『チャペルウェイト』徹底ガイドで語られた魅力&エイドリアン・ブロディら、キャストからのコメント映像も到着

『チャペルウェイト』徹底ガイドで語られた魅力&エイドリアン・ブロディら、キャストからのコメント映像も到着

2021.12.01 12:00

スティーヴン・キングが大学時代に執筆し、1978年出版の短編集「深夜勤務」に収録された短編小説に基づいて、新たなキャラクター設定と脚色でドラマ化した『チャペルウェイト 呪われた系譜』。本日より、スターチャンネルEXで配信となる本作の魅力をより深くお伝えする特別番組「ホラー好き大注目!海外ドラマ『チャペルウェイト 呪われた系譜』徹底ガイド」(全4回)も併せてスタート。今回、番組配信を記念し、MCを務めたこがけん(お笑い芸人)と丸屋九兵衛(万物評論家)に収録後のインタビューを実施。本作の魅力と面白さ、番組を収録しての感想を語ってもらった。

『戦場のピアニスト』で2003年にアカデミー賞主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディが、過去のトラウマに苦しみながらも度重なる困難から3人の子どもたちを守ろうと必死で戦うシングルファーザーを熱演。主役のオファーを受けた時ヒマラヤ山脈を登山中だったというブロディは、チャールズというキャラクターの深さに惹かれ出演を決めたとインタビューで明かしている。また、本作で新たな役どころに挑戦しているのが『シッツ・クリーク』で大ブレイクしたエミリー・ハンプシャー。小説のネタ探しという不純な動機でブーン家の家庭教師になるものの自分の生き別れた父親もブーン家と関わりがあったことを知りつつ、一家の味方となって共に戦う強く聡明なレベッカ役を演じている。

まずは、その二人から到着したコメント映像をご紹介しよう。

エイドリアン・ブロディ


エミリー・ハンプシャー


スターチャンネルEXで配信中の海外ドラマはこちらよりチェック

こがけん×丸屋九兵衛 インタビュー

■収録を終えての感想は?

こがけん:丸屋さんが色々な映画について語ってくれたのですが、大分雑にあしらったので、丸屋さんが内心怒っていないかは気になっていますね。

丸屋:今のコメントをちゃんと翻訳すると、ドラマについて話さなきゃいけないのにドラマ以外の事をたくさん語ってしまってどないしてくれんねんって意味だと思います。かなり関係なかったですよね?

こがけん:あれは丸屋さんの持ち味ですからね。

丸屋:有難うございます。

こがけん:でもほんとに、丸屋さん、1発とんでもないハードパンチを決めていたので。それ以外はほんとに雑談だったと思います。

丸屋:(子どもたちに対する)レイシズムが現代のアメリカを描いているんじゃないかってところですかね。

こがけん:それ以外は尺を使って全然違う事を話してしまうので。チーズの本の話をし出した時はほんとにもう...それでその(オレンジの)スーツを着てきたのかと思いましたよ。

丸屋:それは違うよ! そして......、Maggot(ウジ虫)治療ね!

こがけん:もういいよ!

丸屋:今回Maggot(ウジ虫)っていいながらドラマに出てきたのはWorm(虫・ミミズ)だったもんね!

こがけん:Worm(ミミズ)でしたね。僕も気になっていたところでした。Wormって!ウジ虫だけじゃないなって! 今回の収録、僕は基本的に面白かったです。MCの役も任されたのでこういう風に言っていますけど、そういう役でなければ「面白い話ですね」って丸屋さんのお話を聞いていますから。そういう役回りだったと思ってください。

丸屋:チーズの話とか、さなぎの話とか、ペリーの黒船来航の話とか!

こがけん:ほんとにもうやめてください。延長戦?

丸屋:でもほんと、(ブーン家の乗る)捕鯨船が日本近海まで来る理由ってそうじゃないですか。でも日本海でクジラは採れないから多分...

こがけん:太平洋側ですね。

丸屋:そうですよね。制作陣はとりあえず日本海って書いておけと思ったかもしれませんが、それは"Sea of Japan" じゃなくて "Pacific Ocean"じゃないのとは思いました。

こがけん:それはそうだと思います。

丸屋:ただそこで日本近海って言葉を出したってことは、奥さんが日本人であるってことを匂わせているのかなと思います。1850年代の時点で結婚ができたかどうかは置いておくとして。

こがけん:確かに。そういうバックボーンってすごく重要ですよね。よく映画評論家の話はいらないという方がいますが、そういう時に僕はこう言います。例えば200年後に現代を描いた映画の中に「ヤバい」っていう台詞が出てきて、それがほんとに危ない状況で使う「ヤバい」なのか、良いねそれ!って意味の「ヤバい」なのか、誰かが説明しなきゃ絶対話が分からない。そのために映画評論家は必要という話をいつもしています。今回のように、日本海っていうのはおかしいよね、じゃああれは、奥さんが日本人というのを示唆しているのでは、と。こういう事を話してくれる人は本当に重要ですよね。ただ、横道に逸れ過ぎるよというのを僕は丸屋さんに言っています。

丸屋:この場合のヤバいは、最近の英語で言うと「Sick」ですかね。

こがけん:「ill」?

