「今度、母に会ってから決めて」と言われた俺→その前に1人で実家を訪ねて、お母さんに打ち明けた事情
言ってはいけなかった言葉
彼女が実家に帰るたび、お母さんが1人で暮らしていることを思い出しました。
転勤についてきてほしいと言えば、彼女はお母さんを置いていくことになります。
そんな選択をさせたくなくて、話を切り出せないまま日が過ぎていきました。
その週もデートを断られ、電話口でつい口に出てしまったのです。
「家族と俺、どっちを取る」
言った直後に、ひどいことを言ったと気づきました。
「今度、母に会ってから決めて」
彼女にそう言われ、電話を切ってからもしばらくそのままでした。
1人で訪ねた家
次の休み、俺は1人で彼女の実家を訪ねました。
前に彼女から聞いていた最寄り駅と住所を頼りに、玄関のチャイムを押したのです。
驚いた顔のお母さんは、「まず洗面所で手を洗っておいで」と言ってお茶をいれてくれました。
向かい合って座り、電話で言ったことをそのまま打ち明けて謝りました。
転勤のことも、彼女についてきてほしいという気持ちも、全部話すつもりで来ていたのです。
「娘には、私がいなくても平気な顔をしてほしかったの」
もう十分助けてもらったから、と笑ったあと、お母さんは付け加えました。
「あの子には、私から言わせてちょうだい」
帰り際に好物を聞かれ、肉じゃがだと答えたのです。
先に出ていた答え
彼女に連れられて訪ねた日、俺は初めて来たふりをするつもりでした。
けれど、洗面所の場所は体が覚えていました。
「場所、分かるの?」
「なんとなく」
食卓に肉じゃがが並んだとき、お母さんと一瞬だけ目が合いました。
彼女が「この前の話だけど」と切り出すと、お母さんが先に口を開きます。
「その話なら、もう答えは出てるのよ」
「先に答えたのは、うちのほうだから」
俺は膝の上で手を組んだまま、彼女の顔を見られずにいました。
そして...
お母さんの話を聞き終えた彼女は、しばらく肉じゃがの皿に目を落としたままでした。
それから俺に、「なんで先に私に言わないの」と怒りました。
もっともな話です。
転勤のことをきちんと話したのは、その帰りの電車の中でした。
家族と俺、どっちを取るなんて、本当は選ばせたくありませんでした。だから俺は、彼女が選ばなくてすむ答えを先にもらいに行ったのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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