返すつもりだったのに、借りたバッグを売ってしまった私。送られてきた一枚の画面で観念するまで
「一度だけ」と言い聞かせて押した出品ボタン
急な出費が重なって、その月をどう乗り切るかで頭がいっぱいでした。手元で売れそうなものを探すうちに、目に留まったのが、先月友人から借りたバッグです。状態もよく、相場もそれなりにつきそうでした。
借りものだという自覚は、もちろんありました。それでも、売れたお金でしのいで、入ってきたらすぐに買い戻せばいい。誰にも気づかれないうちに戻せば、なかったことにできる。そう自分に都合よく言い聞かせて、私はバッグを出品しました。相談の一本を送る勇気が、どうしても出なかったのです。
届いた一枚の画面
出品して間もなく、友人からメッセージが届きました。貼られていたのは、私が出した商品ページの画面でした。
友人:「これ、私のだよね?」
見た瞬間に、すべて知られたのだとわかりました。それなのに、私はとっさにとぼけてしまったのです。
私:「え、どれのこと?」
友人:「先月貸したバッグだよ。チャームもついたままだし」
私:「あー、それは似てるだけで別のやつだよ」
言いわけを重ねるほど、自分が惨めになっていきました。似ているだけ。そんな嘘で逃げ切れるはずがないと、本当はわかっていたのに。
ごまかしようのない、一つの目印
次に届いたメッセージで、私の言い逃れは終わりました。
友人:「私が手作りしたチャーム、世界に一つしかないんだけどな」
そうでした。あのチャームは、友人が手作りした、世界に一つだけのもの。似ているも何も、まぎれもなく友人のバッグだったのです。返信を打っては消し、打っては消しを繰り返したあと、私はようやく短い一言を送りました。
私:「……ごめん、今すぐ取り下げる」
出品ページは、その日のうちに消しました。
そして...
後日、私は友人に会って、すべてを打ち明けました。急な出費のこと、買い戻すつもりだったこと、それでも相談できずに黙って売ったこと。友人は声を荒らげはしませんでしたが、その表情には確かな失望がにじんでいました。
買い戻すつもりだったから、という言い分は、嘘をついた事実を消してくれるわけではありません。困ったときこそ、ごまかすより先に頼ればよかった。友人がバッグより大事にしていたのは、たぶん私への信頼だったのだと、失いかけて初めて気づいたのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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