『ゲーム・オブ・スローンズ』ベラ・ラムジー、『沈黙のレジスタンス』のオーディションで監督を驚かす

『ゲーム・オブ・スローンズ』ベラ・ラムジー、『沈黙のレジスタンス』のオーディションで監督を驚かす

2021.08.23 13:00

〈パントマイムの神様〉マルセル・マルソーの知られざる実体験から生まれた感動の物語、映画『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』がいよいよ8月27日(金)より公開となる。本作で歌の得意な少女エルスベートを演じるベラ・ラムジー(『ゲーム・オブ・スローンズ』)のインタビューを独占公開!

『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』は、第二次世界大戦中に123人のユダヤ人孤児の命を救った〈パントマイムの神様〉マルセル・マルソーの知られざる実体験を綴る物語。


愛する者の命と尊厳を奪ったナチへの復讐を誓うよりも、そのパワーで一人でも多くのユダヤ人の子どもを救いたい─。そんな決意のもと、険しく危険なアルプスの山を幾度も越えて、安全なスイスへと123人の子どもたちを送り届けたマルセル・マルソー。彼はパントマイム・アーティストとして世界的な名声を獲得し、2007年に84歳で亡くなるまで、世界中の俳優やミュージシャン、ダンサーたちに影響を与えた。なかでも、マイケル・ジャクソンが観る者を驚愕させた"ムーンウォーク"は、マルセル・マルソーのパフォーマンスからヒントを得たというエピソードが有名だ。

そんなマルセル・マルソーがまだ若かりし頃、第二次世界大戦中にナチと協力関係にあったフランス政権に立ち向かうべく、レジスタンス運動に身を投じていたことは、海外ではよく知られている。だが、その活動内容が本人の口から語られたことはなく、何があったのかはベールに包まれたままだった―。

監督・脚本・製作を務めるのは、『ベネズエラ・サバイバル』のジョナタン・ヤクボウィッツ。主演は『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされたジェシー・アイゼンバーグ。ベラ・ラムジーはマルセルたちが救うユダヤ人の子どもの一人、歌の得意なエルスベートを演じている。

『ゲーム・オブ・スローンズ』で熊の島の領主の座を引き継ぐことになった少女リアナ・モーモント役や『ミルドレッドの魔女学校』の主演で知られるベラ。ゲームのドラマ化となる『The Last of US(原題)』や、『GIRLS/ガールズ』のレナ・ダナムが手掛ける映画『Catherine, Called Birdy(原題)』など今後の注目作に出演予定で、さらなる活躍が期待される俳優だ。

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――オーディションを勝ち抜いてこの企画に加わったのだと思いますが、オーディションでジョナタン・ヤクボウィッツ(監督)に会い、この企画に加わるまでの過程はどうでしたか?

キャラクターも物語も、とてもタイムリーだと思った。私自身も、自分の役と共通点があった。必ず役と自分には共通点があるものだと思う。この脚本は現実から目をそらさず、ありのままの戦争の姿を描いている。人間のもろさ、人間関係、人間の感情などを赤裸々に。そこがとても気に入ったの。

それに、とても重要な物語だと感じている。マルセル・マルソーのことは聞いたことはあったけど、彼がユダヤ人の孤児たちを、国境を越えてスイスや安全な場所に送り届けたことなど知らなかった。ジョナタンの台本はとても興味深くてこの作品が大好き。関われてとても嬉しかった。


――ヘブライ語を少し習得する必要があったみたいですね。ユダヤの文化に浸ってみて、いかがでしたか? またどのようにして役作りをしましたか?

私とはかけ離れたものを突然学ばなければならなかったので、ヘブライ語を学ぶことが役作りにつながったと思う。言語を学ぶことで、すぐに私が演じるエルスベートという人物に近づくことができた。

そして、私の家の近くにはホロコースト記念博物館があったので、撮影前に訪れた。この歴史について学校で学ぶことはあっても、実際にこういう場所に行くと、まったく違う感情が沸き起こってくる。それから撮影前に、ジョナタンがプラハにあるシナゴーグに連れてってくれたの。教会には行ったことがあるけれど、そこは教会とは全く違う雰囲気だった。とにかく、この文化に浸る中で、エルスベートという人物を知っていった。そうやって、ユダヤ系ドイツ人であるということはどういうことかを学んでいったの。


――お互いに顔見知りの子どもたちのグループの中に入り、彼らと接しながら主要の役を演じるのはどうでしたか?

みんなの関係性はすばらしいものだったし、私を快く迎え入れてくれた。でも、みんなチェコ語を話していて、私はチェコ語はわからないから、ほとんど彼らが何を言っているのかわからなかった。けれど、彼らからいっぱい刺激を受けたし、学ぶべきことがたくさんあった。みんなのことが大好き。みんな素晴らしかったし、彼らが恋しい。以前に、俳優を仕事としている子役と仕事をしたこともあったけど、正直言って、この作品に出演していた子たちは、プロを上回る演技を見せてくれた。最高だった。

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――劇中には、かなり強烈な場面もありました。実生活では、役者としてどのように精神的なバランスを保っていますか? 特に、感情的に疲弊するような場面を撮影するとき、現場でその強烈な場面を演じてから、現場を離れて自分の普通の生活に戻るというときはどのように切り替えていますか?

