
また、アジア数カ国で放映されたWindows8のテレビCM出演や、ハリウッド映画トレーラーの主演を飾るなど、幅広い分野で才能を発揮し、現在では、映像、舞台、モデル、モーションキャプチャーなど、パルクールパフォーマーとして多方面に活躍中。
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