『パティスリー イーズ(ease)』のケーキはこれがおすすめ!茅場町・兜町の大人のためのスイーツ店
2020.09.16 18:00
洗練された都会のパティスリー『イーズ』
東京の日本橋駅や茅場町駅から近い金融の街・兜町にオープンした『ease(イーズ)』は、一般的な菓子店のイメージをくつがえすカフェ併設のパティスリー。モダンとレトロが混在した内装、宝石店のようなショーケース、売り場から見渡せるスタイリッシュなオープン厨房。親しみやすく、温かみのある「町のケーキ屋さん」とは真逆の都会的で洗練された雰囲気だ。
生菓子は余計な要素をそぎ落としたシンプルな仕立てが基本。主役である素材の魅力を最大限に引き出した奇をてらわない味わいで、そのフォルムからは“落ち着いた大人のかっこよさ”が感じられる。
“和食”のような調和の取れた菓子
「当店は、『パティスリー』とは謳っていますが、フランス菓子に特化しているわけではありません。イタリア菓子のティラミスもつくるし、国産の素材も積極的に用いています。菓子づくりで意識しているのは、調和が取れていること。酸味であったり、香りであったり、なにかひとつの要素がとがっているのではなく、全体としてまとまって、しみじみおいしく感じられる“和食”のようなスイーツといえるかもしれません」。このように自身のスイーツについて話すシェフパティシエの大山恵介さん(写真上)は、有名パティスリーで修業後に渡仏。フランス各地のレストランでデザートの研鑽を積み、帰国後は『リストランテASO天神』(福岡・天神)、『レストラン ラ フィネス』(東京・新橋)でシェフパティシエを歴任。『パティスト』(神奈川・武蔵小杉)でオープニングからシェフ兼シェフパティシエを務め、『レストラン シンシア』(東京・千駄ヶ谷)のシェフパティシエを経て『ease』を開業した。
レストランでの経験を生かした仕立て
経歴で目を引くのは、レストランでの勤務が長いということだろう。当然、その経験がスイーツづくりに生かされる。イートイン限定の「パブロバ」(写真上)は、サクサクに焼き上げたメレンゲが主役の一品。そこにクレーム・シャンティをしぼって、たっぷりのアーモンドをちらしたきわめてシンプルな構成のスイーツだ。
これだけでも十分においしいのだが、ほんのり甘い白あんのソースを入れた小さな試験管を添え、お客自身に適宜かけてもらうという演出をほどこしているのが大山さん流。
ソースをかけることでコクが加わり、スイーツ全体に奥行きが出るイメージだ。ぜひともメレンゲの繊細な食感をカフェで味わってほしい。
ほかにも、ピュレを多用したり、イチゴのショートケーキの隠し味としてワサビを用いたりと、パティスリーではあまり見られない素材の使い方や組み合わせを用いるのもレストランでの経験が豊富な大山さんならでは。
「ミントやヴェルヴェンヌといったハーブ類を使って、余韻を楽しめるような仕立てにすることも多いですね」と大山さんは話す。
主役の素材はひとつ。その魅力をシンプルに表現
こちらは「ブルーベリーとチョコレートのタルト」(写真上)。クレーム・ダマンドをしぼってカリッと焼き上げたパート・シュクレに、カスタードと生クリームを合わせたリッチな味わいのクレーム・ディプロマットを詰めて、ガナッシュをぬってフレッシュの長野県産ブルーベリーをトッピングした一品。ガナッシュにブルーベリーのピューレを混ぜ込むことで、みずみずしい旬のブルーベリーのはじけるような酸味と甘みを補完している。まさにブルーベリーを味わうためのスイーツで、王道のおいしさ! そのブルーベリーは、季節によってもっともおいしいと感じる産地のものをチョイスしているそう。
3品目は「アマゾンカカオのシュークリーム」(写真上)。アマゾンカカオとは、有名レストランやパティスリーのシェフがこぞって使用するいま注目のチョコレート。果実のような華やかな酸味が特徴だ。このアマゾンカカオを生クリームを加えていない濃厚なクレーム・パティシエールに加え、シュー生地にも混ぜ込んでいる。
はち切れんばかりにクレーム・パティシエール・ショコラをサクッと焼き上げた生地に詰めたシュークリームは、アマゾンカカオそのものを食べているような錯覚に陥るほど、チョコレートの濃厚なおいしさを存分に楽しめる。「ぼくの菓子は、たいてい主役がひとつ。ブルーベリーであったり、チョコレートであったり、その素材の味わいをどう生かすかという点に神経を注いでいます」と大山さんは話す。
看板商品の焼き菓子はフィナンシェ
一方、焼き菓子のなかで、同店の名物といえるのが「フィナンシェ」(写真下)。金塊の形をしていることから「銀行家=financier」と名づけられたとも言われるフランスの定番焼き菓子で、日本の金融街である兜町にちなんで『ease』では看板商品として売り出している。フィナンシェは「ミエル」「ショコラノワゼット」「大納言」「抹茶カシス」の4種類を用意。店によって個性が出やすいフィナンシェだが、同店のそれはしっとり、ほっこりした印象で、「“和食”のような」という大山さんの言葉が思い出される。小さな子供から高齢者までがおいしく感じることができるやさしい味わいだ。
ほかにもパウンドケーキやクッキー、ジャムといった贈答用の商品も販売。一部商品はオンラインでも購入できる。今後はパンのラインナップも増やしていく予定だ。
店内の一角に設けられたカフェコーナー(写真上)では、パティシエたちの作業を見ながらコーヒー、カフェラテ、ハーブティーなどのドリンクとともにスイーツを楽しむことができる。
この新進気鋭のパティスリーが、再開発がすすんで新たな人の流れができつつある兜町の新名所になることは、間違いなさそうだ。
【メニュー】
パブロバ 565円
ブルーベリーとチョコレートのタルト 676円
アマゾンカカオのシュークリーム 463円
フィナンシェ 1個260円、8個入り2,380円
※記事内容は取材日時点の情報です
ease(イーズ)
東京都中央区日本橋兜町9-103-6231-1681
11:00~19:00
不定休
https://eatcretator.wixsite.com/ease
この記事の筆者:石田哲大(ライター)
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