遊助、ストレートな歌詞を書き続ける理由が深い!広すぎる交友関係の秘密も<インタビュー>
2017.11.13 20:30
2018年でソロデビュー10年目を迎える遊助。俳優業やタレント業で多忙を極めながらも精力的にライブをこなし、ストレートで熱い“遊助節”は確かな支持を得ている。デビュー当時から変わらない真っ直ぐな歌詞を書く理由に迫ってみたところ、芝居が歌手活動に与えた意外な影響も明らかに。遊助の思わぬ素顔が垣間見えるインタビューとなった。
聴いた人数だけストーリーがある歌詞
― 来年で10年目を迎えますが、1stシングル「ひまわり」の頃から楽曲制作を行う上で変わったと感じることはありますか?遊助:前はあまり強めの言葉を使わないようにしてました。そういう気持ちじゃなかったからかもしれないんですけど。例えば、一人称に「俺」より「僕」を多く使っていたり。誰かを指すときも昔は「君」とかだったけど、今は曲の世界観によっては「お前」とか「あいつ」とか。その曲の色によって一人称と二人称の呼び方を変えています。
― それは意識的に?
遊助:昔は意識的にしてたと思いますが、今はもう自然に。思うままに、感じたままに書けるようにはなりました。
― 他に気を付けている事はありますか?
遊助:あとは語尾ですね。お芝居をしている時も同じなんですけど、語尾はその役のヒントみたいなものがあると思ってて。ドラマや映画の時、与えられた台詞の語尾をそのまま言うようにしているんです。歌詞でも“そうでしょう”っていうより、“そうだろう”って言ったら「あ、こういう人なんだ」って聴いている人が自然に人物像を想像できますよね。“そうなのですね”って言ったら、「ああ、丁寧な人がこの物語の主人公なのかな」とか、「歳はこのぐらいなのかな」とか。だから歌詞を作る上で語尾も大切にしています。
― 逆に変わってない部分はありますか?
遊助:曲を聴いた人がハッとするような言葉であったり、それを聞きたかったんだと思えるような言葉を曲のポイントポイントに置きたいとはずっと思っています。
― その曲で伝えたいキーワードのような感じですか?
遊助:そうです。曲の主人公がぼんやり見えてくると、「その人は何を言いたいんだろう」とか「その人は何を言われたいんだろう」って聴く人も考えて、物語がどんどん膨らんでいくんです。
― 聞く人にイメージをさせるような?
遊助:あ、そうですね。だから聴く人によってストーリーは多分違います。でも具体的な名詞はちょこちょこ置くようにはしているんです。例えば、「髪の長い君が」とかを言うと、髪の短い人を想像していても「じゃあ髪の長いあの人のことかな」と、そこから更に想像が広がるんです。あとは聴く人にお任せ、みたいな。
― ある程度提示し想像してもらっているんですね。
遊助:はい。部品だけ渡して。レゴじゃないけど、この言葉でどういう人を作りますか?というイメージです。曲の世界観や歌詞の中で、聴く人の生活に寄り添うようなものだったり、想像が膨らみやすいようなワードを置こうと、ずっと昔から思っているんです。
― 具体的に言わないのは、多くの人に届けたいっていう気持ちから?
遊助:そうですね。例えば「カヨコ」とか言ったら、もうカヨコさんしか想像できなくなっちゃうから。やっぱ聴く人自身の曲にして欲しいんです。
― あまり実体験を歌詞にしないと聞いたのですが、それも同じ理由から?
遊助:基本的に実体験は書きません。もちろん自分の生活から想像したり物語を作っていくので、実体験が0かって言うと嘘になっちゃうんですけど…。1曲まるまる自分の物語は「History」っていうシリーズ曲くらいしかないです。
― 実際どのような時に歌詞は思い浮かびますか?
遊助:曲によるかなぁ。曲聴いてたらパっと思いつく時もあるし、思い浮かばない時は近くにいるスタッフとか友達とかに「最近何かあった?」って聞いたりして、周りからヒントをもらっています。書き初めれば結構ずらーっといけるんですけど、0から1を生むのがすごい難しくて。
10年目の今だからこそ書ける歌詞とは
― 新曲「雑草より」は、どういう流れで歌詞が思いつきましたか?遊助:新曲の発表がライブだったのもあって、会場に足を運んでくれるファンの方に向けたエールの気持ちが強かったですね。来年で10年目を迎えるので、見る景色もすごい変わってきました。毎年子供や男の人もすごい増えてきて。おじいちゃんおばあちゃんもいて、色んな世代の人達が俺の目の前に今、広がっているんです。元々自分の言葉で色んな世代や環境で暮らす人を支えたいという想いからスタートしたので、すごく嬉しいです。
― 諦めずに音楽活動を続けた結果が今に。
遊助:音楽活動は無理だろって言われたこともたくさんあって。ソロもみんなに反対されてのスタートで、それでも歯食いしばって頑張ってきました。だから「諦めなければ楽しい世界が待ってるんだよ」っていうことを、どうしても伝えたくなっちゃって。
― 自分をお手本にしてもらうような?