演技モードをオフにすることが重要だと思う。じゃないと、いつまでも感情にとらわれて、トラウマになってしまうから。でも本作はそういう衝撃的な場面が目の前で繰り広げられるから、他の作品よりも演じやすかった。例えば、エルスベートと両親の最初のシーンも画面には映っていないけど、実際には目の前で行われていたの。だから自然に反応することができたし、それに反応しないことの方が難しかったと思う。(主演の)ジェシーが言っていたけど、本当に筋肉のように鍛えられるもので、スイッチを切り替えることができる。カメラに向かって笑顔を向けるようにしている。私は傷ついていない、大丈夫だということをみんなに知らせるためにも。笑顔になるだけで、スイッチをオフにすることができる。そうやって翌日またその役に飛び込むことができるの。


――映画の中で、特にご自身が実際に撮影したり演じたり、製作したいと思ったお気に入りのシーンがありましたか? それと、言うまでもなく、この映画には非常に重要な緊迫した状況のシーンがありますが、逆に何かとても愉快で、製作過程で大いに楽しめた、活気に溢れるようなシーンはありましたか?

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左から2番目:ベラ・ラムジー、右隣:監督のジョナタン・ヤクボウィッツ


私は大勢の子どもたちが中庭でただ遊んでいるシーンが楽しかった。誰もがただ遊んで最高に楽しい時間を過ごしているのを見る機会なんてめったにないもの。蹴られたサッカーのボールが子どもたちの間を次々に送られていたり、持ってきた楽器を演奏している子も2、3人もいたりして、すごくよかった。

それからジェシーとちょっぴりパントマイムをした。私にできるのって風船のパントマイムぐらいなんだけど。大好きなの。ほんとにすばらしい日だった。それで私はただ楽しいってどういうことかを思い出していた。

楽しそうな演技をするのとは違うの...。それって腹を立てたり感情的になったりするのと同じで、自然にそうなるわけで楽しむのに演技する必要はないから。そして、みんな、そういうものを見たいと願っているんだと思う。それは、周りで行われている残虐行為とは無縁の純粋な楽しさであって純粋な喜びなの。


――演技を始めた彼らにはどんなアドバイスをしていますか?また、演技を始めた頃の自分にアドバイスをするとしたら、なんて声を掛けますか?

不採用を受け入れること、能力やルックスに対する個人攻撃ではないと認識できるようにすること。キャスティング・ディレクターの頭の中にあるマトリックス表にフィットしてないってことだけ。これが、私からの一番のアドバイスかな。少なくとも受けるオーディションの90パーセントが不合格になる。

好きなフレーズは「言われた一つ一つのノーは、イエスに近い」です。本当に好きであれば、前に進むことができる。しんどいことだと知ることです。不合格はついて回る。でも本当に好きなら、不合格でも前に進むことになるの。これが、皆に言っている主なポイント。それからセットの周りで待っている時、セットの中に自分を持っていくことかな。


また、本作で主演を務めるジェシー・アイゼンバーグと監督のジョナタン・ヤクボウィッツはベラについて語っている。

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――ジェシー、ベラとの共演はどうでしたか?

ジェシー・アイゼンバーグ:大人の中で演じていても、ベラは女優として突出している。彼女は天才だよ。人としてすばらしいだけでなく...、世の中には稀に自分の天職を知って生まれてくる人がいるけど、ベラはまさにそういう人だと思う。若くして、自分の歩むべき道を見つけたんだ。自然体なんだけど、ずば抜けた能力を持っている。こういう人と一緒に演技ができるのは、まさに喜び。ぜひまた共演したいと思う。


――ベラ以外の子役のほとんどは俳優ではなく、普通の学校に通う子どもたちだと聞きました。なぜ、その中にプロの俳優であるベラを存在させることにしたのですか?

ジョナタン・ヤクボウィッツ:エルスベート役には、経験を積んだ力のある俳優が必要だった。私は世界中から何人ものエルスベート役をオーディションしたよ。

実は、当時『ゲーム・オブ・スローンズ』を観たことがなかったんだ。もう観たけど、このTVシリーズを観たことがなかっただけに、ベラのこともまったく知らなかった。他の女優と同じように接していたんだが、彼女に会ったときに「うわぁ、この子は一体何者なんだ」と言ったんだ。そうしたら、その場にいた全員が変な顔をして私の方を見て、「知らないの? あのレディ・モーモントだよ」と言った。あのオーディションは強烈だったよ。

今ベラを見れば、とてもカリスマ性のある女優だといえるが、あの時のオーディションはあまりにも強烈すぎて、この役の高潔さを表現できるかどうか不安だったんだ。だから、スカイプをすることにしたんだ。彼女の笑顔が画面に出てきた瞬間、「あ、彼女ならできる。大丈夫だ」と確信した。2回目のオーディションの予定だったんだが、もう十分だった。ベラは役を全く違うレベルまで引き上げてくれた。ベラと一緒に演じていた子どもたちにも感動したよ。彼らはベラが誰か知っていたし、本物の女優であることも知っていたからね。ジェシーとの相性も抜群だったよ。

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『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』は、8月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー。
公式サイト:http://resistance-movie.jp/

(海外ドラマNAVI)

Photo:

『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』©2019 Resistance Pictures Limited.

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