丸屋:一時期は「ill」だったんですけど、もう「Sick」まで来ちゃいました。それ、単なる病気やんと言う気がしますが、「That's Sick...」って言ったら、「めっちゃかっこええやん」の意味です。

こがけん:なるほど。ヒップホップで「ill」だぜ。っていうのが「Sick」まできてるってことですか...。ってこれはもう止めましょう! 音楽の話まで飛んでしまうので。これはまずい。変にパスあげてしまった。

20211130Chapelwaite01.jpg

■本作の中で、怖いな、秀逸な演出だなと思った、または大きく心が動いたシーンは?

こがけん:ホラーって、様々な手法を使ってあらゆるストレスを人に与えると思っています。スティーヴン・キングは他の作品でも描いていますが、本作では村八分にあうというか、ハブられてしまう、自分だけこの土地に馴染めない、何故か分からないけど憎まれている、とか引っ越してきたのに、そこに受け入れられないかもっていうのは相当恐ろしいことだと思います。人間的、呪い的怖さ、化け物が出てくるような怖さより、自分が受ける疎外感・恐怖を描いていてその辺りの底上げが非常に繊細で上手く演出されているなと思いました。

丸屋:秀逸でいうと、今回10話のドラマになっていますが原作はスティーヴン・キングの短編でその短編は、"クトゥルフ神話"から持って来ている部分が多々あり、そのクトゥルフ神話というのは、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが書いたものだけれども、実はラヴクラフトが、ロバート・ブロックという人の作品から引用した部分が、例のウジ虫のシーンだったりして。もう、引用の引用の引用のドラマ化みたいなものなんです。孫引きどころではなくひ孫引きみたいな引用の世界です。

こがけん:そもそも神話ってかなり昔の話のようだけれども、実はラヴクラフトが1910年代(1920?)ごろに作った神話で、それが本作の引用になっているというのが面白いですよね。でもそれも引用引用で...

丸屋:これはヒップホップ信者としても言いたいのですが...

こがけん:サンプリングですか。

丸屋:YES! すべての創作は2次創作ということでもあります。だから、このドラマもとても秀逸なのだけれども、結局元は、引用に引用を重ねたもの。でもそれは何がサンプリングされているのかを突き止めるのが現代の鑑賞者にとっては醍醐味でもあって。

こがけん:僕も同様に思っています。今、映像とかすべての作品がほんとにヒップホップ的なものになっているんですよ。すべてがサンプリングの物になっていて。90年代に美輪明宏さんも、今の作品で、完全にオリジナルな物等もうないって言っていて。それってもうファッションでもなんでもそうですし。全部サンプリングでヒップホップ的な物になっていて。そこからカウンターカルチャーとして何が出てくるかっていうのはちょっと面白いなと思っています。

丸屋:もしかすると昔から全ての創作は2次創作だったのかもしれないですね。

こがけん:そうですよ。『ミッドナイト・イン・パリ』みたいだな。

丸屋:アレクサンダー大王は、エジプトのラムセス2世を目指していたんですが、ラミセス2世自身は実は伝説のギルガメシュ大王を目指していたらしいんです。アレクサンダー大王も紀元前何年前の人だよという感じですがその人だって、自分の人生が過去の偉人の2次創作の2次創作だったという事です!

■本作は人間ドラマとしての作品でもあるし、社会派の作品でもあると思っているので、今このタイミングで私たちが本作を観る意味があると思っています。ホラー以外のドラマ性みたいなものって、本作の中ではどこに感じますか?

丸屋:プリーチャーズコーナーという街では一見すると疫病のようなものが流行っていて、それをもたらしたとされるブーン家という家族が居て、そこの子どもたちは全員アジア系なんです。であるが故に、アジア系の人が病気を持ってきたとされて疎まれるんです。まさに今、コロナ時代のアメリカの写し絵そのものなんじゃないかと。スティーヴン・キング自身そこは考えずに作ったと思いますが、映像化して2020、2021年の状況に出てきたのは素晴らしいと思います。

こがけん:完全にアップデートされていますよね。映像化されるにあたって。そういう差別みたいなものをホラーや恐ろしい者の存在、見えないものやファンタジーに乗せていますけど、結局本質はレイシストや差別など、ずっと変わらずあるものをテーマにしている。意外とこの作品は普遍的な作品だと思います。

丸屋:『ゲット・アウト』以降のキング映像という感じですね。

こがけん:『ゲット・アウト』も人種差別を描いた作品なんだなと思っていたらそれがミスリードに使われていますね。

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■これまで様々なスティーヴン・キングの原作が映像化されていて、キング本人が良しとしなくても評価を受けた映画もあります。お二人も沢山観てきたかと思いますが、キングの作家と映像化についての関係をどう思われますか。

