

究極のたらこスパゲッティが作れる!発祥店に聞いたレシピと誕生秘話|愛されグルメのふるさと #5
身近な定番料理の発祥店を訪れて、誕生秘話やおいしさの秘密を探る本連載。第5弾は、和風パスタの代名詞「たらこスパゲッティ」。その発祥店、かつ和風パスタの先駆けである「壁の穴」で聞いた誕生秘話と、シェフ直伝のレシピを紹介します。ぜひ、おうちで再現してみてください。
たらこスパゲッティの発祥店、渋谷「壁の穴」
▲レンガ造りが印象的な「壁の穴 本店」。イタリアン部門の総料理長・柳田さんに取材しました
「たらこスパゲッティ」の発祥店、かつ和風パスタの先駆けである「壁の穴」の創業は1953年。創業者の成松孝安氏は、もともとCIA(中央情報局)極東長官だったアメリカ人の執事をしており、西洋料理に触れる機会が多かったそうです。そのとき出会ったスパゲッティのおいしさに感動。
まだイタリアンがあまり知られていなかった日本に、本場のおいしさを広めたいとお店を始めました。前回の記事はこちら▼
ハヤシライス発祥「日本橋 丸善」に聞いた、特徴とおいしく作るコツ|愛されグルメのふるさと #4
元祖「たらこスパゲッティ」の魅力と作り方
1,078円(税込)
こちらが、発祥店の「元祖たらこスパゲッティ」。運ばれてきた瞬間に、たらことバターのやさしい風味が漂ってきます。こだわりの海苔の歯ごたえと上品な磯の香り、たらこの濃厚な味わいとプチッとした食感、バターの風味、すべてが絶妙に混ざり合った極上のハーモニー。プロの技が詰まった、唯一無二のおいしさです。 たらこの粒感がしっかりしているのですが、決して火が通りすぎて固まっているわけではありません。
海苔もソースも太めのスパゲッティにまんべんなく絡み、絶妙のバランス。シンプルながら、奥深さとプロの技を感じることができます。
「元祖たらこスパゲッティ」の作り方を教えてください。
柳田さん(以下、柳田):たらこソースとしっかり絡むように、スパゲッティは1.8mmと少し太めのものを使っています。ゆで上げ後に火入れをしないので、ゆで時間は目安表示より1分ほど長め。 柳田:たらこは2種類使っています。食べたときの粒感や風味のバランスを追求した結果です。バターは常温に戻してポマード状にしておき、たらことひまわりオイルと混ぜ合わせておきます。 柳田:味の決め手が「昆布の粉」(写真左)です。これを加えることで食材全体に一体感が生まれ、味も締まるんです。たらことバターを混ぜる際に入れます。
そして、仕上げに使うのがこだわりの海苔(写真右)。普通の焼き海苔とは香りと食感がまったく違います。 柳田:調理の手際も仕上がりを左右します。スパゲッティをゆでている間にたらこソースを準備しておき、ゆで上がったら手早く湯切りしてサッとソースを絡める、まさに時間との勝負です。
おうちで実践!「元祖たらこスパゲッティ」に近づく4つのコツ
1. 太めのスパゲッティを、たっぷりのお湯&高温でゆでる!
▲「壁の穴 本店」の創業当時から伝わる大きな釜。数人前を一度にゆでられるが、現在は小分けでゆでられる釜を使うことが多いそう
柳田:スパゲッティを1.8mm以上の太めにすれば、たらこの味に負けません。また、ゆでるときは大きめの鍋にたっぷりのお湯がポイント。スパゲッティが対流することで、均一にゆで上がります。ある程度強い火力も必要です。そのため、鍋に半分くらい蓋をして、吹きこぼれない程度の温度にしてください。ゆで時間は表示通りか、1分ほど長めでも。ソースでしっかり味が付くので、ゆでる際の塩は必要ありません。
2. バターは常温に戻して、ポマード状に!
