「体育ができない子は根性がない」と我が子が叱られた→水泳大会で見せた泳ぎに、先生から謝罪されました
「根性がない」と叱られ続けた我が子
息子は小学校に入ってからずっと、運動が苦手でした。徒競走はビリ、跳び箱は怖くて飛べない、ボール運動も友達に迷惑をかけてしまう、そんな子です。
体育を担当している若い男性の先生は典型的な体育会系で、できない子には「気合いだ」と発破をかけるタイプでした。連絡帳の体育の評価だけが極端に低く、確認するたびに私は心を痛めていました。
ある日、学校から帰ってきた息子がぽつりと言いました。「体育ができない子は根性がない」。先生からクラス全員の前で投げかけられた言葉だそうです。声色こそ淡々としていましたが、息子の目線はずっと床に落ちたままでした。
「水泳だけはやめたくない」
担任に相談しようかと迷っていた頃、息子が珍しく自分から口を開きました。「水泳だけは続けたい。やめたくないんだ」と。
意外でした。学校のプールで特別速いと聞いたことはなかったからです。私が黙っていると、夫が口を開きました。「あいつ、水の中だと別人だぞ。週末、市民プールで見てみろ」。夫は学生時代に水泳をやっていて、私の知らないうちに息子と毎週土曜の朝にプールへ通っていたのです。
その週末、こっそり見学に行きました。息子はゆっくりでしたが、止まらずに泳ぎ続けていました。「速くはないけど、ぜんぜん息が上がってない。あれが一番難しいんだ」と、夫が小さく笑っていました。
大会の朝、観客席から見た景色
7月、学校の水泳大会が市民プールで開かれました。私は観客席にいました。開会式で、例の体育の先生が生徒の前に立ち、「根性のない奴は本気を出せ」と声を張りました。観客席まで届く声でした。
25メートル自由形で、息子はやはり後ろから2番目の順位でした。先生は記録用紙に何かを書き込んでいるようでした。
その学校独自の競技「持久泳」が始まったのは、直後でした。どこまで泳ぎ続けられるかを競う種目です。15分、20分、25分。次々に子どもたちがプールから上がっていく中、息子だけが他とは違うリズムで、淡々と泳ぎ続けていたのです。観客席のあちこちから、ざわめきが起き始めました。
そして…
最終的に息子が泳ぎ切った距離は、学校創立以来の最長記録でした。プールから上がった息子に、生徒たちから自然と拍手が起きていました。
閉会式のあと、あの体育の先生が私のところに歩み寄り、深く頭を下げました。「お母さん、すみませんでした」。その表情に言いたいことが全て滲んでいました。私も思わず小さく頭を下げ返していました。
帰り道、息子は夫と嬉しそうに話していました。少し後ろを歩きながら、私は自分に問いかけていました。「ゆっくりだけど続けられる」というあの子の在り方を、誰よりも先に信じてあげるべきだったのは、私だったのではないか。先生の言葉に揺さぶられて、息子の中に育っていた小さな芽を、私自身が見落としそうになっていたのです。
(40代女性・パート)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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