彼女の浴衣の写真に「いいじゃん」としか返せなかった俺、同期の一言で決めた、当日渡す物
「いいじゃん」しか打てなかった
付き合って1年になる彼女と、初めて2人で行く夏祭りを控えていました。彼女が浴衣をレンタルすると聞いてから、俺もその日を心待ちにしていました。届いた写真には、紺地に朝顔の浴衣と、白地に金魚の浴衣が写っていました。メッセージには「どの浴衣が似合う?」とありました。正直、どちらも似合っていて選べません。それでも早く返さなきゃと焦って、外した答えを返すのが怖くて、打てたのは「いいじゃん」。当たり障りのない言葉に逃げてしまったのだと、送った直後から分かっていました。
同期にこぼした本音
それから、彼女の返事は目に見えて短くなりました。「じゃあ自分で決めるね」のあとは、必要な連絡だけになりました。「楽しみだね」と送っても、返ってくるのは絵文字1つでした。会社の同期に、俺は思い切って打ち明けました。「どっちが似合うか聞かれたのに、いいじゃんとしか返せなかった」。同期はあきれた顔で言いました。「なら当日、浴衣に合う物を用意して渡せば」。選ぶのから逃げた自覚は、消えないまま残りました。
紺色を信じて選んだ髪飾り
彼女がどちらを選んだのか、俺は結局聞けませんでした。ただ、思い返せば彼女の傘も鞄も紺色ばかりでした。きっと朝顔柄にする気がしました。仕事帰りに小物の店を回り、店の人にあの写真を見せて、白い朝顔の髪飾りを決めました。紺地に映えて、もし金魚柄を選んでいても浮かない色でした。店を出てからは、渡す時に何と言うかばかり考えていました。外していたら、と不安になっては、画面の写真を開き直しました。
そして...
鳥居の前で待っていると、人混みの向こうに紺地の朝顔が見えました。歩み寄って、紙袋を差し出しました。「あの写真の浴衣に、合うと思って」。彼女は袋の中をのぞきました。そのまま、あの日送れなかった一言を口にしました。「どっちも似合ってて、選べなかったんだ」。彼女は「つけて」とだけ言いました。慣れない指で髪に飾りを留めながら、提灯に照らされた横顔を見て、返すべきだったのはうまい言葉じゃなかったのだと知りました。今の俺は、迷った時こそ迷っていると伝えると決めて、彼女への返信を打っています。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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