柳田:スパゲッティをゆでている間に、包丁で丁寧にたらこの身を皮からはいでおきます。皮は刻んで入れてもいいですね。ここに合わせるバターの状態が肝心です。溶かし切ると風味が飛んでしまうので、ポマード状になるよう、常温に戻しておいてください。ボウルにたらこ、バター、オイル少々を入れて、たらこひと粒ひと粒をバターと油でコーティングするように混ぜ合わせましょう。そして塩少々と、あれば昆布の粉を加えます。
3. スパゲッティの湯切りはしっかりと!
柳田:ゆで上がったら、しっかりと湯切りをします。水分が多いと味がぼやけ、たらこにも熱が入りすぎてしまいます。手早く、しっかり湯切りをするのがポイントです。4. スパゲッティとソースを混ぜすぎない!
柳田:スパゲッティとソースはできるだけ少ない回数で混ぜ合わせ、ボウルも振りすぎないように。空気に触れて熱が逃げ、さらに水分も飛んで、スパゲッティがパサパサになってしまいます。お店では、お箸で軽く5回ほど、ボウルを振るのは2回ほど。時間を置くと状態が変わってしまうので、作ったらすぐに食べるのが理想的です。
「たらこスパゲッティ」が誕生した理由
そもそも、なぜ「たらこスパゲッティ」が生まれたのでしょう?
▲「たらこスパゲッティ」のおいしさの秘密が記されたプレート
柳田:「たらこスパゲッティ」が生まれたのは1963年、お客さんとのやりとりがきっかけでした。海外出張帰りの常連さんが、お土産にキャビアを持ってきて「これでパスタ料理を作ってほしい」と頼んだそうです。キャビア入りのスパゲッティはとてもおいしいものでしたが、さすがに高級なのでメニュー化はむずかしい。そこで、キャビアを何かで代用しようと試行錯誤した結果、「たらこスパゲッティ」が生まれたのです。
お客さんの要望がなかったら、「たらこスパゲッティ」は生まれなかったかもしれませんね。
▲たらこスパゲッティの誕生は世間に大きな衝撃を与え、全国からたくさんのお客が押し寄せたのだとか。その人気を知ったお店がメニューに入れるようになっていったのだそう
柳田:そうかもしれません。また、今では当たり前ですが、提供直前に麺をゆでる「ゆで上げパスタ」を始めたのも当店が最初だといわれています。当時は時間短縮のために、ゆで置きした麺を提供直前に温め直すのが一般的でした。ゆで上げスタイルの当店では、お待ちいただいているお客様と話すなかで、たらこだけでなく納豆やうにを使ったスパゲッティも生まれたと聞いています。 柳田:お客様の声を聞く……それがまさに店名の由来です。シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に“hole in the wall(壁の穴)”という言葉が出てきます。恋人同士が壁に開いた穴を通してささやきあい、心を通わせていくシーンを、お店とお客様に重ね合わせて「壁の穴」と名付けました。
いつまでもお客様と交流して、心が通じ合うようなお店でありたいという想いが込められているんです。
シェフにとって、「たらこスパゲッティ」はどんな料理ですか?
柳田:やはりお店にとって特別なものなので、プレッシャーを感じるメニューですね。作り方がとてもシンプルなだけに、ゆで加減や調理の手際がすべて味に表れ、修正がいっさい利きません。そういう意味では、とてもむずかしい料理なんです。これからも、すべてにこだわっておいしいパスタを作っていきたいです。
発祥店の「たらこスパゲッティ」には、プロの技が詰まっている
「元祖たらこスパゲッティ」は、お客様への想いと、食材へのこだわりや熟練の技が詰まったひと皿。シェフ直伝のレシピとコツを参考に、家庭でも絶品「たらこスパゲッティ」を作ってみてください。いつもとの違いに驚くことでしょう。取材撮影・執筆:Miyu Shimada今までの連載はこちら▼
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店舗情報※ 記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。関連記事
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