「友達に戻ろう」そう言った彼の手は、なぜか私の服を1枚ずつ、贈り物みたいに畳んでいた
見慣れない箱と畳まれた服
付き合って2年になる彼と、半年前から同棲していました。料理は私、洗い物は彼。小さな分担も決まり、2人の暮らしはようやく形になってきたところでした。
その日、部屋に戻ると、リビングの床に段ボール箱がありました。彼は私のセーターの袖をそろえ、しわを直してから箱へ重ねていました。
最初は衣替えでもしているのかと思いました。でも、箱の中に入っているのは私の服ばかりです。彼の服は1枚も見えませんでした。
「友達に戻ろう」と言われて
私が「何してるの」と聞くと、彼は手元の服を見たまま、「友達に戻ろう」と言いました。
理由を聞いても、彼はすぐには詳しく話しませんでした。海外転勤が決まったこと、期間が長いこと、私の仕事や暮らしを自分の都合で変えたくないこと。少しずつ出てくる説明は、どれも彼なりに考えたもののようでした。
それでも、先に箱を用意していたことが苦しかったです。話し合う前に、私の服だけがこの部屋から出ていく準備をされていた。そう見えてしまいました。
箱のいちばん上の、見覚えのあるパーカー
そのあと、私の荷物は新しい部屋へ届きました。箱を開けると、畳まれた服の上に、彼のパーカーが1枚だけのっていました。
私がよく部屋着にしていたものでした。袖が長くて、洗濯のたびに彼が「また着てる」と笑っていた服です。なぜ私の荷物に入れたのか、聞きたいと思いました。
ポケットに手を入れると、折りたたまれた紙がありました。そこには、転勤のことで私を振り回したことへの謝罪と、私が幸せに暮らしてほしいという言葉が書かれていました。
そして...
私はその手紙を何度も読みました。彼なりの気遣いだったことは分かります。でも、先に決めてから渡された優しさは、受け取るまでに時間がかかりました。
一緒に行くか、待つか、終わりにするか。どの答えを選ぶとしても、私にも考える時間がほしかったです。
今もそのパーカーは手元にあります。着る日はまだ多くありません。それでも、畳まれた服の上に置かれていたあの1枚を見るたび、優しさだけでは足りない場面があるのだと思います。大事なことほど、先に決める前に言葉で渡してほしかったです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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