聞き流す夫に始めた連絡ノート→最後の行には夫の字で「2冊目、俺が買ってくる」
口癖になった一言
「俺は聞いてない」
夫がこう言うのは、その月だけで3回目でした。義姉が遊びに来る日、粗大ごみの回収日、職場の送別会で帰りが遅くなる日。どれも、ソファでスマホを見ている夫に伝えたはずのことです。
「言ったよ」と返しても、夫は首をかしげるだけ。口で伝えて、忘れられて、言った言わないで終わる。その繰り返しで、正直疲れていました。
そこで思いついたのが、冷蔵庫のノートです。夫が毎日必ず開けるのは、ビールが入っているこの扉。読まれなくても、書いた証拠は残ります。
線を引いた書き込み
最初の1週間、ノートには私の字しか並びませんでした。
「お義姉さん、週末に来るって」
「燃えないごみの日が変わったよ」
扉を開けるたびに、夫の書き込みがないことを確かめるだけです。8日目、ペンを持ったまま、つい書いてしまいました。
「どうせ読んでないよね」
書いてすぐ、嫌味に見える気がして2本線で消しました。消した跡のほうが、かえって目立っていたと思います。次に冷蔵庫を開けたとき、その線の下に、夫の字がありました。
「読んでる」それだけです。
事務連絡の下に増えたもの
それからノートは少しずつ変わっていきました。私の連絡の下に「了解」が付くようになり、やがて夫のほうから書くことも増えていきます。
「会社の近くにできたパン屋、行列だった」
「エアコンのフィルター、掃除しておいた」
連絡とは呼べない内容もまじるようになりました。つられて、私も返事を書きます。
「今度そのパン屋、寄ってみて」
面と向かっては言いにくいお礼も、ノートの上なら素直に書けました。気づけば、交換日記のようなページが続いていたのです。
そして...
ノートを貼ってから1か月ほどたったころ、義姉がまた遊びに来ることになりました。食卓でその話を切り出すと、夫はスマホを置いてこちらを向きました。
「聞いた。ノートにも書いとく」
以前なら聞き流されていたはずの話です。冷蔵庫の扉を開けると、1冊目のノートは残り数ページになっていました。最後の行には、夫の字で「2冊目、俺が買ってくる」と書いてありました。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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