「模様替えしてみた」と彼が送ってきた写真→私のハンガーだけが、跡形もなく消えていた
揃いのハンガー
「模様替えしてみた」
そんな一言が添えられた写真をもう一度ひらき、私はクローゼットの端に目を凝らしました。服はかけ直され、ハンガーは同じ形のもので統一されています。以前カーディガンを掛けて持ち込んだまま、彼の部屋に置いてきた木のハンガー。その一本だけが、どこにも見当たりませんでした。
たいしたものではないはずなのに、彼の部屋で唯一私のものと呼べた場所が、ふっと消えた気がしました。
打ち込んでは消した一文
「あのハンガーは?」と打ち込んでみたものの、送る前にすべて消しました。たかがハンガー一本のことで問い詰めるなんて、重い女だと思われたくなかったのです。
代わりに当たり障りのない短い返事だけを送って、なんでもないふりを続けました。それでも一度気になりだすと、考えは勝手に広がっていきます。誰かが来て片づけたのだろうか。私の痕跡を、わざと消したのだろうか。答えの出ない問いばかりが積もって、私はその写真を何度も開き直していました。
もう一方の扉
合鍵を使って部屋に上がると、彼はクローゼットの前で何かを並べていました。私は思いきって、「ハンガー捨てた?」と聞きました。彼はきょとんとした顔で振り返り、「捨ててないよ。こっちに移しただけ」と言って、扉のもう一方を開けて見せてくれました。
そこには服が一着もかかっておらず、奥に私の木のハンガーが一本だけ掛けられていたのです。隣には、まだ何も載っていない揃いのハンガーが、いくつも余白を空けて並んでいました。
「君の場所、作ろうと思って」
彼はそう言って、少しばつが悪そうに頭をかきました。
そして...
あのスペースは、私を消したしるしではなく、居場所を空けて待っていてくれたしるしだったのです。今その端には、私が選んだ服が、彼の服と同じ向きにかかっています。並んだハンガーの余白は、もう寂しいスペースには見えませんでした。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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