何度も書き直した送別カードを、下書きのまま渡した俺の本音
2026.07.03 11:00
提供:ハウコレ
寄せ書きはすらすら書けたのに、個人的に渡すカードは書けない
送別会の前日、葛藤していました。チームの寄せ書きには、当たり障りのない言葉をすらすら書けました。お世話になりました、お元気で。誰に見られても角の立たない一行です。けれど自分の名前で渡す一枚になると、その手の言葉がどれも嘘くさく見えてきます。一緒に残業した話も、助けてもらった話も、書いては長すぎて消しました。短くすると、今度は何も伝わらない。最後に残ったのは、「また、」という書きかけだけでした。
「ちゃんと書けなくて、ごめん」の意味
見送りの輪ができる前に、カードを渡すのがやっとでした。じつは、きれいに書き直した清書も用意してはいたのです。でも最後に手が伸びたのは、消し跡だらけの下書きのほうでした。整った一枚より、迷った跡の残るこっちのほうが、まだ嘘がないと思ったからです。「ちゃんと書けなくて、ごめん」。そう言うのが精一杯で、その続きは伝えることができませんでした。彼女が困った顔をしたのも、当然だと思います。
「また、」の続きを、まだ言えていない
彼女が出ていったあとの席は、しばらく片づけられないままでした。「また、」の続きは、本当はもう決まっていたのです。また会いたい、できればもう一度。それを書ききる勇気も、その場で言う度胸も、俺には結局ありませんでした。清書のほうは、今も自分の引き出しに入っています。渡しそびれたのではなく、渡せなかったのだと、自分ではわかっています。
そして...
彼女の手元には消し跡だらけの下書きが、俺の手元には渡せなかった清書が残りました。書けなかった続きの一行を、いつか言葉で伝えられたらと思っています。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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