「明日面接なんだ」の一言に、駅のベンチで30分書き直した俺の応援メッセージ
いつもどおりの帰り道で止まった指
木曜の夜21時。残業を終えて駅のホームに降りた俺のスマホに、彼女から「明日面接なんだ」とだけ届きました。
最終面接のことは前から聞いていました。半年かけて準備してきたこと、第一志望だったことも知っています。いつもなら「頑張れ」とだけ返して帰宅していたところです。でもこの日は、その短い一行に手が止まりました。
半年前、彼女が転職活動に行き詰まって泣いた夜、俺は「頑張れ」しか送れず、後で「分かってもらえてない気がする」と言われたことを、ずっと思い出していたからです。
駅のベンチで、文面を打ち直した30分
ホームから階段を降り、改札の外のベンチに腰を下ろしました。入力欄に「頑張って」や「応援してる」と打って、消しました。どれも軽すぎて、半年前の自分と何も変わらない気がしたからです。
彼女が転職活動を始めてからのことを、一つずつ思い出しました。週末に面接対策の資料を見せてくれたこと、苦手だと言っていたケース問題に毎晩取り組んでいたこと。気づけば俺は、入力欄を埋めては消し、また打ち直すという動作を30分以上繰り返していました。
半年前の借りを、いま返したかった
最終的に届けたのは、4通に分けた長いメッセージでした。
「明日の面接、緊張するよね。でも俺は君が半年かけて準備してきた姿、ずっと見てきたから知ってる」
まずはそう書きました。そして次に、半年前のことに触れました。
「前に俺、頑張れしか言えなかったときがあったよね。あのときちゃんと言えなかった分、今日は伝えさせて」
あの夜、彼女は俺の前で初めて泣きました。ちゃんと寄り添えなかった自分を、ずっと申し訳なく思っていたのです。続けて「君は話すと一気に空気を変えられる人だよ。それは2年見てきた俺が一番よく分かってる」とも送りました。
そして...
最後に「うまくいかなくても俺は何も変わらない。だから明日は思い切って自分の言葉で話してきて」と書いて、送信ボタンを押しました。返信はしばらく来ませんでした。だいぶ経ってから「ありがとう。明日、いってきます」とだけ短く届いて、俺は「大丈夫。明日の君なら絶対大丈夫だから」と返しました。
たぶん俺は、いつも一行で済ませてきた言葉の重みを、今日初めて自分で実感したのだと思います。本当は、もっと早く、普段の生活のなかで渡しておくべき言葉ばかりでした。
(30代男性・システムエンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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