嫁の手料理を拒否し続けた私が、孫の一言で気づいた本音
息子を取られたくなかった
息子が結婚すると聞いたとき、嬉しい反面、どこか寂しさがありました。あんなに「ママのごはんが一番!」と言っていた息子が、別の女性の手料理を食べて暮らす。頭ではわかっていても、心がついていかなかったのです。
そんなとき、お嫁さんが手作りのおかずを持ってきてくれるようになりました。夫は「おお、気が利くね!」と喜んでいましたが、私はどうしても手をつけることができませんでした。
自分でもわかっています。本当の理由は「お腹を壊すから」なんかじゃない。お嫁さんの料理を認めてしまったら、息子が完全に向こうの人になってしまう気がして怖かったのです。
自分を正当化し続けた日々
息子には「嫁の料理でお腹を壊したらどうするの。何が入ってるかわからないでしょ」と言いましたし、夫にも「何が入ってるかわからないものは食べられない」と言い張りました。息子は「大丈夫だよ、いつも美味しいよ」と言ってくれましたが、「あなたは優しいから言えないのよ」と決めつけてしまいました。
しばらくすると、お嫁さんは手料理を持ってこなくなり、代わりにデパートのお惣菜を手土産にするようになりました。
「やっぱりちゃんとしたお店のものは安心よね」
そう言ったとき、お嫁さんが一瞬だけ見せた寂しそうな顔を、私は見て見ぬふりをしました。自分が「勝った」ような気持ちになっていたのかもしれません。今思えば、本当に恥ずかしいことです。
孫の一言
ある日曜日、私は張り切って昼食を作りました。孫の好きなものをたくさん並べて、「おばあちゃんのごはん、おいしいでしょ?」と聞きたかったのだと思います。
孫はひと口食べて、にっこり笑ってこう言いました。
「おばあちゃん、これおいしいけど、ママのハンバーグのほうがもーっとおいしいんだよ!」
そして続けます。
「パパもいっつも言ってるよ。“ママの料理は世界一”だって!」
「……そんなに、おいしいの」
そして…
息子が、嬉しそうにお嫁さんの料理を褒めている。孫が、ママの料理が「世界一」だと胸を張っている。それは私がずっと恐れていた光景のはずでした。でも、不思議と悲しくはなかったのです。むしろ、気づいてしまいました。
私が守ろうとしていたのは息子じゃない。「息子にとって一番の存在でいたい」という、自分のプライドだった。
孫が「おばあちゃんにも食べてほしいなぁ」と言ったとき、涙が出そうでした。この子は誰も仲間外れにしたくないだけなのに、私はずっと自分からお嫁さんを遠ざけていたのです。
「……今度、持ってきてくれる?」
やっとそれだけ言えました。
次の訪問日、お嫁さんは孫と一緒に作ったというハンバーグを持ってきてくれました。ひと口食べて——おいしかった。本当に、おいしかったのです。
「……おいしいわね」
それが精一杯でした。でも、お嫁さんは目を潤ませて「ありがとうございます」と言ってくれました。あの子を傷つけ続けていたのに、それでも笑ってくれる。私には、もったいないお嫁さんです。
(50代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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