「これも孫のためよ」親戚の前で嫁を指導し続けた私→孫の"ひと言"で、自分の言葉が返ってきた
よかれと思って口にした言葉
親戚が顔をそろえる食事の席は、嫁にものを教える数少ない機会だと思っていました。その日も、孫が食卓で少しはしゃいだのをきっかけに、私は嫁へ向けて言いました。「育て方が悪いのよ」。親戚の手前、はっきり言っておくのが本人のためだと信じていたのです。私自身、若い頃は姑から同じように厳しくされ、人前で何度も恥をかかされてきました。あのおかげで自分はしっかりしたのだと、ずっと思ってきたのです。だから嫁にも同じように、と。今思えば、それは言い訳だったのかもしれません。
「これも孫のためよ」
私は決まって、こう付け加えていました。「これも孫のためよ」。嫁が少しうつむくのを見ても、必要なことだと自分に言い聞かせていました。その一方で、孫のことは目に入れても痛くないほど可愛く、会うたびに「誰かをいじわるしちゃダメよ」と言い聞かせてきました。優しい子に育ってほしい。その思いは本物です。けれど、自分が嫁にしていることが、その教えとどれほど食い違っていたか。隣で大人を見上げる孫の目に、私はまるで気づいていませんでした。
孫が立ち上がって
小言をまた一つ重ねたとき、孫が椅子から立ち上がりました。そして、まっすぐ私を見て言ったのです。「おばあちゃん、ママにいじわるしちゃダメだよ」。話し声がやみ、場の空気が一変しました。私がいつも孫に言い聞かせていた言葉が、そっくりそのまま、私に返ってきたのです。私は箸を持ったまま、孫の顔を見つめるばかりでした。親戚たちが息をのむ気配が伝わってきます。嫁はとっさに孫を抱き寄せ、その背中をそっとなでていました。
そして...
家に帰ってからも、孫のひと言が頭から離れませんでした。私は孫に「いじわるはいけない」と教えながら、その当の自分が、嫁にいじわるをしていたのです。よかれと思っていた、という気持ちは、今も完全には消えていません。それでも、人前であの言葉を口にすることは、もうやめようと決めました。私を厳しくした姑のようにはなるまいと、誓っていたはずなのに。いつの間にか、同じ顔をしていたのかもしれません。次に顔を合わせたら、まずは嫁に、それから孫に、ありがとうと伝えようと思います。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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