「君の分も頼んどいた」自分は大盛り、私にはミニサラダを頼んだ彼→私は店員さんを呼びました
「君の分も頼んどいた」
付き合って数か月の彼と通い始めた、イタリアンのお店でのことです。席に着くなり、彼は迷いのない声で言いました。「君の分も頼んどいた」。私がメニューに手を伸ばす前に、注文はもう終わっていたのです。彼の前に届いたのは大盛りのパスタ。この店の季節のジェノベーゼを食べようと、来る前から決めていた私の希望は、候補にすら入っていませんでした。前に会ったときも、その前も、同じでした。決めてくれる人なのだと、私はずっと受け流してきたのです。けれどこの日は、フォークに手を伸ばす気になれませんでした。
「どうして私の分まで決めたの?」
フォークを持たないまま、私は初めて聞きました。「どうして私の分まで決めたの?」。彼は悪びれる様子もなく答えました。「最近太ってきたでしょ。サラダのほうがいいって」。そして伝票を指しながら続けたのです。「値段も安いし、君のためだよ」。私のための選択に、私の好みはどこにも入っていませんでした。入っていたのは、彼の財布と、彼から見た私の体型だけ。受け流してきた数か月分の違和感が、その説明ではっきりと形になりました。
店員さんを呼んだ私
私はメニューを開き、そっと手を挙げて店員さんを呼びました。「すみません、追加で注文お願いします」。季節のジェノベーゼと、食後のデザートまで頼みます。目を丸くする彼に、私は伝えました。「メニューを選ぶ権利まで、彼氏に渡した覚えはないよ」。そのあとの食事の間、彼は水のグラスばかり手にしていました。会計のとき、私は自分で注文した分のお金を伝票の上に置き、先にお店を出ました。テーブルには、彼が勝手に頼んだサラダが残っていました。
そして...
家に帰ってから、彼からメッセージが届きました。「ごめん。悪気はなかったんだ」。私は少し考えて返信しました。「悪気がないのが、一番怖いんだよ」。次に会った日、同じお店で、彼は先にメニューを私へ差し出しました。「何にする?」。全部を許したわけではありません。それでも今は、メニューを2冊もらうところから、私たちの注文が始まっています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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