実は逆効果! 風邪のひき始めに飲んではいけない3つのモノ
【医師が解説】「風邪かも」と思ったとき、飲んだ薬や飲み物が逆効果になることがあります。風邪のひき始めに避けるべき3つの薬・飲み物と、自然回復力を高める正しい対策法を、分かりやすく解説します。(※画像:shutterstock.com)
「なんとなく寒気がする」「喉がイガイガする」。そんな“風邪の予兆”を感じたとき、どう対処していますか? 早めの対処が大切だと思って、自己判断で薬を飲む方もいるかもしれません。しかし、その対応は実は逆効果かもしれません。
「風邪かも」と思ったときに避けるべき、3つの「薬・飲み物」をご紹介します。風邪をこじらせないためにも、正しい知識を押さえておきましょう。
風邪のひき始めに「逆効果」になりやすい3つの飲み物
1. 予防目的で飲む「風邪薬」
「まだ発熱していないけど、念のために先に風邪薬を飲んでおく」という行動は、多くの人がしがちです。しかし、風邪薬はあくまで症状を和らげるための対症療法です。ウイルスそのものを退治する効果はありません。
予防的に服用しても効果はなく、風邪の初期に現れる発熱や倦怠感などの、体を休めるための大事なサインをうやむやにしてしまい、逆に悪化させてしまうことがあります。医師の立場から言えば、風邪薬は「明確な症状が出てから、適切に使う」ことが基本です。
2. 体を温めるつもりで飲む「アルコール」
「風邪気味だから熱燗を飲んで、体を温めて早めに寝よう」と考える人もいるようです。しかしこれは誤解で、危険な行為です。アルコールは、血管を拡張し、一時的に温まったような感覚をもたらしますが、その後は体温が逆に下がりやすくなり、免疫力も一時的に低下します。
さらに飲酒は睡眠の質を下げるため、体の修復を妨げます。風邪の初期ほど、白湯や温かいお茶など、体に優しい飲み物を選ぶことが大切です。
3. 早めに治そうと、自己判断で飲む「抗生物質」
「以前もらった抗生物質が残っているから、早めに飲んでおこう」という行動も厳禁です。抗生物質は細菌感染に効く薬で、風邪を早く治してくれる特効薬ではありません。抗生物質の使用は「医師が処方したタイミング・用量・日数」に正しく従うことが大原則です。そして、多くの風邪の原因となるウイルスには効果がありません。自己判断で飲むことで、腸内環境を乱したり、正常な免疫反応を妨げたりするリスクがあります。
また、古い薬は本来の効果を発揮しないだけでなく、副作用のリスクもあります。「もったいないから」「以前と似た症状だから」といった理由で自己判断せず、医師の診断に基づき、新たに処方してもらいましょう。
医師の私が実践している「風邪かも」と感じたときの初期対応
風邪のひき始めは、体がウイルスと戦うためにもっとも重要な時期です。このタイミングで誤った飲み物を選ぶと、自然回復力が下がり、症状を長引かせてしまうことがあります。
医師である私自身が「風邪かも」と感じたときは、まず「麻黄湯(まおうとう)」という漢方薬を服用しています。麻黄湯は体の内部でウイルスの増殖が始まる段階、つまり発症前のタイミングでこそ、効果を発揮しやすいのが特徴です。風邪の兆しを感じた段階で、3~4日間、集中的に飲むようにしています。
自然回復力を高めて風邪を悪化させないために必要なこと
風邪の初期こそ、「睡眠こそ最大のリカバリー」という考えが重要です。私は風邪の兆しを感じたときは睡眠時間を8時間以上に増やし、スケジュールを調整して休息を最優先にしています。こうした“初期対応”を徹底することで、本格的な風邪症状の悪化を防げる確率が高くなります。
「風邪かも?」と感じたら、体に余計な負担をかけず、自然回復力が働きやすい環境を整えることが最善策です。必要に応じて医師の診察を受け、安易な“自己流対策”に頼らないことが回復への近道となります。
予防医療専門家として活動する起業家医師。「後悔のない人生」をモットーに、戦略的な健康経営と個別化された予防医療サービス『Wellness』を提供。様々な媒体で幅広く情報を発信をしながら、人々が自分らしく生きるための健康をサポートしている。
執筆者:中田 航太郎(医師・起業家)
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