「あんたの学歴じゃ無理」と門前払いした課長→10年後、取引先の社長として再会
「あんたの学歴じゃ、このプロジェクトは無理だよ」
25歳のとき、私はメーカーの営業部で働いていました。地方の短大卒で、同期には有名大学出身者がずらり。それでも入社3年目で営業成績はトップクラス。自分なりに必死に積み上げてきた自信がありました。
あるとき、社内で新規事業プロジェクトのメンバー募集がかかりました。海外の取引先を開拓するという大きなプロジェクト。「これだ」と思い、企画書を作り込んで立候補しました。
ところが、プロジェクトを統括する課長に呼び出され、開口一番こう言われたのです。
「あんたの学歴じゃ、このプロジェクトは無理だよ」課長は企画書には目も通していませんでした。
「身の程をわきまえなさい」
課長は、一流大学出身であることを何よりの誇りにしている人でした。部下の提案を評価する基準はいつも「どこの大学を出たか」実力よりも肩書き。成果よりも経歴。
「海外の取引先と渡り合うには、それなりの教養が必要なんだ。短大卒のあんたにはハードルが高い」悔しさで声が震えました。「企画書だけでも読んでいただけませんか」と食い下がると、課長は鼻で笑いました。
「身の程をわきまえなさい。学歴っていうのは一生ついて回るものなんだよ」
企画書はそのままデスクの上に置き去りにされました。結局プロジェクトには、課長の後輩にあたる有名大卒の社員が選ばれました。
悔しさをバネに
あの日、私は泣きながら帰りました。でも翌朝、目が覚めたとき心に決めたのです。この悔しさを絶対に無駄にしないと。
それから私は働きながら独学で英語と経営学を学び、ビジネスの現場で使える力を徹底的に磨きました。2年後には外資系の商社に転職。海外営業の最前線で経験を積みました。
30歳のとき、取引先だった小さな輸入商社の社長に声をかけられ、共同経営者として参画。そこから5年、がむしゃらに駆け抜けて、35歳でその会社の代表取締役に就任しました。
学歴なんかじゃない。一つひとつの行動と結果で、自分の価値は自分で証明できる。 そう信じて走り続けた10年間でした。
そして…
代表になって最初の大きな仕事は、あるメーカーとの取引契約でした。商談の場に向かい、先方の担当者として現れたのは、あの時の課長でした。
10年前とは違い、少し白髪が増え、肩書きは「課長」のまま。向こうも私に気づいたようで、一瞬、顔がこわばりました。
私は名刺を差し出しました。
「お久しぶりです。本日はよろしくお願いいたします」
課長は名刺を受け取り、「代表取締役」の肩書きを見つめたまま、しばらく動けないようでした。
商談は粛々と進めました。感情をぶつけるつもりはありません。でも最後に一言だけ、あのとき飲み込んだ言葉を伝えました。
「10年前、企画書を読んでいただけなかったこと、覚えていらっしゃいますか。あのとき読んでいただけていたら、御社にとっても良い結果になっていたかもしれませんね」
帰りの車の中で、不思議と涙が出ました。学歴で人の可能性を測ることはできません。あのとき門前払いされた25歳の私に、今なら胸を張って言えます。「あなたの選択は、間違っていなかったよ」と。
(30代女性・商社)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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