「熱心な先生」を演じるのをやめた俺が、保護者に嫌われながら担任を全うした6年生の最後の朝
「熱心な先生」をやめた理由
若い頃の俺は、いわゆる「熱心な先生」でした。行事を盛り上げ、面談では具体的なエピソードを並べて保護者を喜ばせる。授業参観では生徒を当てまくって、活発な教室を演出していました。
けれど、ある年の教え子の不登校をきっかけに、考え方が変わりました。盛り上げ役に徹していたあの教室で、その子が出していた小さなSOSに、俺は最後まで気づけませんでした。それから俺は、目立つ教育をやめました。「保護者ウケ」と「子どもの声を拾うこと」は、両立しないと感じたのです。
保護者に嫌われる毎日
6年生の担任になった春、俺はいつも通り淡々と仕事を進めました。授業参観で盛り上げ役は演じない。お便りも必要最低限。面談で話すのは「お子さんは、本当によく頑張っていますよ」の一言だけ。
「あの先生、やる気ないよね」と保護者が話していると聞きました。教頭にも「もう少し保護者対応を」と注意されました。それでも、不登校気味の生徒と毎朝7時に教室で過ごす時間や、給食費の支払いが滞っている家庭の子にそっと声をかける仕事は、譲りませんでした。陰口を耳にした夜は、正直、布団の中で唇を噛んでいました。
卒業式の朝に届いた手紙
卒業式の朝、教卓に一通の手紙が置いてありました。差出人は、毎朝7時に教室で一緒に過ごしてきた、あの生徒です。
「先生はね、私たちのこと、ちゃんと見ててくれたんだよ。みんなにそう話しました」。たどたどしい字で、そう書かれていました。読み返しながら、報われた気持ちと、それを誇る資格があるのか、という気持ちが入り混じっていました。
そして…
卒業式のあと、生徒たちが順番に「先生、ありがとうございました」と挨拶に来てくれました。ひとりひとりの頭にそっと手を置いて、「よく頑張ったね」と返しました。
家に帰って妻に「やっぱりこのやり方でよかったよ」と伝えました。けれど、本心はもう少し複雑です。保護者にきちんと説明することから、俺はずっと逃げていたのも事実です。「熱心ぶらない」と言えば聞こえはいいけれど、要するに伝える努力を放棄していました。
来年もまた、見えない仕事を選び続けるだろうと思います。それでも、伝え方だけは少し考えてみよう。手紙を職員室の引き出しにしまいながら、そう思いました。
(30代男性・教師)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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