ビールソムリエに聞いた「鍋×ビール」のペアリング。最強の組み合わせを実食レビュー！

鍋とビール、最強の組み合わせって？

寒い季節、おうちで鍋を楽しむ人も多いのではないでしょうか。この記事でご紹介するのは、ビアソムリエが教える、鍋とビールの最強ペアリング。正式には「ビールペアリング」と言うそうです。ペアリングの方法・手順と「鍋×ビール」5種類の組み合わせをお届けします！

それぞれの個性を引き立て合う組み合わせがあるので、鍋はもちろん、おうち飲みがマンネリ化してきた……という人にもおすすめです。今までにない新しい味わいが楽しめますよ。

紹介してくれる人

ワイン＆ビアソムリエ / 西村幸助さん
料理人として飲食業界に入る。2017年、自身が店長を務めるビアレストラン『CRAFT&FARMERS（クラフトアンドファーマーズ）』のオープンをきっかけにクラフトビールへのめり込む。19〜20年にワインソムリエとビアソムリエの資格を取得後、『CRAFT&FARMERS』とワインビストロ『炭焼きとワインPEQUE（ペケ）』の総料理長兼、シェフソムリエとして勤務中。お店を持ちながら、ワインのペアリングイベントやビールのペアリングイベントを主催し魅力を発信している。

ビアガーデンテラス CRAFT＆FARMERS 新百合ヶ丘

ペアリングで相乗効果を

西村さん：
「 “ビールと鍋はなんでも合う” と思っている方はちょっとお待ちを！それも間違いではないのですが、ペアリングの面白いところは、組み合わせ次第でいつもの料理やお酒がより楽しめるということなんです。ペアリングの方法は大きく分けて3種類。手順は簡単なのでぜひ試してみてください。」

西村さんに聞いたペアリングの手順と方法は以下の通りです。ビールと鍋の組み合わせ方の参考にしてみましょう。

ペアリングの手順

1. ビールの香りと味わいを楽しむ
2. 料理を味わう
3. 料理の余韻が残っているうちにもう一度ビールを味わう

2.3.を繰り返すのがペアリングの基本的な手順です。

ペアリングの方法

1. 初心者におすすめ！似た色をペアリング
2. お互いを引き立てる、似た風味をペアリング
3. 旨みや風味をプラス。相乗効果のペアリング

3つのなかのいずれかを意識して組み合わせを考えると、いつもとは違う味わいが楽しめるようになるそう。おうち飲みがワンランクアップしますよ！

1. 初心者におすすめ！似た色をペアリング

豆乳鍋（白だし・練り物）×ヴァイツェン（横浜ビール ヴァイツェン）

西村さん：
「ヴァイツェンは苦みをほとんど感じない、なめらかな味わいが特徴の白ビールです。 豆乳のやさしい味わいとヴァイツェンのなめらかさで、口当たりの良さが楽しめる組み合わせに。

やわらかいもの同士のペアリングなので、ゆったりまったりビールと食事を楽しみたいときにおすすめです！」

「似た色を組み合わせる」ペアリングを実食！

苦さがほとんどないヴァイツェンは、まろやかで女性に好まれそうな印象。豆乳鍋にそっと寄り添ってくれます。とくに鶏つくねとの相性がよく、豆乳つゆが絡んだつくねのなめらかな食感を、ヴァイツェンが包み込みこんでくれるんです。ビールと鍋どちらもマイルドなので、上品できめ細やかな料理を味わっているかのようでした！

『横浜ビール ヴァイツェン』が手に入りにくい場合は、似た風味の白ビールでも十分代役になるので気軽にチャレンジしてみてくださいね。【商品情報】
商品名：横浜ビール ヴァイツェン
内容量：330ml
アルコール度数：5.5％
公式HP：http://www.yokohamabeer.com/index.html

2. お互いを引き立てる、似た風味をペアリング

もつ鍋（醤油）×アルト（横浜ビール アルト）

西村さん：
「アルトは、銅褐色の見た目で濃厚な味わいのビール。ホップの香味と香りが効いているのが特徴です。とはいえ、ただ濃厚というだけでなく日本で一般的なピルスナータイプのようなみずみずしさも感じられます。

アルトはローストが強めなので、香ばしい醤油ベースの鍋に合うんですよ。醤油のコクとローストモルトのコクが合わさって、口の中で味わいが大きくなるイメージです。相乗効果で焙煎したような深い味わいが楽しめます！」

「お互いを引き立てる」ペアリングを実食！

コクのあるビールとコクのある鍋の組み合わせ。もつの甘い脂にまったく負けていないアルトの深い味わいは、パンチ力のあるニラすら引き立て役に回るほどです。

醤油と相性がいいとのことですが、ずばりその通り。ペアリングすることで、普段あまり意識しない醤油の香ばしさをはっきりと感じることができました！味わいだけでなく風味豊かになるのがいいですね。