遊助:そうですね。まあ、お手本になるような大した人間じゃないんだけど(笑)。少なからず目の前にあなたがいるっていうことは、必死に頑張ってきたあなたが応援してきてくれたおかげだからっていうことを伝えたかったんです。「今さら私なんて」とか「もうこんな年だから俺なんて」っていう人がいて、踏んづけられ馬鹿にされても、信じてやり続ければ、支えて助け合える仲間は自ずと増えていくんです。自分の気持ちをその雑草として伝えられたらいいなと思って「雑草より」を作りました。
― 遊助さんの想いはしっかり詰まっているんですね。
遊助:実体験は極力書かないけど、想いは当たり前に自分の想いだから。だから悩むことも苦しいことも落ち込むこともあったけど、それをあまり悲観しないで欲しいなって思ったんです。あ、そういえばこの曲、悩むことと考えることの違いから始まったんだ。
― というと?
遊助:悩むことはちゃんと自分を確かめるためだし、考えることは動き出すためで。似てるけど、悩むことと考えることは違うんです。悩むことも考えることも次に進むためで、順番が違うだけ。無理だって言われても、悩んで、考えて、一歩踏み出せばいいんです。その悩むことと考えることの違いから歌詞を作ったんです。
― 10年目を迎えるからこそ書ける部分はありました?
遊助:昔だったら書いてないかも。昔はもっとがむしゃらだったから。まあ今もがむしゃらなんですけど。何かに悩んでいたり考えている時に聴いてくれたら嬉しいです。
― 「たんぽぽ」「全部好き。」など恋愛ソングも多く手がけていらっしゃいますが、これも自分の恋愛観を入れずに?
遊助:想いは自分の中にあるんですけど、物語としての主観はないですね。「たんぽぽ」だったら自転車乗って探し回ったとか、街灯の下で君と会ったとか、リアルな名詞だけぽんって置いて。街灯はどこにでもあるし、自転車も乗ることあるだろうなっていうことで。「自転車に乗って探し回ったことがあるんですか?」と聞かれると無いんですけど(笑)。
― (笑)。作詞をしていると聞かれることもありますよね。
遊助:だから「全部好き。」の10項目も、女性の友達やダンサー、スタッフに「何を言われたら嬉しい?」って聞いて。でも、ただ褒めまくるわけじゃなくて、“大雑把だけど美味しい料理”って言うとなんか照れくささも出るし、相手の女の子も「大雑把なんだけどちゃんと美味しい料理作れる子なんだ」っていうのが想像しやすいなと思います。具体的に言っているようで想像を膨らませるような余白を残しているというか。バチッと決めすぎると世界観を押し付けているようで、気持ちよくないんですよね。
― そうなんですね。
遊助:うん。「俺はこういう世界なんですよ。みんなわかってよ」っていうのがちょっと苦手で。みんなの世界にお邪魔しますっていうスタンスなんです。曲を聴いていて、自分の街や元カレ・元カノを想像して欲しいんです。変な話、俺のことを友達だと思ってくれてもいいし、元カレだと思ってくれてもいい。恋人だと思ってくれても全然いいんですけど、みんなが想像しやすくてキュンとしたりだとか、なにかを思い出してジーンとして欲しいなと思って。
― そう思うようになったキッカケはありましたか?
遊助:なんですかね…。(少し考えて)あ、芝居かもしれない。芝居で「この人がこの役やるんだ」ってなった時に、俺が想像した通りになったことが1回もないんです。っていうことは、自分が思っている景色とその人の景色って全然違うんだと感じて。俺が思った芝居をしても、監督からこういう感じでやって欲しいって言われたこともあるし、自分の見ている景色がすべてじゃないっていうのをいっぱい感じてきたからかもしれません。
― みんな違う捉え方なのを見てきたからなんですね。
遊助:だったら音楽も同じじゃないかなと思ったんです。具体的に書くのも良いんだけど、それだと俺の曲になっちゃうから。もちろん俺の曲なんですけど、本当は聴く人の曲にして欲しいんです。自分の体験だけで歌詞を書くとガス欠になるし。
― ガス欠?
