「英語なんて無駄」と言った父→20年後に”父の会社を英語で”助けることになった話
「英語は無駄だ」と言った父
小学生のとき、父に「英語を習いたい」と言ったことがあります。近所に小さな英会話教室ができ、友達が通い始めていました。アルファベットの歌を覚えたり、簡単な英語を話したりしているのが楽しそうで、私もやってみたいと思ったのです。
けれど父は、私の話を聞くとすぐに言いました。「そんなもの使わない。無駄だ」父は町工場を経営していて、毎日忙しく働いていました。きっと現実的な判断だったのだと思います。それでも、その一言は子どもだった私には強く残りました。
独学から、留学へ
諦めきれなかった私は、お小遣いを貯めて本屋に行きました。そこで見つけたのが、子ども向けの薄い英語の参考書を二冊です。
父には言わず、机の引き出しに隠しておきました。夜、宿題が終わったあとにこっそり取り出して、少しずつ読み進めていきました。発音もよくわからず、単語をノートに書き写すだけ。それでも英語に触れている時間が、どこか楽しかったのを覚えています。その習慣は中学、高校でも続きました。大学では念願だった留学を経験し、帰国後は外資系企業に就職。英語を使う仕事に就きました。
父にそのことを報告したとき、返ってきたのは「ふぅん」という短い一言だけでした。褒めてほしかったわけではありませんが、「無駄だ」と言われたあの日のことが、ふと頭をよぎりました。
久しぶりの電話
ある平日の夕方、父から珍しく電話がかかってきました。少しぎこちない声で、父は言いました。「海外の会社から引き合いが来てな」
父の工場の製品に興味を持った会社があるらしいのです。しかし問題がありました。「英語のできる社員がおらんで......」
そして、少し間を置いてから続けました。「英語、教えてくれんか」
あの「英語なんて無駄だ」と言った父が、今、その英語を私に頼んでいる。その事実を聞いた瞬間、私はしばらく言葉が出ませんでした。
そして…
少し考えてから、私はこう答えました。「いいよ」
怒りも恨みも、不思議と出てきませんでした。むしろ、あのときの悔しさがあったからこそ、ここまで続けてこられたのかもしれないと思いました。
電話を切ったあと、小学生のころ、本屋で薄い参考書を二冊買った日のことを思い出しました。レジに持っていくとき、少しだけ恥ずかしかったことも覚えています。
認められなくても続けたものがある。それが、父の会社の役に立つかもしれない。そう思うと、それだけで十分だと思えました。
(30代女性・外資系企業)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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