地元の食通も絶賛!中目黒『ビストロ オーズ』は和牛もフォワグラも気軽に手頃に味わえる穴場だった
2020.08.19 18:00
ビストロ激戦区・中目黒で愛され続ける『ビストロ オーズ』
東急東横線・日比谷線「中目黒」駅から、線路沿いに徒歩2分ほど。駅近のビル2階で営む『ビストロ オーズ』は、ランチもディナーも地元ファンが通い詰める、活気ある人気レストランだ。外階段を上がって店内へ。一人ならカウンター席、二人なら窓辺のワイン樽テーブル、グループなら奥のテーブル席など全20席。小ぢんまりとしているが、その時々のシチュエーションに応じて席を選べる。貸切利用のパーティーなども好評だ。
カウンター席に座れば、調理する様子、音や香りがダイレクトに伝わる。メニューブックの用意もあるが、店内どこからでも見える黒板に書かれたメニューを眺めよう。食材や調理方法などがメニュー名から読み取れて、料理をイメージできる。
オーナーシェフは、大島力さん(写真下)。表情も声も明るくにこやかで、初来店でもフレンドリーに迎えてくれる。
17歳でホテルの厨房で働き始めてからずっと料理一筋。銀座の洋菓子店のほか、さまざまなレストランで経験したのち、いつか行きたいと願っていたヨーロッパを目指した。かの地はフランスでなく、なんと! ハンガリーだった。
「妻とまだ小さい二人の子どもと移住するのに、条件的にベストな国がたまたまハンガリーだったんです。約3年間、現地で暮らしながら、いわゆるイノベーティブ・フュージョンな料理を作っていました」。
苦労もあったが言葉の壁も乗り越え、自信をつけて帰国した大島シェフ。さらに千葉県流山市のフランス料理店『Brasserieしんかわ』で、尊敬する師匠のもとで研鑽を積み、32歳の時に独立を果たした。
「生まれ育ちは浅草ですが、父が祐天寺出身だったので、馴染みある中目黒で開きました」
海から畑から届く旬の食材が、盛りだくさん
大島シェフの料理は、メニュー名からのイメージを大きく超える表現が圧巻だ。6種から4種類を選べる「旬の野菜を使った前菜4種盛り合わせ」(写真下・2人分)は、誰もが最初にオーダーする人気のひと皿で、スタートからわくわくさせられる。
手前から「カダイフで巻いた北海道産ホタテの揚げ焼き」。ホタテは軽く燻されていて、濃厚なアメリケーヌソースとの相性のよさが光る。右回りに「薩摩地鶏のフォアグラと旬の野菜のパロティーヌトリュフの香るソース」、「グリルした鮪のカルパッチョ 雲丹と卵黄のソース」と、大島シェフが得意とするソースを楽しめる一品が続く。マグロは、後輩が営む築地市場の仲卸専門店『布長』から。
写真左のマカロンは、常連客が「今夜は何かな?」と楽しみにする定番。取材時は「クリームチーズとゴルゴンゾーラ、ドライフルーツのマカロン」で、マカロン生地が爽やかなレモン味! 細部にまで旬を感じる。
単品での注文、1人分の注文など、要望にきめ細やかに応じてもらえる。
上質な和牛を存分に味わうスペシャリテ
スペシャリテの「A5ランク和牛の薫り高い赤ワイン煮込み」(写真下)は、開店当時からの定番。馴染みの肉店から届くA5ランクの和牛をじっくり煮込み、溶かしバター、フォン・ド・ボーのソースで仕上げている。ナイフを使わずにすっと切れて、口の中でホロリと溶けるやわらかさに唸る。見ての通り濃厚ではあるが、脂があっさりしていて後味が心地良い。
「A5だからサシがたくさん入っているので、煮込むのはほんの4〜5時間程度。女性に人気で、皆さんペロリと食べてくださいます」
4〜5時間が「ほんの」とは……。このひと言に、手間暇を惜しまない真摯な姿勢がはっきりと見える。
ハンガリー産ワインでハンガリー産のフォアグラを満喫
「ハンガリー産フォアグラのポワレ 旬の野菜とその日のソース」(写真下)は、これを目指して通う人もいる名物だ。ソースは大島シェフの気まぐれで、マデラソース、ポルトソース、コンソメソース、またフルーツのプルーンを使ったソースを使う日もある。「フォアグラとプルーンって相性がとても良いんですよ」と、大島シェフ。次回はプルーンのソースで味わってみたい!
きれいに下処理をしたフォアグラを、手早くやさしくポワレ。そっと弾力を確かめながら火入れ具合を見極め、仕上げていく。
この日合わせた旬の野菜は、盛りのトウモロコシ。ガレットに仕立て、フォアグラを重ね、マデラソースをたっぷり。ジューシーなフォアグラに、ふわっと甘いトウモロコシ、芳醇なソースが一体となる瞬間を楽しみたい。
フォアグラには、ぜひハンガリー産ワインを!
ハンガリーでの体験を活かして、ハンガリーワインを常備する。ハンガリーではケルト人が紀元前からブドウ栽培を手がけていて、国内には古い醸造所も点在。独特な地場品種が栽培されていて、近年、国際的にも注目されている。世界遺産の修道院「パンノンハルミワイナリー」(写真上・中央)や、銘醸地のショプロン産が有名だ。もちろん、フランス産、イタリア産も種類豊富に揃えている。
気取らずラフに楽しく、大いに食事を楽しんで
「とにかく、日々の食事を楽しんでもらいたいですね」と、大島シェフ(写真下・右)。期待以上の料理を、価格帯を抑えて取り組んでいるのは、そんな想いが根っこにあるからだ。店長の清原大輔さん(写真上・左)は、サービスだけでなくマカロン作りも担当する。シェフと付き合いが長く、二人のさりげなく自然に合う呼吸が心地よさを醸し出している。
見惚れるほど美しい黒板の文字は、清原さんの手書きだと判明。「文字を書くのが本当にうまいんです」と、大島シェフも絶賛。おいしそうな文字で綴るメニューは、あれもこれもオーダーしたくなる!
【メニュー】
旬の野菜を使った前菜4種盛り合わせ(1名様) 1,400円
A5ランク和牛の薫り高い赤ワイン煮込み(150g) 2,250円
名物ハンガリー産フォアグラのポワレ 旬の野菜とその日のソース 980円
ゴルゴンゾーラとクリームチーズとドライフルーツを詰めた羊の爆弾ハンバーグ 2,300円
オーブンでグツグツ焼いた焼きカレー 1,000円
グラスワイン(泡・白・赤) 700円〜
ボトルワイン 4,000円〜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税抜です
※詳細については店舗にご確認ください
ビストロ オーズ
東京都目黒区上目黒2-14-1 1F050-5487-9505(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
月・火・木~土
ランチ 11:30~14:30
(L.O.14:00)
月~木
ディナー 17:00~22:30
(L.O.21:30)
金・土
ディナー 17:00~23:00
(L.O.22:00)
日曜日
https://r.gnavi.co.jp/49nfcz4s0000/
この記事の筆者:松井一恵(文筆家)
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