彼女の相談に当たり障りのない返事を続けた僕。傷つけたくなかっただけなのに、届いた「私の相談、迷惑かな」
雑談ならいくらでも返せるのに
彼女とのやりとりは、僕にとっていちばんの楽しみでした。観た映画の話や、休みの日に食べたものの話。そういう軽い話題なら、言葉は自然にあふれてきて、思わず笑ってしまう返事を打ち込んでいました。好きな相手と気軽に話せる時間が、こんなに心地よいものだとは思っていませんでした。けれど、彼女が悩みを打ち明けてくれるときだけ、僕は文面の前で身構えてしまうのです。なんと返せば正解なのか、わからなかったからです。
率直に答えた日の、あの沈黙
きっかけは、彼女が職場の同僚とのいざこざを相談してくれたときのことです。僕は自分の考えを、めずらしく正直に伝えました。「相手にも、言い分はあるのかもしれないね」。彼女のためを思って、別の見方もあると示したつもりでした。
けれど返ってきたのは、「……そうだよね。ごめん、変な話して」という短い一言でした。それきり、彼女のメッセージはどこか沈んでしまい、僕はひどく後悔しました。味方になってほしかっただけなのに、正論で追い詰めてしまったのだと。友人に話すと「悩みごとは、解決じゃなくて共感を求めているものだよ」と言われ、僕はその言葉をそのまま受け取りました。
正解のつもりが、遠ざけていた
それからの僕は、彼女が悩みを打ち明けるたびに、ただ受け止めることだけを心がけました。「そっか、大変だったね」。次の相談には「無理しないでね」。よけいなことを言って、二度と彼女を傷つけないように。自分の意見はのみ込んで、当たり障りのない言葉を選び続けたのです。それが思いやりだと信じていました。
でも、ある日届いた彼女のメッセージで、その自信は揺らぎました。「私の相談、迷惑かな」。傷つけないための返事が、いつのまにか彼女を不安にさせていた。正解を探していたつもりが、いちばん大事な気持ちを伝えそびれていたのだと、ようやく気づいたのです。
そして...
僕は迷った末に、取り繕うのをやめて、思っていたことをそのまま送りました。「迷惑なわけないよ。ちゃんと返せてなかったのは、僕の方かもしれない」。
送ったあとは、彼女がどう受け取るか気がかりでなりませんでしたが、隠し続けるよりずっと素直な気持ちでした。これからは、正解の文章を探すのはやめようと思います。気のきいた言葉より、たとえ不格好でも自分の声で返したい。今度ゆっくり会えたら、画面の文字ではなく、ちゃんと顔を見て話そうと思います。彼女の悩みに寄り添うというのは、当たり障りのない優しさでやり過ごすことではなかったのだと、今ならわかる気がするのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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