アルトは赤ビールと呼ばれることもあります。『横浜ビール アルト』だけでなく、各メーカーから販売されている赤ビールで試してみるのもおすすめですよ。【商品情報】
商品名： 横浜ビール アルト
内容量：330ml
アルコール度数： 5.5％
公式HP：http://www.yokohamabeer.com/index.html

ちゃんこ鍋（味噌・魚）×IPA（インドの青鬼）

西村さん：
「IPA（アイピーエー）は一般的なビールと比べると、ホップの香りや苦味がかなり強いビールです。パンチがあるIPAは濃い味の味噌ちゃんこと相性抜群。

逆に言えば味噌味の鍋は、強い風味のビールとしか合わないと言っても過言ではありません！両方パンチがあるので、常に食べ・飲み進みたくなるようなペアリングが完成します。」

「共通点がある味わい」のペアリングを実食！

IPAビール『インドの青鬼』はアルコール度数が高く、かなり強めの味わい。青鬼という名前がまさにぴったりですね。脂がのった鮭と味噌味のスープで、濃厚な味わいに仕上がったちゃんこ鍋と合わせると、パンチ力がスゴイです。

とくに男性陣には大好評。「食べた～！飲んだ～！」という満足感を味わえます。 IPAビールはアルコール度数が高いので、濃厚な料理と合わせやすいんだとか。角煮や味噌ベースの煮込み料理などにも合いそう！インドの青鬼は、スーパーやコンビニで手に入りやすいビールですよ♪【商品情報】
商品名：IPA（インドの青鬼）
内容量：350ml
アルコール度数：7.0％
公式HP：https://yonasato.com/

3. 旨みや風味をプラス。相乗効果のペアリング

キムチ鍋（豚）×スタウト（ギネス オリジナルエクストラスタウト）

西村さん：
「キムチ鍋におすすめのペアリングは、マイルドでクリーミーな口あたりが特徴の黒ビール “スタウト” 。キレのある後味で、苦みと甘みがバランスよく感じられるビールです。

スタウトとキムチ鍋を合わせると、黒ビールのクリーミーさがキムチの辛さを和らげてくれるんです。 “スタウトを飲んでいるおかげでキムチ鍋が食べ進めやすく、キムチの辛さをリセットするためにどんどん飲み進めてしまう” という相乗効果が生まれます。

また、キムチ鍋の食材としてよく使用されるニラは、このペアリングの場合はNG。ニラの強い風味がスタウトに勝ってしまうため、入れないほうがバランス取れます！」

「相乗効果」のペアリングで実食！

アイルランド原産の黒ビール『ギネス オリジナルエクストラスタウト』と韓国生まれのキムチの味わいが不思議と交じり合うマジックが起きました！「ペアリングってこういうことなのか」と実感。

キムチ鍋の辛みをクリーミーなビールが包み込んでリセットしてくれるんです。飲んだら鍋が食べたくなり、辛さを強く感じるようになったら、また黒ビールが欲しくなるという……まさに無限ループ。ギネス オリジナルエクストラスタウトが手に入らない場合は、似た風味の黒ビールでもいいそうですよ♪

また、フルーツビールと辛い鍋を合わせても辛さが和らぐんだとか。ビールにオレンジジュースやグレープフルーツジュースなどを入れて飲むのもいいですね。【商品情報】
商品名： ギネス オリジナルエクストラスタウト
内容量： 330ml
アルコール度数： 5％
公式HP：https://www.guinness.com/ja-jp/

水炊き（鶏）×ペールエール（よなよなエール）

西村さん：
「ペールエールは、モルトのコクやホップの香りをふくよかに感じられるのが特徴。水炊きは淡白なので、柑橘系の香り豊かなペールエールで鍋を完成させるイメージです。

シンプルな水炊きに香りをプラスすることで、相乗効果を発揮。 自宅にあるビールに柚子の皮を入れて香りを楽しむのもおすすめですよ。」

「香りの相乗効果」を楽しむペアリングを実食！

かわいいイメージの缶とは裏腹に、しっかりした香りと色、味が特徴の『よなよなエール』。びっくりしたのは柚子との相性の良さです！原材料に柚子が使われているんじゃないかと思ったほどでした。

淡泊な鶏の水炊きの味わいが何倍にも膨らみ、春菊がフワッと香ります。ペールエール×柚子×春菊で香り豊かな鍋が完成。ワンランクアップした水炊きが楽しめますよ。

よなよなエールはスーパーやコンビニなどで売っていることが多いので、手に入りやすいです。見つけたら水炊きとペアリングしてみてくださいね♪【商品情報】
商品名： よなよなエール
内容量：350ml
アルコール度数： 5.5％
公式HP：https://yonasato.com/

ペアリングは足し算じゃなく掛け算

ペアリングってすごいですね！単に飲み物と食べ物を合わせただけじゃない。足し算ではなく掛け算です。試してみるとよ～くわかりますよ。

2020年の年末年始は巣ごもり推奨ですし、ご自宅でビール×鍋のペアリングを楽しんでみてはいかがでしょう。新しい発見をぜひ体験してくださいね。写真・文／akiharahetta