こがけん:一番最初に「It」の小説を読んだときに見開きで上下の4段の列を使ってある墓がどういう墓かという事だけを説明していたんですよ。文字も小さくて。だから細部にこだわる人というイメージがあります。だから映像化するときにも細部に拘らなくてはという点では『チャペルウェイト 呪われた系譜』はめちゃくちゃ技術や音楽に拘っているなと思いました。だから没入して抜け出せない恐怖はありました。

丸屋:原作が映像化されているという意味ではもしかしたらナンバーワンなんじゃないかと思います。だけど彼の小説作品群全てを繋ぐ『ダークタワー』が不評なのは私はとても可哀想だと思います。私は、『ダークタワー』は決して嫌いではありません!本人は気に入っているけど興行収入がダメだったようですね。

■スティーヴン・キングの緻密な描写をどう解釈するかというのは作り手によってかなり違うのかもしれないですね。

こがけん:そうですね。風間さんも言っていましたけど、だからといってスティーヴン・キングがOKを出したものが面白いとは限らないと言っていました。

丸屋:スティーヴン・キング意思に沿っただけであって、作品としての娯楽度、完成度が高いとは限らないと言っていました。

こがけん:だからスティーヴン・キングの原作と照らし合わせた時に、飛躍したぶっ飛んだ解釈で作っても、スティーヴン・キングが面白いじゃんと思ったら結局本人は認めた作品になるし。でもそれがめちゃくちゃ面白いかって言ったらそうでもないし。『シャイニング』も面白いですからね。本人はすごく納得いっていませんけどね。

丸屋:スティーヴン・キング承認と、原作再現度と、我々の満足度はそれぞれ全て違うわけですよ。

こがけん:そもそも(映像化された作品の)物量が違うんですよね。

丸屋:そうです。こんな事を語りきれるのは、これだけ映像化されているからであって、普通こんなに映像化されないですもん。

こがけん:題材にしている物が、クリーニング屋の機械だったり、化け物も蜘蛛だとか、なんだか映像化できるんじゃないかと考えられる身近な物が映像化されているんです。

丸屋:"ピエロ恐怖症"という言葉がありますがそれが確立されたのは恐らくキングのせいだと思います。

こがけん:『IT』めちゃくちゃ好きです。

丸屋:2017年にリメイクされた『IT』、あれのプロデュースをしている方が『リンカーン秘密の書』の原作の人なんですよ。『リンカーン秘密の書』って日本語でいったら普通ですけど英語原作だと『Abraham Lincoln: Vampire Hunter』なんですよ。カッコイイ~

こがけん:そっちの方が分かりやすいですね。

■4話5話で急展開でした。今Twitterなどでも考察がすごくブームなので、本作でもブームが起こるんじゃないかなと思っています。

こがけん:そうですよね。Twitterでもクトゥルフ神話!ってめちゃくちゃ盛り上がるんですよ。だから絶対に本作でも盛り上がると思います。観進めて、これってこういうジャンルなのかって思って離脱しないでほしいです!人によってはジャンルで棲み分け決めていて、このジャンルは観ないって決めている人もいると思うんですけど、僕は何もかも期待せずに観るのが一番楽しいと思っているので本当に力を抜いて観て下さいと思います。

■視聴者の皆さまに一言

こがけん:一つ言えるのが、この話、最初はじっくりと、低温でコトコトと火を通してくるんですよ。ただ後半にかけての畳みかけ方が素晴らしく盛り上がっていくので途中で挫折しようものなら、めちゃくちゃ損だと思います。1話1話メリハリがあるので。最後まで観て下さい。

丸屋:私も同意見なので、それをキャッチコピーにすると「前半の緩やかさに騙されるな!」です。

こがけん:あー!いいですね!

丸屋:何も起こらないのかなと思うんですけど、何も起こらないのが怖いんですよ。

こがけん:リンゴのコンポートを作るぐらい弱火なんです。でもそれはしっかり美味しい。あ、それにリンゴだ。リンゴも大分キーワードになってきます。

配信および放送情報

■ホラー好き大注目!海外ドラマ『チャペルウェイト 呪われた系譜』徹底ガイド(全4回)
<配信>「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」
12月1日(水)より第1話配信 12月24日(金)より全話配信
<放送>BS10 スターチャンネル
12月14日(火)ほか

■『チャペルウェイト 呪われた系譜』 (全10話)
<配信>「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」
【字幕版/吹替版】12月1日(水)より配信、12月24日(金)~全話配信開始
※12月1日(水)~12月23日(木)第1話字幕版先行配信   
<放送>BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】12月21日(火)より毎週火曜23:00ほか 
※12月19日(日)17:00字幕版 第1話先行無料放送
【STAR3 吹替版】 12月24日(金)より毎週金曜22:00ほか

Photo:

『チャペルウェイト 呪われた系譜』© 2021 Sony Pictures Entertainment. All Rights Reserved.

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