遊助:例えば恋愛ソング。何十曲も書けるほど恋愛経験は豊富じゃないしって思う。だからいろんなものを題材に。友人もそうだし、動物とかもそうかもしれないですね。
ラーメン屋で隣に座った男性と友人に
― 遊助さんは交友関係が広いとお聞きしますが、それが歌詞に繋がることも?遊助:すごく良くしてもらって、助けられてるから、そこにヒントもあったと思います。でも、やっぱり分かる人だけ分かればいいやとは全く思って無くて。「ロケバスで移動して、スタジオでメイク」なんて曲書いても、全然なんのこっちゃわかんない曲じゃないですか。色んな人に怒られたり、色んな人と笑ったり、20代の時にいっぱい知れたのは大きいかな。
― 今でも友人と呼べる方が新しく出来たりも?
遊助:全然しますね。ものすごい最近なんですけど、ラーメン屋でたまたま隣りに座った男性と友達になりました(笑)。
― すごいですね(笑)!
遊助:俺も酔っ払ってたんですけど、話しかけられて、じゃあ友達なっつって。
― 一般の方ですよね?
遊助:もちろん。30代前半くらいの男性2人組だったんですけど。
― ロケ先でお年寄りの方と意気投合して家にお呼ばれしたというお話も。
遊助:あ、昔ね。遊びに行ったことあります。なんか行ったら面白そうってだなって思って。もう本能っていうか。
― 単純に遊びに行ったら面白いだろうなっていう。
遊助:ちょっとドキドキもするんじゃないですか。ワクワクもするし、緊張と緩和じゃないけど(笑)。あ、行っておいてよかったみたいに思えれば。それでもし変なことになったら、「じゃあ俺が悪かったんだな」って感じですね。
― でも、すぐ仲良くなれる方って良い人が多そうですね。
遊助:そうだね、そんな気がする。
遊助の夢をかなえる秘訣とは
― 最後に遊助さんの夢を叶える秘訣を教えてください。遊助:急に壮大なテーマ!
― (笑)。遊助さんなりの夢を叶えるためにしてきたことなどがあれば。
遊助:あ、ちょうど最近それ聞かれて。ずっとやってきた事を辞めるって人と飲んでる最中で、ベロベロだったんですけど(笑)。俺も野球を辞めて、お芝居も音楽も知らないまま芸能界に飛び込んできちゃったけど、何をしたいかよりどんな自分でいたいかをずっと考えてきました。紅白に出たいとか、MCの番組取りたいとか、あんまりガツガツしてなくて。そうなったらもちろん嬉しいですけど、仲間と美味しいお酒を飲むことも大切で。名前とか、順位とか、名誉とかは別にどうでもよくて、気張らずに思ったことを言えるような人間でいたいんです。でもちゃんと謙虚に。そのためにはどうすればいいかって考えると、「じゃあ頑張るしかねぇな」「結果は出さなきゃいけないな」って。だから本当は結果は二の次なんです。
― 何のために頑張るかが大事だと。
遊助:やることなくなっちゃったって思う時期ってたくさんあると思うんですけど、そんなことより今の楽しい時間をどうやって作り続けるかっていうことを考えています。結果はその途中にたまたまあるだけで。昔から目標は決めてたけど、本当の自分の中の夢っていうのは、今のモチベーションキープで。
― 今の自分で居続けるために?
遊助:来年もこの取材を受けた時、同じことが言えるために「じゃあ来年何しようかな」って目標を考えるんです。変わらないための手段というか。ライブにみんなが笑顔で集まってくれて、生意気言っても「しょうがねぇな」って頭をぐしゃぐしゃにされるような俺で来年もいるために何をするか、です。
― 今の自分がキープできないと感じることもありますか?
遊助:もちろん年重ねると、うまく行かないことが増えたりもします。自分の心も、もしかしたら貧しくなっちゃうこともあったかもしれないです。でも、やばいっていう年に仕事がもらえたりして、ずっと神様ありがとうございますって感じです(笑)。
― 「やばい」と思っても今の自分は変えようとは思わず?
遊助:そうですね。「ずっと変わんないな」って言われることは良くないことかもしれないけど。でも、ずっと変わらずに居させてくれるだけ頑張ってきたんだって、今はちょっと胸を張れています。
― 貴重なお話、ありがとうございました!
遊助:ありがとうございました。
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