「ごめん。今日は食べられない」優しい夫に本音を言えなかった、私の理由
毎日並ぶ、完璧な食卓
夫は結婚してから、私より先に起きて食事の支度をしてくれるようになりました。味噌汁に焼き魚、目玉焼き。感謝していないわけがありません。ただ私にとって出勤前は、白湯を1杯飲みながら、1人で頭とからだを起こしていく時間でした。夫の優しさと引き換えに、その時間は湯気の立つ食卓に変わり、目を覚ました瞬間から食事が始まる毎日になりました。
言えなかった弱さ
「おいしい」と言えば夫はうれしそうに品数を増やし、私は皿を空にすることに追われました。断ればいいと、自分でも分かっていました。それでも、並んだ皿を前に首を振る勇気が出ませんでした。夫を傷つけるのが怖くて、拒んだと思われるのが怖くて、私は毎回箸を持ち続けました。もらってばかりの自分も、どこかで居心地が悪かったのです。本当は、私だって夫の優しさに応えたいのに、目の前の食事を食べ終えるために席に着く日々がつづきました。
限界の食卓
その日は、湯気を見ただけで箸に手が伸びませんでした。
「ごめん。今日は食べられない」
「口に合わなかった?」
「そうじゃないの。作ってくれるのは、うれしいの」
それ以上の説明を持たないまま、私は家を出ました。電車の中では、夫が下げるであろう皿のことが頭から離れませんでした。
そして...
帰宅した私は、リビングで夫に初めて全部を話しました。
「起きたときから、食べることが決まっているのが苦しかったの」
「断ったら、あなたをがっかりさせると思って言えなかった」
「気付かなくて、ごめん」と頭を下げる夫に、私は「明日は、私に作らせて」と伝えました。
「私も、あなたに用意したいの」
自分のペースで動きたい。でも、夫の優しさにはこたえたいし、私からも渡したい。その両方を叶える答えが、日替わりの交代制でした。あの日から、私の作る日はトーストだけの軽い食卓で、夫の作る日は感謝だけを持って席に着きます。うれしいもしんどいも、その場で渡す。それが私の決めたことです。
(30代女性・事務職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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