染谷俊之、着物姿や裸体…魅惑的な世界観に「かなり挑戦をした」 “陰翳”な写真集に自信<インタビュー>
2018.09.05 19:30
2.5次元舞台で一躍注目を集め、ドラマ、映画と幅広い活躍を見せる俳優・モデルの染谷俊之。谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」とコラボレーションする写真集「文豪ノスタルジア 染谷俊之×谷崎潤一郎 陰翳礼讃」が完成し、リリースを目前に控えた染谷にインタビュー。笑顔を封印して挑んだ撮影の裏話や、オススメのカットetc…、作品への思いを聞いた。
目次
仕上がりが想像つかなかった、衝撃の写真集
― 今回の写真集「文豪ノスタルジア 染谷俊之×谷崎潤一郎 陰翳礼讃」は、どのような写真集なのでしょうか。染谷:谷崎潤一郎さんの随筆「陰翳礼讃」の世界観を写真集として表現しています。昭和初期の日本人の暮らしに見出される陰翳“うすぐらさ”の美についてさまざまな角度から語られている随筆なのですが、写真集の中ではその世界観を表現しつつ、現代における“陰翳の美”も追求し、全三章で構成しています。
― 最初にこの企画の話がきたとき、どう思いましたか。ずいぶん変わった取り組みだと思うのですが。
染谷:そうですね。「陰翳礼讃」の世界観を写真集で表現するなんて…、まず思ったのはやっぱり、斬新だなと(笑)。でも、コンセプトについて考えたり、撮影したりしていくうちに「なるほど」と思って。日常にある光や影って、その存在はもちろん良さや美しさを感じることって、意識していないとなかなかないじゃないですか。今回の撮影を通して、僕も日常における物の見方がずいぶん変わりました。
― 今日は写真集の仕上がりを初めてご覧になったわけですが、いかがでしょう。
染谷:今回は普通の写真集とは違うので、仕上がりの想像があまりつかなくて…。だからこそ、こうして初めて見たときの感動が大きいです。写真集であることはもちろんなのですが、ひとつの“作品”として皆さんにお楽しみいただけるだろうなと感じています。
たとえば手をメインにしたカットとか、体の一部を切り取ったカットは三章以外にもいくつか登場しているのですが、素敵だなと思います。手の筋に見える陰翳が美しいなと。そういったものが見える体で良かったなと思いました(笑)。
― 撮影中は、特にどんなことに苦労しましたか。
染谷:僕の体の中に見える陰翳の良さといった、かなり抽象的なイメージの話だったので。何をして、どう撮ったら、どう見えるかといったことを現場で話し合い、試行錯誤しながら進めました。スタッフさんたちも僕も一丸となって、かなり挑戦をした現場だったと思います。だから、仕上がりに関しても第三章がいちばん衝撃的です。
― これまでの写真集と大きく異なるのは、どんなところですか。
染谷:これまでの写真集だと笑顔の写真が多いのですが、「陰翳礼讃」を表現するうえで「笑顔は違うだろう」と思ったので、ほぼすべての写真において無表情にしています。陰翳を生かした情景のなかに僕がいる形になるので、表情を作らないほうが、その情景が生きるんじゃないかと思いました。といってもただ無表情なのではなく、そのなかに憂いや悲しみ、狂気など、微妙に少しずつ変えていたりとかして。読み手の想像力をかきたてられるように。
染谷俊之が選ぶ「陰翳礼讃」カットTOP 6
photo1.「はじめに」染谷:障子の外から撮影した写真なのですが、カメラマンの方と障子一枚隔てているので、どう撮られているのか僕はわからなくて(笑)。でも、僕が部屋に入ろうとしているのか、出て行こうしているのか、障子の裏で僕がどんな表情をしているのか、そもそもどんなシチュエーションなのか、見る人、見方によって想像するものや印象が異なると思います。それが「はじめに」に来ていることで、写真集全体のコンセプトを伝えるにはぴったりの写真になっていると思います。
photo2.羊羹(ようかん)の写真
染谷:羊羹のくぐもった感じの描写が、「陰翳礼讃」のなかにも出てくるのですが、それが写真のなかで本当に美しく表現されています。
電気をつけて同じ羊羹を撮ったらまた全く違う表情になると思いますし、あえて薄暗いなかで、外からの光に照らされることで、ぼうっと羊羹のくぐもった感じが表現できていると思います。
photo3.花火と街灯の写真
染谷:もともとは暗い夜の海で花火の明かりとの対比だけのはずだったのですが、遠くに並んだ街灯の明かりが効果的に写り込んでいます。
最初は意図していなかったのですが、遠くの街灯がこんなふうに写り込んで効果的に見えるのは、現代ならではの陰翳の美しさと言えるのではないかと思います。
photo4.第二章冒頭の写真(豊洲のビル)
染谷:第二章は「陰翳×現代」がテーマになっています。この写真は豊洲のとあるビルで撮影しているのですが、床に模様のように見えるのは照明の明かりで、天井の照明が真下を照らしている状態です。僕の顔には別途ライトを当てていただいて、佇んでいます。
非常に天井が高く奥が一面ガラス張りの、このビルの環境でないと撮れない写真。現代ならではの陰翳の美しさを表現するために、カメラマンさんがあらゆるビルというビルを調べて探し出してくれました。
photo5.第三章冒頭の写真
染谷:スタイリストさんが選んでくれた、質感に非常にこだわった布を使用していて、奥からライトを当てて透けるようになっています。幻想的な表現になりました。
この写真、加工をほとんどしていないのですが、まるで僕が空想の生き物みたいになってますね(笑)。僕がとったポーズを美しく切り取っていただいていて、特に好きな一枚になっています。僕やこの写真集を知らずに見た方にも、これ一枚で作品として楽しんでいただけそうなものに仕上がっていると思います。
