会えないと言ったあの日、俺は予約の取れない店に頭を下げていた
予約が取れなかった、あの店
彼女と付き合って2年。誕生日には、いつもとは違う特別な時間を贈りたいと思っていました。前から二人で行きたいねと話していた、駅前のレストラン。そこで祝えたら、きっと喜んでくれる。そう信じて疑いませんでした。
ところが、いざ予約しようとすると、誕生日当日の席は空いていません。電話でも断られ、俺は焦りました。彼女の誕生日を、ありきたりな形で終わらせたくない。その思いだけが、頭の中で大きくなっていったのです。
会えないと、嘘をついた
考えた末に、俺は誕生日の前日、お店へ直接足を運びました。事情を話して頭を下げ、誕生日の数日後に、なんとか席を用意してもらえることになったのです。店員さんと真剣に打ち合わせをして、当日のサプライズの段取りまで相談しました。
問題は、彼女にどう伝えるかでした。本当の予定を知られたら、サプライズになりません。だから俺は、その日のうちに彼女へ「ごめん、誕生日どうしても会えなくなった」とだけ送りました。
別の日に驚かせるための、ささやかな嘘のつもりでした。当日に会えないと言われた彼女が、どんな気持ちになるのか。そこまで考えが及んでいなかったのです。
彼女が、確かめにきた
数日後、彼女に呼び出されました。何か気づかれたのかもしれない。そんな予感を抱えながら向かうと、彼女はまっすぐ俺を見て言いました。
「前日にあのお店にいたよね。どうして会えないなんて言ったの」
友人に見られていたとは、思ってもいませんでした。サプライズはもう隠しきれない。観念した俺は、ばつの悪さを感じながら打ち明けました。
「当日は予約が取れなかったんだ。だから別の日に、ちゃんとお祝いしたくて」
言いながら、自分の浅はかさに気づいていました。彼女はずっと、ひとりで嫌な想像をして苦しんでいたのだと。
そして...
彼女は怒るでもなく、ただ少しさみしそうに笑いました。その表情を見て、俺は自分のしたことの意味をようやく理解しました。サプライズという形にこだわるあまり、目の前の彼女の気持ちを後回しにしていたのです。
本当は「お祝いは別の日にしよう」と正直に伝えればよかった。それだけのことが、どうしてできなかったのだろうと悔やみました。
驚かせることより、安心させること。彼女が本当に望んでいたのは、きっとそちらだったのだと思います。今度のお祝いの日には、小細工なしに、まっすぐ気持ちを伝えるつもりです。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
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