公園でいつも子どもを叱るお母さんから娘を遠ざけていた私→ある夕方、校門前で立ち止まった話
いつも叱っているお母さん
娘と通っていた近所の公園で、よくお見かけする親子がいました。お母さんは私と同じくらいの年代で、息子さんは娘と同い年くらい。けれどそのお母さんはいつも険しい表情で、息子さんを大きな声で叱っていたのです。
「もう、何度言ったらわかるの」「順番!」砂場でも滑り台でも、注意する声が止まりません。私は娘の手を引いて、ベンチの反対側へ移ることが増えていきました。「あのお母さん、いつも怒ってるよね」一度、別のお母さんに小声でそう漏らしたこともあります。
距離を取ることが優しさだと思っていた
子どもが可哀想だと思っていたのです。あんなに毎回怒鳴られていたら、息子さんも萎縮してしまうのではないか。我が家ではなるべく叱らず、ゆっくり話を聞くように心がけていました。だから余計に、あの親子の様子が目に焼きついていたのかもしれません。
近所のお母さん数人とも「あんなに怒らなくてもね」と話したことがあります。距離を取ること、関わらないこと。それが私たちなりの優しさのつもりでした。息子さんに直接何かしてあげようとは、一度も考えませんでした。
校門前で見た親子の姿
11月のある夕方、娘の個人面談を終えて校門を出たときのことです。少し先のベンチに、あの公園で見かけるお母さんが座っていました。隣には絵本を膝に置いた息子さん。お母さんは目を赤くして、息子さんの小さな手をゆっくり握りしめていたのです。
息子さんが「ママ、お話どうだった?」と尋ねると、お母さんは何度かうなずいて、それから息子さんの頭をそっと撫でました。「ありがとうね」。風で聞き取れたのは、そのひとことだけでした。
そして...
その夜、娘を寝かしつけながら、あの光景がずっと頭から離れませんでした。私は「いつも怒っているお母さん」というラベルを貼って、その向こうにいる一人の人を見ようとしていなかったのです。仕事と家事に追われながら、それでも息子さんの手を握っていたあの姿。
翌週、また公園で偶然お会いしたとき、私は思い切って「お疲れさまです」と声をかけました。お母さんは少し驚いた顔をして、それから小さく頭を下げてくれました。それだけの短いやりとりでしたが、ベンチの反対側へ移っていたあの頃の自分に、お別れを告げた瞬間でした。
(30代女性・専業主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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