photo6.首のあたりと肩、背中
染谷:ぱっと見たときに一瞬、体のどこを切り取っているのかわかりづらいかもしれません。でも、きれいだと感じていただくことはできるかなと。そういった切り取り方になっています。
写真を初めて見たときは、「こんな血管あるんだな」とか「背筋こうなっているんだな」とか思って。自分の体をいろんな角度から見ることってあまりないですからね。あとは中学生くらいのときにやんちゃして転んでケガをしてしまった背中の傷をひさしぶりに見ました(笑)。
写真集と合わせて楽しめる旅番組も収録
― 写真集の撮影だけでなく、今回はテレビ番組も収録されたとか。染谷:湯河原と熱海、谷崎潤一郎さんにゆかりのある場所を訪ねる旅番組を撮影しました。実際に谷崎さんが召し上がったお料理をいただいたり、お店の方のお話を伺ったりしているので、リアリティあるエピソードなどをお届けできると思います。
たとえば、谷崎さん行きつけのお店に「いい食材が手に入ったから、これで何か作ってくれ」と谷崎さんが無茶を言ったエピソードとか(笑)。僕も勉強になりましたし、面白かったです。
― 写真集を撮影されたうえで収録に臨まれたとのことで、谷崎さんが見出した陰翳の良さは実感されましたか。
染谷:はい。谷崎さんが実際に住んでいたお家にも伺いまして、「陰翳礼讃」のなかには谷崎さんがその日本家屋を建てられたときのお話も入っているので、「こういったところにこだわっていたんだな」とか「この景色を楽しむために建てられたんだろうな」と考えながら楽しめました。ぜひ皆さんにも、番組をご覧いただく前に「陰翳礼讃」を読んでいただきたいですね。より一層楽しんでいただけるものになると思います。
番組もそうですが、写真集も、「陰翳礼讃」を読んでいただく前と後では見方や感じ方が変わると思います。もちろん読まないまま楽しんでいただいてもいいですし、最初から読んでいただいたうえでご覧いただくでもお楽しみいただけるとは思いますので、皆さんそれぞれの楽しみ方を見つけてもらえると嬉しいです。
イベントでは“先生”として登場も
― 今回は写真集の発売に合わせてイベントを開催されるそうですが、どんなイベントになりそうですか。染谷:まだ具体的にどういったイベントにするかは考え中なのですが、せっかく皆さんに来ていただくからには、楽しんでいただけるような内容をご用意したいと思っています。写真集の雰囲気がシリアスなので、イベントでは逆にワイワイ楽しんでもらえたら嬉しいですね。どれかひとつ来ていただいても楽しいものになると思いますし、もちろんすべて来ていただいても楽しんでいただけると思います。
― 東京と大阪それぞれで、染谷さんが先生になって谷崎潤一郎さんについて学ぶイベントもありますよね。
染谷:そうなんですよ! 僕が先生として皆さんにお話するなんてすごく緊張しちゃいます…(笑)。作品の奥深さはもちろんなのですが、谷崎さんご本人は破天荒だったり、波乱万丈の人生を送られていたりと面白い方なので、そういったお話もできればいいですね。
― 東京では、SNSで募集した陰翳礼讃にちなんだ画像の中から受賞作品を決める「陰翳礼讃グランプリ」も開催されるとか。
染谷:面白いですよね、皆さんが見つけた陰翳の美しさ、見てみたいです。見る人によって、見つけられるものはもちろん、見方もまったく変わってくると思いますから、この取り組みは面白いですよね。
日常にある陰翳の良さって、意識するようになるとたくさん見つかるものです。それだけで見る世界が変わってくると思うので、この機会にぜひ皆さんの見つけた陰翳の美しさを、僕に教えていただけたらと思っています。
― ありがとうございました。
爽やかな笑顔を封印し、“陰翳”というフィルターをかけた写真の世界で、新たな魅力を披露した染谷。
表現者として成長を続ける姿を目の当たりにするはず。(modelpress編集部)[PR]提供元:株式会社MOGURA ENTERTAINMENT
▼出版記念イベント概要
東京で9月24日(月・祝)、大阪で9月30日(日)にて開催する「文豪ノスタルジア 染谷俊之×谷崎潤一郎 陰翳礼讃」出版記念イベントのチケットが販売中。
2018年9月24日(月・祝)/浜離宮朝日ホール
2018年9月30日(日)/ビジネスパーク円形ホール
※各公演とも座席枠は先着順、座席の場所については抽選となります。
▼写真集「文豪ノスタルジア 染谷俊之x谷崎潤一郎 陰翳礼讃」
書籍名:文豪ノスタルジア 染谷俊之x谷崎潤一郎 陰翳礼讃
購入予約受付開始日:2018年8月6日(月)
定価:3,780円(税込)
出版者:MOGURA BOOKS
▼出演番組「染谷俊之の文豪ノスタルジア~谷崎潤一郎を巡る旅~」
放送日時:9月17日(月・祝)昼12時00分~12時55分
放送局:テレビ神奈川(tvk)
出演:染谷俊之
染谷俊之(そめや・としゆき)プロフィール
1987年12月17日生まれ。神奈川県出身。2008年より俳優として活動をはじめ、舞台「弱虫ペダル インターハイ篇 The Second Order」や「刀剣乱舞」、近年は「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」などに出演。さらにアニメ「学園ベビーシッターズ」や「HUGっと!プリキュア」といった人気作品に声優として出演するなど、活動の幅は多岐に渡る。関連記事
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