「君の分も頼んどいた」彼女に聞かず毎回2人分を注文していた俺→その日、彼女はフォークを持ちませんでした
俺が選ぶのが当たり前だった
俺は昔から、店選びや注文をさっと決めるほうが気が利くと思っていました。彼女が迷わなくて済むし、会計も抑えられる。メニューを見ると、つい値段から選ぶ癖もありました。自分が決めることで、むしろ楽をさせているつもりだったのです。あの日も、彼女が来てすぐに言いました。「君の分も頼んどいた」。俺の前には大盛りのパスタ、彼女の前にはミニサラダのセット。うまくやっている。俺はそう思い込んでいました。
「君のためだよ」の中身
その日、彼女はフォークを持たず、俺に聞いてきました。「どうして私の分まで決めたの?」。俺は正直に答えました。「最近太ってきたでしょ。サラダのほうがいいって」。それから伝票を指して、「値段も安いし、君のためだよ」。節約も体型のことも、彼女のためを思って選んだつもりでした。けれど、俺が見ていたのはメニューの右端の値段と、彼女の見た目だけ。彼女が何を食べたいのかを、俺は一度も聞いたことがなかったのです。
残されたサラダと、伝票の上のお金
彼女は手を挙げて店員さんを呼びました。「すみません、追加で注文お願いします」。季節のジェノベーゼと、食後のデザートまで。それから俺の目を見て言ったのです。「メニューを選ぶ権利まで、彼氏に渡した覚えはないよ」。俺はうなずくことしかできず、水のグラスばかり手にしていました。会計のとき、彼女は自分で注文した分のお金を伝票の上に置いて、先に店を出ていきました。テーブルに残ったサラダが、目に入りました。
そして...
家に着いてから、俺はメッセージを送りました。「ごめん。悪気はなかったんだ」。返ってきたのは短い返信でした。「悪気がないのが、一番怖いんだよ」。画面の文字を、俺は何度も読み返しました。今は、店に入るとまずメニューを2冊もらいます。先に彼女へ渡して、「何にする?」と聞くようになりました。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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